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音楽歳時記「芒種」

芒種 (ぼうしゅ)は、「麦を納め稲を植う。芒ある穀類、稼種する時也」という言葉からの節季。
要は、種蒔きをする時節、ということですね。いわゆる田植えの季節。
田んぼには水が張られ、鏡のようにキラキラ光る。
その水鏡がずっとずっと広がっている。
はるか2000年3000年の昔から続く日本の初夏の風景。
米を主食とする民族にとって田植えというのはとても大事な行事で、失敗するとその一年、一族もろとも村もろとも食いっぱぐれてしまうことになるわけだから、成功のためには集団の構成員は好き勝手な行動は制限され組織されることになる。ルールが作られ、それを遵守することが尊ばれる。異端は排除される。日本的な生真面目さや集団のヒエラルキーは、そういった米作りにおける集団作業から発生しているのでしょうね。

まぁそういうことはともかく、田植え的生真面目さでなんとなく思い出したのがヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。
きっちりと鍛練されたジャストでタイトなリズム、完璧なハーモニーのコーラス・ワーク。
そんなふうにプロフェッショナルな技術に裏打ちされているにも関わらず、どこかピュアな素朴なところが農耕民っぽい。
みんなで力をあわせてコツコツと努力を積み重ねた上で、最後はお天道様におまかせするようなフィーリング、っていうか。
メガ・ヒットになった『Sports』もポップでさわやかな『Picture This』も大好きなんだけど、それらに負けず劣らず大好きなのが、この『Four Chords & Several Years Ago』です。

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Four Chords & Saveral Years Ago / Huey Lewis & The News

ヒット曲を連発したクリサリスを離れてエレクトラからの94年のこのアルバムは、オールド・スタイルのロックンロールやR&Bの地味渋カヴァー集。
1曲めからジョー・ターナーの“Shake, Rattle And Roll”でご機嫌に始まって、サニー・ボーイ・ウィリアムソンの“Good Morning Little School Girl”やアラン・トゥーサンの“Mother In Low”、ファッツ・ドミノの“Blue Monday ”、ロイド・プライスの“Stagger Lee”といったブルースやニューオリンズR&Bの名作から、“Searching For My Love”や“Some Kind Of Wonderful”、“If You Gotta Make a Fool of Somebody”、“She Shot a Hole in My Soul”といった知る人ぞ知る名曲まで、泥臭くもポップでヒューイたちらしい陽気でのびのびとしたプレイが楽しい。
ポップ・ヒットを連発するよりもこうして好きな音楽をただ演りたいだけ、とでも主張するかのような、かつてのメガ・ヒット路線を拒否するかのような姿勢というか、このアルバムの演奏からは、オールド・スタイルのロックンロールやR&Bへのリスペクトと、自分たちの役割は大いなるルーツの継承だというような意志が感じられるのですよね。

ルーツへのリスペクト。ルーツの継承。
人々はそうやって、先人から受け継いだ文化を黙々と継承してきた。
その積み上げの先に今の僕たちの便利で快適な暮らしがある。
この歳になってようやく、そういうものの大切さがわかりかけてきた感じ、てっとこだろうか。



♪See The Sky About The Rain

電車を降りて駅を出た瞬間、空がピカッと光った気がした。
え、カミナリ?
まだ六月になったばかりだというのに。
それとも錯覚?と思う間もなく、また、まるで切れかけた蛍光灯みたいに青白くほんの瞬間光る。西の空の雲が反射する。どどどどどど、と地鳴りのような低い響き。そう思ってすぐに、実は地鳴りなんて聞いたことはないけれど、と思う。
あなたの心ない言葉で私は傷ついた、とLineのメッセージ。
そんなつもりなんてなかったんだ。いつまでたっても理解しようとしないあなたに少し苛立っていたのは確かだけれど。
そして、砂漠に水を撒くように不毛だと感じているのも確かだった。と思って、やはり、砂漠で水なんて撒いたことはないけれど、と思う。
再びの稲光と雷鳴、そして巻き上げるような突風。まるで竜巻のようだ、と思う。
竜巻ならば見たことはある。以前住んでいたマンションは向かいに線路があって、その向こうには川、そしてその向こうにずーっと田んぼが広がっていたのだ、たぶん甲子園球場数個分。四階のベランダから、田んぼの上で渦を巻きながら移動していく竜巻を見たことがある。甲子園球場にも行ったことがある。タイガースがスワローズに破れた試合だった。逆転打を打たれた投手へ、スタンドから容赦のないヤジが浴びせられていた。

雨が降るのだろうか。
そう思って空を見上げる。
そういえばそんな歌があった。
ニール・ヤングだ。“See The Sky About The Rain”、ビーチにキャデラックだかビュイックだかが突き刺さったジャケットのアルバムのニ曲目。

雨が降るのだろうか。
そう思って空を見上げる。
破れた雲、雨。
機関車が列車を牽引している。
僕の頭の中で汽笛が鳴り響く。
だだっ広い平原につっ立っているいくつもの信号機。
線路を転がっていく。
雨の降る空を見てごらん。
幸せ行きの人もいれば、栄光行きの人もいる。
失うばかりの暮らしに行き着く人もいる。
おまえの物語を、一体誰が語れるというのだろう。

そんな歌だ。
どうしてニールは、雨空を見上げて、平原をひた走る機関車を思ったのかいまひとつよくわからないのだけど、僕にはこの歌の機関車とあの田んぼを横切る竜巻がなぜかダブってしまうのだ。

やがてボトボトと音を立てて雨粒が落ちてきだした。
まるで彼女の涙のようにボトボトと。
彼女の涙は見たことがある。泣かせたのは僕だ。
肩に、服に、カバンに、雨粒がボトボトと落ちてくる。痛いくらいに大粒の。
もっと降ればいい。いっそ、もっと激しく、もっと激しく。
その雨を浴びながら、僕はまるであの日の打ちのめされた敗戦投手のようにダッグアウトへ帰るのだ。


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“SeeThe Sky About The Rain” Neil Young



音楽歳時記「小満」

5月21日は小満。
二十四節気の中ではかなりマイナーな存在ですが、「陽気盛万物稍満足す。万物盈満すれば草木枝葉繁る」、気候がよくなると、あらゆるものが生気に満ち、草木も生い茂る、というようなことがその意味するところ。ヴァーサイタルでポジティヴ、かつささやかな充実感に満ちているような言葉です。

昨日も今日も、雲ひとつないいいお天気。
さわやかで心地よい。
こんな抜けた青空といえばこのアルバムだ。

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Little Feat / Little Feat

スカッと抜けたさわやかなカリフォルニアの青い空。
そんなジャケットのイメージとは裏腹に、ドロッとくたくたなブルースがいっぱいつまっているこのアルバム。
よく見ればジャケットの青空の下には浮浪者がうろついている。
リトルフィートの音楽って、どこか抜けてるっていうか、ピュアっていうか、どろどろのブルースなのにどこか清々しさがあるのですよね。理詰めじゃない。ガツガツしてない。スキマの美学というか、いろいろがら空きなのになんとなく満たされた感じというか。
あるがままという感じ、或いは、足るを知るという感じ。
求めれば求めるほど、手に入らないことが苦しくなる。今あるものを見渡してみれば、実はじゅうぶんに足りている。
ましてこんないいお天気だもの。
ついつい飲みたくなって、昼間っからビールの缶をプシュッと。
あー、気持ちいい。

昔の人たちにとってもこの時期は、衣食ともに不自由しない、ある意味ささやかながらも満たされた、いい季節だったのだろうな。
小さく満たされる。
この歳になってくるとそんなに大きなことは望まない。
若い頃なら、こんないいお天気の日に出掛けもせずに家で飲んでるなんて、なんてシケてるんだと思っただろうけど、今はそうは思わない、というか、そういうのがむしろ楽しい。
いいお天気の過ごしやすい穏やかな日に、昼間っから酔っぱらう、そんな穏やかな幸せ。
小さく満たされる。
なにしろこんないいお天気なんだから。


◇唄めぐり

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音楽好きの人と話をしていると、意外と皆さん「新しい音楽」をちゃんとチェックされているんだなぁ、と感心することがある。
こちとら、すっかり時代から取り残されている。
90年代にヒップホップとグランジが主流になったころからすっかりついていけなくなってしまったからなぁ。
いや、ついていけなくなったというよりは、ついていく必要がないと思った、すなわち、自分が求める音ではないと思ったっていうのが正しい言い方ですが。
そういう自分が「新しい音」としてワクワクするのは、「古い音楽」なのです。
50年代、40年代のリズム&ブルースやドゥー・ワップ、モダンジャズになる前のジャンプ・ブルース的なジャズ、あるいはモダンブルースになる前の古いブルース、30年代や20年代のジャズ。なんていうのかな、人が歌を歌う、音楽を演奏する息吹というか、生の感情というか、そういうものがダイレクトに伝わってくるのが心地よい、という感じ。
そういう感じで古い音楽ばっかり聴いていると、古い日本の民謡なんかも実はとてもリアルに生々しさを感じる音楽であることに気づいたりする。若い頃は、日曜日のお昼にテレビでのど自慢大会なんかが始まったりすると吐きそうなくらい気分が悪くなったくらい、退屈な音楽だと思っていたけれど。

石田千さんの「唄めぐり」は、日本全国各地で歌い継がれている民謡を訪ねて現地を訪れた紀行エッセイ集。
3年以上にわたって訪れた土地は、北海道から沖縄まで25か所もあって、その土地土地で出会った人々とのさりげないふれあいや、土地のお酒や食べ物、風土や気候、歴史なんかが、淡々と綴られている。
ちょっとほわっとして、散文的な石田千さんの独特の文体から、いにしえの人たちが唄に込めた感情が、ふわりふわりと浮かび上がってくる。なんとなく自分もその土地にお邪魔したことがあるような気分になってくる。
取り上げられた唄は、佐渡おけさ、木曽節、こきりこ節、安来節、黒田節、会津磐梯山、こんぴら舟々、安里屋ユンタ・・・といった聞き馴染みのある唄から、宮崎県の刈干切り唄、熊本の牛深ハイヤ節、酒田甚句に秋田米とぎ唄なんていう耳にしたこともないものまで様々で。
現在残されているほとんどの民謡は、明治中期~昭和初期にかけて編集されたもののようだけど、そのルーツは実は様々。“こんぴら舟々”なんかは元々芸者さんが演っていたお座敷唄だったり、“刈干切り唄”は神様に捧げる唄だったり、広島の“壬生花田植唄”は一大イベントである田植えを祝うお祭りの唄だったり、“牛深ハイヤ節“はシケの時に風待ちの港で漁師たちが酒盛りをした騒ぎ唄だったり。“秋田米とぎ唄”なんかは、日本酒を仕込むときの米とぎの作業の時に歌われた労働歌だったのだそうで、歌うことがそのまま作業工程の時間を図るタイマーのような役割も果たしていたということだ。或いは歴史の伝承として歌われたアイヌの歌や、浪曲の要素を盛り込んで町のゴシップを歌いワイドショー的に発展していった河内音頭、重税に苦しめられた庶民の嘆きを歌ったものが多い八重山民謡など、読み進めていると民謡とひとくちにいってもその出自はずいぶんと多様であることを知る。
元々音楽や歌っていうのはそういうものなんでしょうね。ブルースのルーツが、プランテーションに縛り付けられた奴隷たちのフィールド・ハラーであったり、囚人農場で集団作業をするための労働歌であったり、酒場で憂さを晴らすための政治的な歌や、猥雑な歌であったみたいに。日本にもかつてそういう歌があり、そういう歌を必要とする暮らしがあった。そんなに昔のことじゃなく、少し手繰り寄せれば捕まる範囲の歴史の中に、そういう暮らしがあった。たくさんの人たちが、そんな暮らしの中で連綿とつないできた先に僕たちの今の暮らしがある。
石田さんは、そういうことを、現地の人たちとの交流や土地や風土のことを語りながらほんわりと伝えてくれるのです。

「安里さんの三線は音の粒がそろい、ひとつぶずつのあいだにこころのひだの濃淡がある。弦をたどる指は、さっき会った子どもたちのようにのびやかだった。声は空にのびて、たくさん語りあうよりも、手をつないで伝える情けのほうが、はるかに多かったころの時間と景色を見せる。」

「民謡のなにが好きときかれたら、一番は正直。うれしい、かなしい、たのしい、しんどい。嘘をつかなくてもいいし、恥ずかしがらない。広い景色を浮かべ、ほんとうのことばにさわる。からだぜんぶを使って歌うすがたに、気づかずおさえつけていた日々のふたがゆるむ。ほんとうだなあと素直になれる。」

石田さんの言葉のなかに感じたことは、本来音楽がもっていた機能のことだ。
つまり、こころを伝え、こころを共有するという、音楽の役割。
最近の音楽にこころがない、とジジイの戯言みたいなことを言いたいわけではない。商売を前提とした音楽の中にも素晴らしいものはたくさんあるし、僕は今の年ではまるでピンと来ない歌にもこころを震わせることができる世代がいることも承知しているけれど、まぁだいたいは既成のものをとっかえひっかえしただけの「ごっこ」なんだよな。結局のところ、つまらないなと思ってしまうのはそういう部分。もちろん古い音楽や、民謡を含むワールドミュージック的な辺境の音楽がすべて素晴らしいわけではなく、いつの間にかありがたがられて○○流、なんて型にはめられてしまったお師匠さんが伝承していくような類の民謡のほとんどはつまらない。僕が昔吐きそうになったのど自慢大会なんかもほとんどはそうだったんだろうと思う。
結局のところ、聴きたいのは、古い新しいに関わらず、魂を揺さぶられるようななにか、こころの底から歌い演奏されるなにかなんですよね。
そういうものと自分自身の気持ちがスコンとシンクロしたときのなんともいえない心地の良さこそが音楽の一番の素晴らしさなのだと思うのです。



音楽歳時記「立夏」

5月5日は立夏。
夏の気始めて立つ。
暦の上では今日から立秋までが夏。野山に新緑が目立ちはじめ、風も爽やかになって、いよいよ夏の気配が感じられるようになる時期です。

一年を一生と考えると、5月頃っていうのは思春期の入り口にあたるイメージがある。
すべてが初々しく、活気にあふれ。やんちゃでむこうみずで、その分、痛くてせつなくて。
あたたかい気候に誘われて表でやんちゃに遊ぶのもいいし、逆に明るい陽射しから逃げるように部屋に閉じこもっているのもそれはそれでよし。
そんな思春期のイメージと重なるのがRCサクセションのこのアルバム。
1980年、僕も思春期の入り口にいた。

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Please / RCサクセション

“モーニングコールをよろしく”とか“体操しようよ”みたいな、ちょっとかわいらしい、無邪気な歌がたくさん入っているんだよね。“ミスターTVプロデューサー”もどこか引きこもりの少年の呟きっぽくてなんとなく共感しちゃうし、“僕はタオル”みたいなぶっ飛んだ異色作も入っている。
それから、キョーレツなインパクトを持った“ダーリン・ミシン”、“DDはCCライダー”。その後ライヴの定番になった“Sweet Soul Music”や“いいことばかりはありゃしない”の影で、定番にはならなかったしベスト盤にも収録はされないけれど、いかにも清志郎らしいチャーミングな曲がたくさんあって。
どの曲にも、あの時期の清志郎にしか書けなかったような無邪気さがあります。無邪気であるが故の自信と、それを認めない世の中への不審と、それらがないまぜになってごちゃごちゃになって溢れだしてくるような。光と影、すなわち思春期。
それから、なんといっても“トランジスタ・ラジオ”だ。
5月の青く晴れ渡った空を見上げながら、タバコを一服。
そのとき、僕はいつでも屋上にいる。
内ポケットにはいつも、トランジスタ・ラジオだ。
君の知らないメロディー、聴いたことのないヒット曲、なのだ。
彼女が教科書を広げているときに、ホットなナンバーが空へ溶けていく。
夏が始まる。


♪清志郎祭り

今夜は三日月。「多摩蘭坂」みたいなお月様がのぞいている。
清志郎さんが亡くなってもう何年経つのかな。
日常的に聴いているから、いまだにもうこの世にいないという実感がまるでないのだけれど。

ずいぶん前にチャレンジして挫折した、清志郎ベストCDを作ってみた。ディスク74分ギリギリいっぱいの17曲。

トランジスタ・ラジオ / RCサクセション
JUMP / 忌野清志郎
激しい雨 / 忌野清志郎
Sky Pilot / RCサクセション
つ・き・あ・い・た・い / RCサクセション
ガ・ガ・ガ・ガ・ガ / RCサクセション
ブン・ブン・ブン / RCサクセション
多摩蘭坂 / RCサクセション
ギビツミ / 忌野清志郎 Little Screaming Revue
世間知らず / 忌野清志郎
あふれる熱い涙 / RCサクセション
彼女の笑顔 / 忌野清志郎
空がまた暗くなる / RCサクセション
毎日がブランニューデイ / 忌野清志郎
イマジン / RCサクセション
すべてはALRIGHT / RCサクセション
お弁当箱 / 忌野清志郎&23's


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惜しくも外れた曲が山ほどあります。あくまでも今の気分。へヴィーな曲があんまり入っていないから、自分的にはわりとゴキゲンなんだろうな(笑)。
次選ぶときにはごろっと変わってるかもしれないけど、どんな気分のときでも僕の心にひっかかってくれる清志郎のうたが必ずある。それだけたくさん影響を受けているってことなんだろうけどね。

共謀罪?初の米艦防護へ自衛隊初出動?大臣の失言?国家公務員が総理大臣をそんたく?なんだかうんざりするようなニュースばっかりだ。清志郎が生きていたらどんなうたを歌ってくれたんだろ。いや、残された僕たちはどんなうたを歌うべきなんだろ。
あほくさいことになんてかまっちゃいられない。愛と自由こそが生きている価値だ。それを邪魔する奴らなんて、笑いとばしてしまいたいな。


音楽歳時記「穀雨」

穀雨 (こくう)の名前は「百穀春雨に潤う」の故事より。田植えや畑仕事の準備が進み、それに合わせるように春の雨が降り穀物を潤してくれる、という意味らしい。
今でこそ晴れの日=いい天気、雨の日=悪い天気、といった言い方を天気予報ですらするけれど、今よりもっと農業が暮らしの中心にあった時代、雨は恵みをもたらす貴重で大切なものだったことを思い浮かべることができる。

今夜は雨。
春の雨にはなんとなく優しく柔らかいイメージがある。実際は激しい雨も降るんだろうけど、夏の夕立やゲリラ豪雨とは違って、もっとしとしと降って、けれどじとじとじめじめではなく、世界に潤いをもたらしてくれるようなイメージ。
そんな雰囲気の音楽を、と思い浮かんだのがこのレコードです。

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Pres and Teddy / The Lester Young and Teddy Wilson Quartet

レスター・ヤングは33年にカウント・ベイシー楽団に入り、それまでセンターを張っていたコールマン・ホーキンスの男くさく豪快なブロウとはまるで違う、ソフトでシルキーな音色と流れるようなフレージングで一世を風靡し、自身の楽団やビリー・ホリディとの競演で一時代を築いた人。が、第二次大戦で徴兵された軍隊でひどいしごきやいじめにあって精神を病み、除隊後も酒や薬に溺れて、昔日の輝きは失われてしまったという。
そして1959年に49才で亡くなってしまうのだが、その晩年の56年に旧友のテディ・ウィルソンらと共に録音したのがこのアルバム。
いろいろあった若き日を思い起こし、過ぎ去った日々の思い出を語るような、ほのぼのとした味わいの中にひとつまみのせつなさを感じさせるような演奏。
悠然と、時に朗々と、時に朴訥と歌うレスター・ヤングの音色。それに寄り添うテディ・ウィルソンのピアノ。
まるであと数年で人生を終えることが判っていて、なおかつ駆け抜けてきた自らの人生を悔いもせず、柔らかい気持ちで振り返っているような。
喜びも悲しみも怒りも嘆きも全部ひっくるめて全部人生なんだと肯定してくれるような。
そんな音楽の中にある潤いが、まるで春の雨のように優しく、恵みをもたらしてくれるような気がするのですよね。



◇世界全史

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世界全史 「35の鍵」で身につく一生モノの歴史力 / 宮崎正勝

娘が高校に通いはじめまして。
まぁいろいろあって、ろくに受験勉強もせずに行ける通信制に近いような高校へ。
個人的に受験勉強には懐疑的でね、あんまりやいやいと言う気になれなかった。僕自身も嫌々やってたからまるで身につかなかったんだけど、だからって社会生活で困ることなんて何にもないし、いわゆる偏差値が高くないと行けない大学へ行っていた人たちが、だからって頭がよいわけではないことや、受験勉強当時に詰め込んだ知識なんてほとんど忘れてしまっていること、中卒高卒でもとても頭がよく知識も豊富な人がたくさん社会にいらっしゃることも知ってしまったし。結局学校っていうのは一生勉強していくための方法を学ぶところだと思うんだけど、受験勉強がそういう役割をちゃんと果たしているとは思えなくってね。

勉強が嫌い、というわけではない。っていうか、自分で言うのもなんだけど、勉強そのものはけっこう好きなんですよね。自分で言うのもなんだけど、って前置きをしなくちゃなんだか傲慢なことを言ってしまっているような気がしてしまうのがすでにこの国の国民と勉強の関係を表しているような気もするんだけど、子供の頃から知らないことをすぐに調べたりするのが好きだったみたい。鳥や虫の名前を覚えたり、星や元素の名前を覚えたり、世界の国の名前や首都や国旗を覚えたりね、そういうのも大好きだった。
なんていうか、とても単純に、知らなかったことを知るっていうことは楽しいというか、そういう快感ってあると思うんです。
特に地理や歴史は大好きなんですが、学校で習った世界史はとてもつまらなかった。なんかね、ややこしい人物名と年号を暗記するだけの科目、って感じ。
要は個々の事象だけにとどまっていて「流れ」や「つながり」が見えなかったんですよね。それと、いわゆる西洋中心史観。
改めてこういう本を読み直してみると、そういうことがよくわかる。
今の時代はアメリカが世界で幅をきかせていて、資本主義と議会制民主主義、自由や人権、個人主義も含めて西洋的な価値観が当たり前になっているから、イスラムの国々や中国のやることがすごく不可解なことのように思えるけれど、アメリカなんてたかだか300年にも満たないポッと出の新興国家、西欧だって11世紀までは森林に覆われた辺境だったのであって、それより以前には500年以上もイスラム帝国が世界を牛耳っていた時代があったということ、中国だってこの200年ほど西欧に圧されているだけでずーっと東アジアの中心であり続けていたこと、そもそもイラクとイランとインドと中国は文明発祥の地だしね、そういうことを改めて知ると、彼の国には彼の国の論理があって行動原理が違うのも当然のことに思えてくる。
ロシアとモンゴル帝国の関係もなるほどと腑に落ちたひとつで、僕たちはロシアをヨーロッパの国だと思っているけど、あの国はモンゴルが遠征して平定したキプチャク汗国の地盤をそのまま引き継いでいるんだね。同じようにモンゴル帝国の遺産を引き継いだトルコとロシアの間でのいざこざや、モンゴル・トルコ的支配の影響があった旧ビザンツ帝国エリアと、それを免れた当時のユーラシア世界での辺境であった西欧・北欧エリアで考え方が異なることもよくわかる。そもそも西欧も日本の辺境だったからこそ中央からの干渉を避けることができたのだな。
大西洋での三角貿易が資本主義経済勃興の始まりだったこと、アメリカの独立が国民国家の始まりだったことにも納得。砂糖や紅茶、コーヒー、カカオ豆。そういう商品作物の生産のための労働力としてアフリカから奴隷が売買される。その儲けの蓄積が金融としてさらなる投資を生む。アジアやアフリカに輸出するための需要に応えるために綿紡績の工業化が加速され、原料の綿花を栽培するためにアメリカ南部にプランテーションが作られ、その労働力としてまたアフリカ人が運び込まれ、という増幅。こういうことを通じて中南米やアフリカ、東南アジアは否応なしに世界史に接続されていく。この当時、日本がこういうサイクルに巻き込まれなかったのは辺境だったからこそだ。
世界史と日本史の関係も授業ではほとんど教わらないのだけど、6世紀から7世紀にかけて大和朝廷の政権が成立することと同時代のアジアの動きの関係とか、宋が元に滅ぼされる過程と鎌倉政権へ与えた影響とか、当然16世紀のポルトガルやオランダが日本へ来た狙いや、幕末期に西欧が企んでいたことなども含めて、世界史との関係で日本史を捉えておくのは今の時代とても必要なこと。第二次世界大戦の勃発過程では、自国優先の保護貿易が戦争を招いたという記述もあって、今の時代とリンクするとトランプさんやヨーロッパでの自国最優先主義は不安に感じたりもするんですが。歴史の教訓に従えば、世界の覇権を握った国はその権力の肥大化故にやがて衰退していくのが歴史の常であって、そう考えると今のこの国のアメリカ追従姿勢っていうのはリスキーなんじゃないか、とか。

学校で教わったことのほとんどは断片的な知識だった。
でも、こうやって流れやつながりが見えてくると、単なる知識を知恵に変えることができるのかもしれない、という気が少し湧いてくる。
サブタイトルが妙に受験本的手っ取り早さが感じられてしまうのですが、それとは裏腹に、学校で暗記させられた事柄の向こうに実はこういう諸々があったんだな、と納得させられる一冊でした。


♪When Will I Ever Learn to Live in God

このところめちゃくちゃ忙しくてね。
ちょっと上司のやり方にいろいろ疑問があって戦った結果、いままで以上にいろんなこと引き受けなくっちゃいけない羽目に陥ってしまった(笑)。それはそれで責任範囲としてはわかりやすくてやりやすい面もあるんだけど、プレイングマネージャーってのはけっこうきつい。正確には肩書きなしのマネージングプレイヤー、実態としては何でも屋さんなんだけど。
幹部向けの部署の報告会が急に決まって、報告は女子がやるんだけど、その報告のシナリオ書いて、しゃべり方の指導して、パワーポイント作りこんで。こういう仕事をしているときは、「プロデューサー」だったり「職人デザイナー」だったり、一方でパートさんや若い職員に対してはほぼ「上司代行」。自分の本来の受け持ちでは「プレイヤー」であり、パートナーとの関係では「信頼できる必殺仕事人」的であったり、その一方でお店の応援なんかへいくと完全に「サービス・スタッフ」、かと思えば先日なんかは、今年の新卒職員への自部署のガイダンスの講師を頼まれたりもして、このときのキャラクターはほぼ「塾講師」。娘くらい年の離れた若者に話をするにあたっては当然わかりやすく、楽しく、最後はそれなりに感動させるといった仕込みも必要だし、説得力をもって講師をするためにはそれなりのエネルギーも必要だし、なかなかハードでした。
まぁ、それなりのキャリアも積んで、それなりの引き出しはあるわけで、割と器用ではあるのでそれなりにはこなすし、いくつものキャラをそのときに応じて使い分けはするんだけどね、「教師」役をやらなくっちゃいけない寸前まで「プレイヤー」として慌ただしくしてたりとか、一生懸命「職人デザイナー」視点で作りこんでいる最中にパートさんから相談されて「上司代行」になったりとか(笑)。20代30代の頃なら「今それどころちゃうねん、俺に聞くなよ。」とか平気で言ってたんで(←それはそれで最悪、、、)、昔よりはスムーズに切り替えられるようにはなってはきたとはいえ、一日のうち、一週間のうちに頻繁にいくつものキャラの切り替えがあると、なかなか疲れるわけです。仕事以外でも「父親」「夫」という役割も当然あるわけで、時々本当の自分のキャラはどれだ?なんて一瞬見失いそうになったり。
今さらながら大人ってしんどい、と(笑)。
みんなそうなんだろうけどね、なんて50を過ぎて今さら気づいている次第。

そんなドタバタとフルスロットルな毎日。
だからこそ落ち着いた大人の音楽を、ってんで、このところよく聴いているのはヴァン・モリソン。

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The Best Of Van Morrison
The Best Of Van Morrison Vol.2

すごいよねぇ、この人は。何をやってもどしっと自分の表現の核があり、スタイルがある。
こういう大人に憧れつつ、なかなか10代20代の頃に出来上がったパンク小僧的なものもやっぱり自分として捨てるわけにもいかないし、結局憧れは憧れでしかなかったりするんですが。
ただ、こうやってベスト盤でヴァン・モリソンの若い頃からの変遷を追っかけて聴いていくと、ヴァン・モリソンとて昔っから大人だったわけでもなく、それなりに野性と理性をコントロールしながら少しずつスタイルを作りあげていったんだな、ということも見えてくる。若き日の野獣みたいにワイルドな“Gloria”、アメリカへ渡ってレコーディングしたポップな“Brown Eyed Gril”から、いくつもの変遷を経て、崇高な輝きを放つ“When Will I Ever Learn to Live in God”や“Hymn To Silence”まで。その道のりはけっこう山あり谷ありだし、そのとっつきにくそうなキャラクターの割に楽曲そのものはかなりポピュラーでコンテンポラリー。そして悟りきった仙人のように見える表現の中にも、ギラリと光るような野性味は隠されていて、年齢と経験を重ねても若き日の野性が消失したわけではなく表現の方法こそ違っても歌の核心部分は何にも変わっていないことも見えてくる。
そういう感じ、ちょっとでも自分のものにしたいものだな、なんて思ったり思わなかったり、“When Will I Ever Learn to Live in God”=「いつになったら神と共にあることを私は学ぶことができるのか?」に例えれば、“When Will I Ever Learn to Live as an Adult Man”って感じで、まだまだ腰の据えきれない50代であります。



音楽歳時記「清明」

四月の一週めは「清明」。
清明の名前の由来は「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也」という漢文の一節だそうで、世の中が生命で満ちあふれはじめる季節のはじまり、ということらしい。
遅かった桜もようやくちらほらと咲き始め、桜だけじゃなく草木がぐんぐんと伸び、花が咲き、蜂や蝶々が飛び交い、燕も渡ってくる。
清く明るい、って言葉だけでも清々しいですよね。

で、生命力にあふれ、清く明るいといえば、例えばこういう音楽だな、ってことでサム・クックさんです。

the man and his music
The Man and His Music/ Sam Cooke

最初に聴いたときは、なんだか白っぽい普通のポップスだと思ったんだ。ストリングスの入ったアレンジなんかもけっこうあって、全然悪っぽくない、善良な市民のための音楽、これがソウルなの?って。
今思えば、サム・クックの深さやかっこよさ、ある種の潔さがわからないなんてガキだな、なんて思ったりするのだけれど(笑)。

歴史のことはよく知らない
生物だって得意じゃない
数学だって苦手だし
フランス語なんてどうでもいい
でも、君を好き、ってことは知ってる
もし君も同じように僕を愛してくれたなら
世界はとっても素敵になるんだけど
(Wonderful World)

初恋に落ちたばかりの中学生が歌いそうな、ピュアで可愛らしい歌ですよね。純粋に、勉強や世の中のルールなんかより愛が大切、そして愛されたいという歌。
サム・クックの声の持つピュアネスやイノセンスがこの歌をより清々しく、キュートに響かせてくれる。春の始まりの清々しさと同様に。
ただ、サム・クックがすごいのは、一見ただのポップ・ソングに聞こえるような歌に、深い思想を練り込んでいるところだと思うのです。
優れたポップ・ミュージックには両義性がある。
この歌が歌われた時代はまだ黒人への差別が露骨だった頃。この歌を歌っているのが、差別と貧しさで学校へもろくに通えなかった黒人少年が白人たちに向けて歌っている、と置き換えてみるとどうだろうか。学力や学歴なんてなくっても、愛する心が大切。互いに愛し合うことができれば世界はとても素晴らしくなる、というメッセージに聞こえてきませんか?
サム・クックはライヴのステージではもっと荒々しくシャウトしていたことが後に世に出たライヴ音源などで知られていますが、シングルは敢えてそういう黒っぽさを控えて軽くポップに仕上げていた。それはまだまだ黒人音楽は売れないという実状があったにせよ、サム・クックは黒人だけのスターでいることをよしとしなかった。それは、黒人としてのメッセージをアメリカ中に聴かせたいという思いがあったからだと思う。
そういうメッセージを忍び込ませた歌を、黒人向けだけではなく白人の少年たちもすんなり受け入れられるようなポップなサウンドで聴かせる。
演説や、デモや、まして暴力ではなく、こういうポップなフィールドで世の中を変えたい、そんな意思があったのだと思う。そういう清く明るい変革の意思。敵を作って格差や分断を煽るやり方ではなく、愛と共感をベースにしたやり方で。
そんなサム・クックの姿勢こそ、今の時代に必要なはず、と思うのです。
清く、明るく。
笑われたって、腰抜けと言われたって、そういう力を信じたいですよね。



◇世界の辺境とハードボイルド室町時代

20代半ばの頃にエジプトやトルコを放浪していた時のこと。
当時、まぁ今でもそうなのかも知れないけど、向こうにはコンビニはおろかスーパーマーケットすらひとつもなくって、買い物をするのは全部市場なのですよね。
市場では「定価」というものが存在しない。商品に値札は一切付いていなくて、全部店員との直接交渉。故に買い物はいつもバトルだった。
「これ、なんぼや?」
「これは10ポンドやな。」
「高いわ。5ポンドにしてや。」
「いやぁ、旦那。勘弁しとくなはれ。そのかわりおまけしまっせ。」
「いや、そんないらんねん。こないだこれよそでもっと安かったで。」
「そうでっか、ほな5ポンドで手打ちまひょか、旦那。」
ちょっと買い物するだけでも必ずこういうやりとりが必要になるから、めんどくさくってたまらない。
なにしろ、値段表がちゃんと掲げられているホテルですら平気で値段表より高い宿泊代をふっかけてくるようなところだ。外国人と見るや必ずふっかけてくるし、相場がわかるまではずいぶんぼられもした。
でもね、ある時ふと思ったんだ。
実は、すべて物に定価が決まっているということが、歴史的に考えれば特異なことで、彼らのやっていることのほうが実は普通なんじゃないか、と。
思えば日本でも、つい数十年前までは商売というものはそういうものだったんじゃないか、と。
こういうことを「先進」「後進」と呼ぶのは自らの社会への驕りだとは思うけれど、経済や社会の発展が同じような経緯を辿るとすれば、向こうの社会はまだ大量消費型のシステム化された段階には至っていない。
それぞれの土地で社会や経済の発展には時間的なズレがあるんだな、違う文化への旅とは、地理的な移動だけではなく時間的な移動をも兼ねているんだな、ってそのとき実感したんだ。

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世界の辺境とハードボイルド室町時代 / 高野 秀行 、清水 克行

「世界の辺境とハードボイルド室町時代」。
某作家の某小説のような人を食ったようなタイトルのこの本は、ソマリランドへ足繁く通っているノンフィクション作家の高野秀行さんと、室町時代時代を研究している歴史学者の清水克行さんとの対談本なのだけど、まぁとにかくおもしろかった。
例えば、「表向きは西洋式の近代的な法律があるんだけど、実際には、伝統的というか、土着的な法や掟が残っていて、それが矛盾していたり、ぶつかり合っている。」という論。
ソマリランドでは、市場で泥棒が盗みを働くと、捕まえてリンチことがあるらしい。警官は一応呼べば来るんだけど見てみぬふりをする。中世の日本でも、盗みの現行犯は殺していいっていうルールが庶民の間であったらしくて、人のものを盗むということはひとつのケガレであると考えられていたそうだ。
それから、「復讐や仇討ちを認める社会」の話。
中世の人々は、身分を問わず強烈な自尊心をもっており、損害を受けたさいには復讐に訴えるのを正当と考え、しかも自分の属する集団のうけた被害をみずからの痛みとして共有する意識をもちあわせていたそうで、これも現代のソマリア社会で今も普通にある考え方なのだそうだ。
なんだかよくわからない応仁の乱とソマリアの内戦も、そういう文化的なことを考えていくと、自分たちの現在の価値観では理解しにくいにせよ、彼らなりの理由があることがわかってくるらしい。
他にも、刀とピストルは、その武力的効果そのものよりも所持していることへのステイタスが大事である点が似ているとか、信長とISには共通点があるとか、伊達政宗とイスラム教徒の男色傾向にある背景とか、ちょっとおもしろい中世と現代のいわゆる辺境のエピソードが諸々。
ただ、そういうことをおもしろおかしく話す本ではなくって、根本のところを貫いているのは、「今生きている社会がすべてだとは思わないでほしいって。それとはぜんぜん違う論理で動いている社会があるんだし、我々の先祖の社会にも今とはぜんぜん違う仕組みがあった。その仕組みを勉強しても直接的には役に立たないけれど、そういう社会があったっていうことを知るだけで、ものの見方が多様になるんじゃないか。」という考え方。
今自分が属している社会の価値観というものは、実は絶対的なものではなくて、絶えず流動的に変わり続けるものなのですよね。
そういうことを知ることは、すなわち既成概念を疑ってみること、今目に映るものを違う角度から見てみること、多様な考え方を一旦認めてみるということに繋がっていくのだ、と。
そういうのってロックだな(笑)。
いや、マジで。
混沌としていくこれからの時代にこそ必要な考え方なんじゃないのか、なんて、キナ臭いニュースを見ながら思ったりするわけで。
歴史を学ぶということにはそんな裏メッセージを読み取る力を養うことで、けっこうアナーキーでロックンロールなことなのかも知れません。

詳しくはこちらで立ち読みできます。


♪I Fought The Law

その日は朝からある工場への訪問で、某高級住宅街近辺の私鉄の駅で現地集合だった。
いつもより早起きして1時間半以上電車を乗り継いで、到着したのは集合時間10分前。
初めて降りる駅、あー、こっからまた車で移動して工場へ行くとなると、タバコ吸っとけるのはここしかないよね、ってんで、駅前へ。おおっ、向こうに公園があるね、人通りもないしここなら迷惑にならないよね、とようやく朝の一服を。
青い空、あったかい、煙が空へ昇っていく。
吸い終わって、携帯灰皿に吸い殻をしまおうとしたその時だ。
突然、制服を着たおじさんたち3人に取り囲まれた。
「ここは喫煙禁止区域なんですよ。」
そのうちの一人がそう言うんだ。
「あ、そうでしたかー。すいませーん。」
そう言って立ち去ろうとする僕を、またおじさんたちが取り囲む。
「ちょっと待ってください。喫煙禁止区域なんです。」
「すいません。以後気をつけます。」
「いや、あの。」
「???」
「当市では条例で喫煙禁止区域を設けておりまして、違反者には過料を徴収しているんです。」
「はぁ?」
「過料をいただくことになります。」
「はぁ?知らんがな、そんなん。どこに書いたあんねん?」
と言い返した瞬間、目の前の看板に目がとまる。
確かに書いております。大きな文字で喫煙禁止エリア、地図、違反者には過料2000円の文言。
だが、言い返してしまった以上、もはやあとには退けない。
「知らんがな、そんなもん。ここ、初めて来てんで。こんな小さい駅前で喫煙禁止なんか考えもせんかったわ。知らんかったもん、知らんわ。」
「そう言いましても規則ですから。」
「知るかいな、そんなもん。そんな条例あることなんか。そもそもお前ら誰やねん。」
「私たちは○○市の・・・」
「禁止かなんか知らんけどな、タバコ吸うてる間、誰一人通ってへん。誰にも迷惑かけてへん。払いません。」
おじさん3人組のリーダーっぽいおっさんは少しうろたえている。一番年配っぽい爺さんは「こんなこと言う奴初めてや」という感じでまじでイラついている。僕は続ける。
「禁止なんやったら、あんたら俺が火点ける前に止めに来いよ。吸い終わった瞬間に現れやがって。以後気をつける、ゆーとるやんけ。啓蒙活動やろ?それとも罰金目的かよ。納得いかん。誰にも迷惑かけてへん!」
「あんたな・・・」
「用のない街の条例なんか知りようないし、払う必要あらへんわ!」
僕の断言に若い方の男がひるんだ。
「ですからね、今後気をつけてください、って。初めての駅でも今喫煙禁止区域はたくさんありますから、よく見てね、あの、」
「そやな、気ィつけるわ。今度から気ィつけるし。」
そこへ、迎えの車がやってくる。僕はそそくさと乗り込んだ。
「え、なんかもめてました?」
「いや、別に。」

誤解を招くといけないのは、これは公権力から逃げ切った自慢話でも武勇伝でもなんでもない。
当然のことながら、法治国家に於いて、法令は遵守しないといけない。法で定められた喫煙禁止区域でタバコを吸ってはいけない。初めての街だろうが、誰にも迷惑かけていなかろうが、法律違反は取り締まられて然るべきだ。
ただ、取り締まりの男たちの態度がとてもかんにさわったのだ。権力をバックに、自分たちの小さな正義を振りかざす人たちが。昔高校時代に校則違反で先生に呼びつけられたこととか、バイト帰りに警察官に吸ってもいないタバコを疑われたこととか、そういうことがフラッシュバックしてきて、つい反発してしまったのだ。
それから、無職時代に放浪していたエジプトやトルコでの経験も反射的に浮かんだのかもしれない。ガチの勝負ではひるんだほうが負け、言い切ったもんの勝ち、奴らの理屈にまるめこまれたらとことんふんだくられる、、、そういう経験が、負けてたまるか、ひるまへんぞ、いちびったんねん、という感情を呼び起こしてしまったのだと思う。
あるいは清志郎やそういうロックンローラーたちから受け継いだ反逆精神。権力を笠に着た奴らからガツンと来られたらやられっぱなしじゃいられない、噛みついてやる、足掻いてやるって。いくつにもなっても、そういうしみついたものはこんなときに出てくるものなのだ。それでひどいめにあったとしても自業自得。
けれど、勝てないとしても戦わずに服従したくはない。

口論のあと、頭の中で流れていたのは、クラッシュの“I Fought The Law”だった。

灼熱の太陽の下、砕けた岩がゴロゴロ
俺は法と戦い、そして法が勝った
俺は法と戦い、そして法が勝ったんだ

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音楽歳時記「春分」

春らしい陽気、久しぶりの土日連休。
ひと月前の寒くて縮こまっていた頃とは違ってふわふわとあたたかい陽気、なんとなく自然と心がゆるんで穏やかな気分になれます。
日本に生まれてよかったなぁとしみじみ思うのは、こういう四季の移り変わりを感じられるときですね。
古くからの暦で「二十四節気七十二侯」っていうのがありますが、季節の移り変わりに名前をつけるということそのものが、とても豊かなことだなぁ、って思います。清明とか霜降とか、名前そのものもとてもイマジネイティヴで。
僕はけっこう気温やお天気と気分が直結するタイプで、暑い日には冷たいものを、寒い日には温かいものを食べたくなるのはもちろんですが、晴れた日には晴れやかな音楽を、雨の日には雨っぽい音楽を聴きたくなります。
そんな季節とともに移ろう気分を音楽で表現するとどんな感じ?ってことで新シリーズを始めたいと思います。

まずは「春分」。
国民の休日でもあるのでとてもメジャーな日ですが、これも二十四節気のひとつ。
昼夜の長さがほぼ同じ頃になり、この日を境に徐々に昼が長くなり、気温も暖かいと感じられる日が増え、本格的な春が始まる時期。
花冷えや寒の戻りがあるので暖かいと言っても油断は禁物ではありますが、気分としてはいよいよ春!って感じですよね。
こんな時期に心地よいのは、穏やかで心やすらぐ歌もの。アコースティックな響きで、できればやわらかな大人の女性の声がいい。
ってことで、キャロル・キングさんです。

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Tapestry / Carole King

たおやかでやわらかい声、でも甘ったるくはなく、芯の強さを感じる歌。
ゆっくりと花が開いていくような美しさと生命力を湛えた演奏。
力強くもどこかもろくて儚げなピアノの音色。
このレコードを聴いていると、嬉しいことも悲しいことも辛いことも楽しいことも、成功も挫折も失望も幸せも、いろんなことがあったんだろうな、って思いが湧いてくる。で、いろいろあったけど今はとても満ち足りた気分なんだろうな、って。
そして、そういうことを乗り越えてきた人だけが持つことができる本当の強さや、人生に於いて本当に大切なことをそっと教えてもらったような気がしてくるのです。

キャロルさんがこのアルバムをレコーディングしたのは29才のとき。10代の頃から後に夫婦になるジェリー・ゴフィンと組んでソングライターとしてヒット曲を連発して成功も名声も手に入れた彼女だが、ビートルズなどロックンロールの台頭とともにソングライターとしての栄光は過ぎ去り、やがてゴフィンとも離婚してしまうことになる。
失意の中でニューヨークからロサンゼルスへ活動拠点を移し、そこで出会ったリー・スクラーやダニー・クーチらと新たな活動を始め、自らシンガーとして歌い始めたのが27才。
そしてこの穏やかでシンプルなレコードが15週連続一位という大ヒットを記録することになり、一度晴れ舞台から退いた末の返り咲きを果たすことになるのだけれど、このアルバムにはそういった苦労や欲の影が微塵もないのですよね。
今の自分の感じたことをそのまま歌ってみただけ、そんな無欲さというか、ピュアな響きがある。
それが今も時代を越えて心の奥まで響いてくる理由のひとつだと思う。

多くを望まずに足ることを知れば、日々は穏やかになる。
成功や名声や、評価されたい、認めてもらいたいといった欲から解き放たれたとき、やっと穏やかな春が始まるのかも知れないですね。

と、そんな気分で明日は春分の日。
穏やかな春をこれからも迎えたいものです。


◇春を恨んだりはしない

東日本大震災から6年。
何か書いておきたいと思いつつ、どこかなんともいえない気持ちがあって、なかなか文章がすすまなかった。何を書いても何か違うんじゃないか、あるいはこんなことを書いてどうする?という気分がしていたのです。
昨年の熊本もそうだし、他にもいろいろ大きな災害やテロが起きている中で、東日本大震災だけが特別心に引っかかるのはどうしてなのか、ということもなんともいえない気持ちのひとつでした。
自分が被災地に行ったから?被害が特段に大きかったから?でも、見たものしか思い入れが湧かない、というのは違うだろうと思うし、たった一人であれ10万人であれ思いもよらない災害で人の命が失われたことには変わりないし、突然の暴力による死という点では災害もテロも変わりはしない。何よりも、亡くなった当人や遺された人たちの悲しみにはどんな死であれ変わりがないはずで、衝撃の大きさや亡くなった人の桁の違いで思い入れが変わるのもどうなんだろうかと思ったり。
そんなもやもやを抱きつつ読み返していた池澤夏樹氏の「春を恨んだりはしない」。震災直後から半年ほどの中での思索が綴られた本だ。

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まえがきにこんな言葉があった。
「これまで死者に会わなかったわけではない。
六十年の人生でぼくは何人もの肉親や友人を失った。棺に納まった姿に別れを告げたことも十回を超えている。
しかし、それはどれも整えられた死者だった。親しいものが逝くという衝撃的な出来事を受け入れやすくすべく、社会は周到な準備をする。悲しみを容れるための器は事前に用意されていた。」
「今年三月十一日、たくさんの人が亡くなった。
逝った者にとっても残された者にも突然のことだった。彼らの誰一人として、その日の午後があんなことになるとは思っていなかった。」
また、こんな言葉も。
「今回、たくさんの人々が付き添いのないままに死んだ。地震と津波はその余裕を与えなかった。
彼らが唐突に逝ったとき、自分たちはその場にいられなかった。
その悔恨の思いを生き残ったみなが共有している。」

50才の誕生日の日に、自分のお葬式をイメージしてみた記事を書いた。自分のお葬式のことを考えると心が安らぐ気がすると書いた。それはなぜなのか、というと、自分を愛してくれた人たちに見送ってもらえる、というイメージがあったからだと思う。
そして、東日本大震災が今も他の災害よりも強く悲しみの感情を巻き起こさせるのは、見送られることなく失われた命、また愛する人を見送ることもできず、その最後の様子さえ想像するしかなく、しかも、その人が生きた証でさえ記憶以外何もかも失われてしまった人たちがたくさんおられるからなのか、その痛みがあまりにも痛切だからなのか、と思ったのです。
行方不明者は今もなお2500人以上。
その人を突然失ったことでこれからもずっと悲しみを抱えていかざるを得ない方々はその数倍。
正直、あれから6年も過ぎてしまって、その間で見つからなかった遺体や遺品なんて、今さら見つかるわけなんてそうそうないだろうと思う。また、そういうものが見つかったとしても失われた命が戻るわけでもない。合理的に考えれば無駄なことだし、人間以外の生き物がそういうことをするとも思えない。
でも、だからこそ、人間にとって、それはとても大切なことなんだな。
死を看取ること、見送られること。
混乱し打ちのめされた気持ちを癒やすためのよすがとしての儀式的な行為。
だって、人は一人では生きられない。
もし自分が誰からも看取られることもなく命を終えたとしたら。あるいは、愛する人が誰にも知られることなく命を終えたら。その人が生きた証すら手元に何にも残らないとしたら。考えただけで苦しくなる。絞めつけられるような思いがする。予期せずにえぐりとられた心の穴をどうして埋めればいいのか想像もつかない。人の行為が相手ならば告発したり反対運動をすることもできるが、自然現象相手ではそれすら叶わない。
どうかそんなことが起こりませんように。無責任に世界中に、とはきっと言えません。せめて自分の身には、というのが本当の気持ちです。

うまく言葉が見つからないまま思いつきで書きました。
失礼な言い方がありましたら申し訳ありません。
亡くなられた方の無念を、遺された方の悲しみを、悼む気持ちには変わりはありません。



♪Glad and Sorry ~50周年所感~

いよいよ50才になってしまいました。
なんとなく50という節目は、我ながら感慨深いものがあります。
子供の頃にね、「ノストラダムスの大予言」が流行って、1999年で世界は滅亡すると言われていたから、僕は33才までしか生きられないんだと思い込んでいたんですよね。そういう意味では33才からあとの人生は想像したこともなかったので、こうして50才になれたというのは奇妙に不思議な感覚や、なんていうかひとつの到達感みたいなのもあって。あ、とりあえずここまで来れたね、みたいな。もう、あとの人生はおまけみたいなもんかも知れないな、と思ったりしています。
50年、割りと自分勝手に生きてわかったことは、やっぱり一人ではまっとうには生きられない、ってこと。周りの方々に必要とされたり喜んでいただけてこそやなー、と。おまけでもらった残り時間は、できるだけ楽しく、自分が喜ぶように、或いはお世話になっている方々に喜んでいただけるように過ごしたいものだな、と思っております。今までの「迷惑かけた」と「喜んでいただけた」はほぼ半々くらい。実際、平均寿命の80近くまで生きるとしても確実に残り時間の方が少ないわけで、ここから先は、どうやって借りをお返しするか、プラスへ持っていけるかです。最後はプラスで終わらせたいですよね。
そして「まぁまぁ良かったんじゃない?」と思いながら向こうへ行きたいものです。

そんなわけで、今日のプレイリスト。
「自分のお葬式サウンドトラック 」的なセレクトをしてみました。

Spiritual / Charlie Haden & Hank Jones
Glad and Sorry / The Faces
Nobody Loves You(When You Down and Out) / John Lennon
I Waited Too Long / La Vern Baker
I'm Gonna Start Living Again If It Kills Me / Dave Edmunds
I'm So Glad I'm Standing Here Today / The Crusaders with Joe Cocker
夜の散歩をしないかね / RCサクセション
Everybody's Somebody's Fool / Dextor Gordon
Someday / 佐野元春
You Make Me Feel So Free / Van Morrison
Stand By Me/ John Lennon
Shine A Light / The Rolling Stones
True Love Ways / Buddy Holly
What A Wonderful World / Joey Ramone



オープニングは、ピアノとベースのデュオによる黒人霊歌でしめやかに。
“Glad and Sorry”は、自分自身での反省と感謝。つまらないことで噛みついてごめんなさい。そんな僕にやさしくしてくれてありがとう。
ジョンの震えるような“Nobody Knows You”で懺悔して、“I Waited Too Long”で泣き叫び、デイヴとニックのセンチメンタルなスロウではしばししんみりと、ジョー・コッカーの熱いバラードで生きてきた想いを、それから思い出のための穏やかな曲をいくつか。“SOMEDAY”は、できればラジオから流れてくるような音質と音量が望ましいかな。
ラストに向けては、僕なりのメッセージ。感謝と愛、そしてあなたが歌う歌がぜんぶあなたの好きな歌でありますように。
バディ・ホリーのプライベートでスイートなラブソングをはさんで、でもしんみりとは終わらせたくないので、最後はドカーンと豪快に、ワイルドかつ充実感のあるロックンロールで〆たいな、ってことでのジョーイ・ラモーン“What A Wonderful World”でお開き。サンキュー、バイバイ、また会おうぜー、みたいな感じだね。
これでだいたい1時間。
坊主のお経はなし、焼香やらお涙ちょうだい的エピソード紹介もなし、あとはそれぞれで好きに思い出話でもバカ話でもしてくれたらいいのです。あなた方お一人お一人が生きているうちは、僕は死なないんだから。

・・・なんてね、くだらない企画でした(笑)。
誕生日にお葬式のテーマなんて縁起でもない?いや、そうでもないよ。50才という節目で、自分が死ぬときのことを想像しておくのは悪くないです。
なんとなく安心するっていうか、心安らかになるっていうか、そうやって笑顔で送り出してもらえるようにちゃんと生きよう、なーんて気持ちにもなれるって気がするんです。

多分、また5年10年のうちに、またこのリストも変わっていくでしょう。
そういう更新ができるよう、まだまだもうちょっと、がんばってみようと思っています。


♪日本のユーメイなロックンロール(2)


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いろいろと多忙続きで作りかけのまま放置していた「日本のユーメイなロックンロール」の続編。
85年から89年くらいかな。大学生~社会人一年目。っていっても、本当に授業出たり勉強したりの記憶が一切なくって、就職活動も卒論もいつやったんだか(笑)、バイトしてるか、友人とつるんでいるかしかまるで覚えていない(笑)。
まぁー、いろんなことがあったけどね。毎日がはっちゃけていた。自分勝手で無責任だったけど、とびきり自由だった。「ここじゃ上手に泳げない」と感じていた高校生が、水を得た魚のように泳ぎだして、気がついたらずいぶん遠くの海まで泳いできてしまった、振り返るとそんな印象ですね。
そんな年頃に、同時代に現れ、背中を押してくれた日本のロック・バンドたちのアッパー・チューンを。

人にやさしく / ザ・ブルーハーツ
ブギ―・ナイト / MOJO-CLUB
ファイティング・マン / エレファントカシマシ
Laughin' Roll / ラフィンノーズ
Lightning Scarlet / THE WILLARD
Casino Drive / レッド・ウォーリアーズ
風向きが変わっちまいそうだ / SION
ハンマー / ザ・ブルーハーツ
幸運 / アンジー
レプリカの街から / エコーズ
真夜中をつっぱしれ / ヒルビリー・バップス
Back To Back / ザ・ストリート・スライダーズ
時代を変える旅に出よう / BO GUMBOS
Royal Straight Flash R&R / レッド・ウォーリアーズ
Lucky Man / ザ・プライベーツ
ソウルサヴァイバーの逆襲 / ニューエストモデル

中高生の頃、洋楽のヒットチャート番組なんかを観ながら「海の向こうではロック・バンドがガンガンヒット曲を出しているのに、どうして日本では歌謡曲ばっかりなんだろう。」と思っていたから、こういうバンドたちがどんどんとメジャーになっていくのは素直にうれしかった。スゲエ奴らがいっぱい出てきたな、って。
少し前の世代の、ちょっと背伸びしてがんばってロックしてるけど根は日本の土着のリズムを引きずっているような感じとは違って、生まれたときからロックを浴びてきたような自然体のロック、っていうのかな。ビートルズもストーンズもエアロスミスもピストルズもRCも等間隔で接してきたような感じにすごく共感した。
ストレートなリズム、真っ直ぐな言葉、いかにも反抗的で世の中なめててアウトサイダーなアティテュード。当時既に60年代や70年代のロックの黄金時代の名盤もたくさん聴きあさっていたけれど、そういうのとも同じレベルで素直に「うぉー、かっこええー!」って思ったよね。
レッド・ウォーリアーズの下世話さ、スライダーズのふてぶてしさ、ラフィンノーズの痛快さ。ブルーハーツを初めて聴いたときには笑ってしまうくらいぶっとんだし、エレファントカシマシのデビューも衝撃的だった。
「おしゃべりは信じないよ 嘘のような気がする」
「権力者の言葉には鼻で嗤って答えろ、Oh,Yeah」
「どうせだめでも元々さ、砕け散るのも悪かねぇ、でもイカサマ野郎にゃ敗けやしねえぜ」
「泣きながら家を出るのは追い込まれたときじゃなくて、恵まれた今しかないんだ」
「コートをバッグに詰め込み通りで拾ったロックンロール、そうさBaby、ランブリング・ロード、そろそろ出かけようぜ」
「ああだこうだの押しつけばかりのプレッシャー、蹴飛ばしてやるぜ」
「俺が道を作る、好きなように生きる 時代を変える旅に出よう」
「このまま僕は汗をかいて生きよう、いつまでもこのままさ」
そんな言葉もビシビシ刺さったし、煽られたね。
こういう音といっしょに、自分の基本的な人格がこの時期に完成したのだと思う。
あれからもう30年近く、今もこーゆー音ってテンション上がる。ムカついたときとか落ち込んだときとか、目付き変わるよね。くそー、やってられんぜー、見とけよ、見返したるで、みたいな。ハハハ、ちょっとは大人になったつもりでも、あんまり成長してないな(笑)。
まぁいいや。No Surrender,Keep On Rock'n'Rollだ。
これからも。



♪日本のユーメイなロックンロール

ストーンズやビートルズを聴いて、チャック・ベリーやバディ・ホリーへとルーツをたどって、パンクやパブ・ロックへとゴキゲンなロックンロールを片っ端から聴きまくる。楽しいねー。
「ロックンロールだけがリアルであとは嘘っぱちだった」っていうのはジョン・レノンの言葉だけど、気分としてはまさにそんな感じ。
そういう思いを最初に抱いたのはいつ頃だったか、そもそも最初に一番夢中になったのはなんだったんだ、っていうと、80年代初めの日本のロック・バンドです。
まだテレビにロック・バンドが出ることなんてほとんどなかった時代、いわゆる歌謡曲とはまるで違う、カッコいい音楽を演っている奴等がいるんだって知ったことは衝撃的だったな。RCやハウンドドッグ、浜田省吾や佐野元春を入口に、モッズ、アナーキー、ARB、ルースターズ・・・とずぶずぶとはまりこんでいった82年~83年、15歳~16歳の頃。
空回りの思いとやり場のない憤りばかりの冴えない毎日の中で、僕はロックンロールを見つけたんだ。いや、むしろロックンロールに拾ってもらった、というべきか。

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というわけで、当時から大好きで、今もグイグイくる曲たちをまとめたプレイリスト。

イカれちまったぜ! / ARB
Ready Steady Go / アナーキー
Sittin' On The Fence / ザ・ルースターズ
トランジスタ・ラジオ / RCサクセション
Let's Go Garage / ザ・モッズ
カーニバル / 小山卓治
Dissatisfaction / ザ・ルースターズ
ノット・サティスファイド / アナーキー
つ・き・あ・い・た・い / RCサクセション
So Young / 佐野元春
Believe In R&R / ARB
だから大好きロックンロール / ハウンド・ドッグ
悲しきRadio / 佐野元春
トラブルド・キッズ / ARB
No Good! / 小山卓治
ガ・ガ・ガ・ガ・ガ / RCサクセション

16歳の頃を思い返した選曲なので16曲。60分テープに収めなきゃいけないし(笑)。
次々とレコードを買えたわけじゃないし、ロック好きな友達もいなかったし、限られた音源を何度も何度も繰り返し聴いていたから選曲は偏っちゃうんだけど、その分心と体への染みつき方は半端ない。♪寝ても覚めてもあの歌が体の中にしみついて、すっかりオレの脳みそも生き方さえも変えちまう~、って石橋凌が歌ってたとおり。
こういう音に衝撃を受けたことで、その先はずいぶん変わったよね。
RCやARBやアナーキーが一番尖ってたあの時代にちょうどあの年頃で良かったよなー。佐野元春はこういうバンドと並べると違和感があるかも知れないけど、ロックンロールを教えてくれたという意味では僕の中では等価なんです。あと、小山卓治。この“カーニバル”とB面に“No Good!”が入ったシングルをリリース後すぐに買ったんだ、16の頃。
ブルーハーツやレッドウォリアーズやラフィンノーズなんかが出てくる前、ストリートスライダーズですら新しすぎる。
もっと根源的なところで、15、16歳の僕を揺るがしたのは、こういうロックンロールたちだったんだ。




♪R&R/R&B COVERS IN 80's

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すっかり古いロックンロールやR&Bにはまりっぱなしのこの頃ですが、そういう音楽にはまるきっかけ、ルーツを遡って楽しむきっかけになったのは、80年代初頭のロックからの影響が実は大きいです。
例えば1985年のビッグ・イベント「Live Aid」、ミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイの“Dancing In The Street”。うひゃー、なんじゃこれ、かっこいいー!ライヴ・エイドに合わせてこんなかっこいい曲を作ったのかー、と思ってよくよく情報をチェックすると、60年代のモータウンのヒット曲だっていうじゃないですか。うーん、あなどれんな、なんて。
当時、アルバムの中で1曲、とか、シングルのB面に、とかいう形でカバー曲を録音するアーティストがけっこういて、あー、あれもカバーなんだ、この曲も、なんて拾い聴きしていたのが、今回のプレイリストのような曲たちでした。

Oh! Pretty Woman / Van Halen
Dancing In The Street / Mick Jagger & David Bowie
You Can't Hurry Love / Phil Collins
Knock On Wood / Eric Clapton
You've Lost That Lovin' Feeling / The Firm
Baby It's You / Nick Lowe & Elvis Costello
Harlem Shuffle / The Rolling Stones
I Got A Woman / The Honey Drippers
Come On Let's Go /Los Lobos
Buzz Buzz Buzz / Huey Lewis & The News
Don't Look Back / Southside Johnney & The Jukes
People Get Ready / Jeff Beck featuring Rod Stewart
Under The Boad Walk / John Couger Mellencamp & Ricky Lee Jones
See You Later Allgator / Dr.Feelgood
Land Of 1,000 Dances / The J-Geiles Band

パンクから発展したニュー・ウェーヴの進化も一段落した80年代前半は、ロック界全体がルーツ回帰を始めた時代でもあった。いろいろチャレンジしてみたけど、やっぱり基本に帰るとこういうのがいいよね、って感じだったのだろうか。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのようなルーツ回帰っぽいバンドが突然売れたり、プログレ・バンドのドラマーがソロでシュープリームスを歌ったり。当時大ヒットしていたカルチャークラブやワム!なんかも今思えばかなりモータウンや60年代ソウルを意識した感じだった。「ロックの進化」を支えてきたツェッペリンのロバート・プラントやジミー・ペイジがなんで今更「懐メロ」なんだ、って揶揄するような音楽雑誌の記事もたくさん見たけど、僕は素直にけっこう好きだったな。
じゃあそのルーツを聴いてみよう、ってなるのはもう少し先のことだけど、83年~86年くらいのこうしたルーツ回帰の動きが、ロックンロールやR&Bを好きになる下地になったのは確かだと思う。
70年代や90年代に育っていたら多分こうはなっていなかったんじゃないかと。




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♪R&R/R&B COVERS IN 70's

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なんだかんだと、作らずにはいられない続編(笑)。
なにしろ、名曲名演名バンド名シンガーがあり過ぎるこの時代。
ブリティッシュだけではなく当然アメリカンも込みで、70年代の音源を中心に、泥臭めのセレクトでどうぞ。

Watch Your Step/ Dr.Feelgood
In The Midnight Hour / The Jam
Brand New Cadillac / The Clash
Shake Your Hips / The Rolling Stones
Messin' With The Kid / The Blues Brothers
Let Me In / Bonnie Raitt
Twistin' The Night Away / Rod Stewart
Peggie Sue / John Lennon
Lonely Teardrops / John Fogerty
If You Gotta Make A Fool Of Somebody / Ron Wood
Tracks Of My Tears / Linda Ronstadt
Only You / Ringo Starr
I Wish You Would / David Bowie
Boom Boom / Dr.Feelgood
Jeannie Jeannie Jeannie / The Stray Cats
One Bourbon One Scotch One Beer / George Thorogood & the Destroyers
Summertime Blues / The Who
Quater To Three / Bruce Springsteen & The E Street Band
Do You Love Me / Johnny Thunders & The Heartbreakers
Havin' A Party / Southside Johney & The Aspberry Jukes
Saved / The Band
It's My Own Business / Dave Edmunds
Slow Down / The Jam

70年代のロックの主流はハードロックとプログレとグラムロック、或いはドゥービーズやイーグルスらウエストコーストのアメリカン・ロックで、こういうロックンロールやR&Bは時代遅れのオールドスタイルだった。5年10年早く生まれていたとしたら、同時代にこういう音に夢中になったかどうかは自信がないんだけど、やっぱりかっこいいよねー。進化型ではなく基本型だからこそ、古びないというか、時代を越えてる。
硬派でやんちゃぽいDr.フィールグッド、ジャム、ストレイキャッツ。ガツンとぶっ飛ばすジョニー・サンダース。或いはザ・バンドやジョン・フォガティやジョージ・サラグッドの泥臭さ、サウスサイド・ジョニーやジョン・ベルーシとダン・エイクロイドのスコンと突き抜けた明るさ。カバー曲といえば忘れちゃいけないロックンロール職人デイヴ・エドモンズとブルース・レディーのボニー・レイット、歌姫リンダ・ロンシュタット。もちろん、ストーンズと元ビートルたちとザ・フーらの、さらっと演ってもどすんと貫禄のある佇まい。あと、オフィシャル音源ではないけれどどうしても入れておきたかったのはブルース・スプリングスティーンのライヴ定番曲。クラレンス・クレモンスがぶっぱなす豪快なサックス、ソウルフルでロッキンなボスはやっぱりかっこいい。それから、クラッシュのあの名盤の2曲目は実はロカビリーのカバー曲だったんですよね。
どの演奏もそのバンドらしさに満ちていて。売れるとか売れないとか流行りとか進歩とか関係なく好きだから演るって感じとか、ちょっとマニアックに振れたアウトサイダーっぽさとか、無骨で頑固で悪っぽい匂いがぷんぷんしてます。
こーゆーのを聴いてると、いくらでも飲めそうだ(笑)。なんか怖いものなしのような気分になってくるんですよねー。
あ、Jガイルズを入れ損ねた。。。80年代編も作る必要がありそうですね。



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♪British Beat Plays Black Music

Please-Please-Me.jpg Rolling-Stones-1964-The-Rolling-Stones.jpg TheAnimals(American_album).jpg 
KinksTheKinks.jpg mygeneration.jpg Angry-young-them.jpg
s-l200.jpg Havingaraveup.jpg StayWiththeHollies.png

自分編集オムニバス作りっていうのは、はまりますね。
前回は甘々で行き過ぎたので、心機一転ワイルドに、60年代初期のブリティッシュ・ビート・グループがロックンロールやブルースをカヴァーした曲ばっかりで一枚作ってみました。
最初はね、ミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズやDr.フィールグッド、ストレイキャッツやジョージ・サラグッド&ザ・デストロイヤーズ、或いはジョンやポールやリンゴのソロなんかも入れようかと思ったんだけど、60年代前半のイギリスものだけでCD一枚分埋まってしまいました。

Walkin' The Dog / The Rolling Stones
Rock And Roll Music / The Beatles
Long Tall Sally / The Kinks
Baby Please Don't Go / Them
Around And Around / The Animals
Heat Wave / The Who
Please Mr.Postman / The Beatles
Stay / The Hollies
Poison Ivy / Manfred Mann
Road Runner / The Zombies
Smokestuck Lightning / The Yardbirds
Dimples / The Animals
I 'm A Man / The Who
Cadillac / The Kinks
Bright Lights,Big City / The Animals
It's All Over Now / The Rolling Stones
Just One Look / The Hollies
Money / The Beatles
I'm A King Bee / The Rolling Stones
Got Live If You Want / The Kinks
Please,Please,Please / The Who
Bring It On Home To Me / The Animals
I Just Want To Make Love To You / The Rolling Stones
Got My Mojo Working / Manfred Mann
Hippy Hippy Shake / The Swinging Blue Jeans
Dizzy Miss Lizzy / The Beatles
Kansas City~Hey,Hey,Hey / The Beatles
Route 66 / The Rolling Stones


全28曲中、バランスも考えつつ、カヴァー音源が山ほどあるストーンズとビートルズからは絞りこんで5曲ずつとアニマルズから4曲。カヴァー少なめのフーとキンクスからはファースト・アルバムを中心に3曲ずつ。あと、ホリーズとマンフレッド・マンが2曲、ゼムとヤードバーズとゾンビーズとスインギン・ブルージーンズが1曲。
元歌側では、チャック・ベリーとマディ・ウォータースとハウリンウルフ、ジミー・リードにジョン・リー・フッカー、ボ・ディドリーらシカゴの連中と、ルイジアナのリトル・リチャードにラリー・ウィリアムズにスリム・ハーポ。コースターズとルーファス・トーマスとドリス・トロイといったアトランティック勢に、マーヴェレッツ、マーサ&ヴァンデラスにバレット・ストロングら初期モータウンがいくつかと、サム・クック、ボビー・ウーマックのヴァレンチノス、一発屋のチャン・ロメロにモーリス・ウィリアムズ&ゾディアックス、あとはJ・B・・・といった布陣で、一応ロックンロールとブルースとR&Bのバランスも考慮。
前半は活きのいいロックンロールでグイグイ押して、中盤ゆるめのをはさみつつ、泥臭いブルースへはまりこんで、終盤ド派手なロックンロールで〆る構成。“カンサス・シティ”と“ルート66”はライヴのアンコールのイメージだな。1曲目がストーンズのファーストアルバムの最終曲で、ラストにストーンズのファーストの1曲目、というひっくり返した構成もなかなかカッコいいな、と自画自賛(笑)。
こうやって並べて聴いていくと、意外にもストーンズはおとなしめ。洒落てるっていうかね、そんなにがさつでもない。ビートルズの方が豪快にロックンロールしてますね。そういう斜に構えたひねたかっこつけがこの時期のストーンズ。
で、むしろワイルドなのはフーとアニマルズだ。エリック・バードンのふてぶてしさはかなり悪人っぽいし、ロジャー・ダルトリーにいたっては凶悪過ぎる(笑)。キンクスはその後のイメージ通り斜に構えてヘロヘロで、マンフレッド・マンは逆にプロフェッショナルな味わい。意外にもホリーズがシャキシャキしてかっこいい。

まぁしかし、なんていうか、ぶっ続けで聴くと、もう、圧巻ですね。
テンション上がりまくりです。
ミックやブライアンやジョンやポールが、海の向こうのブラック・ミュージックに衝撃を受けた感じが今もこの曲たちの中に息づいている気がする。周りの大人たちが眉を顰めるのを横目に「関係ないよ、やりたいようにやるんだ」ってぶっ飛ばした気分が解る気がする。いろんな音楽が大好きだけど、テンションの高さとかっこよさで、やっぱりこの時期の彼らに敵うものはないような気がする。結局自分が好きな音楽って、「この人たちが好きだった」か「この人たちを好きだった」にまとまっちゃうんですよね。
なんてごちゃごちゃしたことは置いといて、とりあえずリピートしまくりたい(笑)。


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♪Sweet Sweet Old Love Songs

200x200.jpg the-ronettes-be-my-baby.jpg 1967 - Cant Takes My Eye Off Of You
the shirelles will you 220px-Stand-by-me-ben-e-king.jpg Take Me In Your Arms And Love Me 
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もうすぐヴァレンタイン・デーってことで、このところずっとお気に入りのオールディーズや古いR&Bから、選りすぐりのスイートなラブソングを集めた編集CDを作ってみた。

Treasure Of Love / Clyde McPhatter 
A Kiss From Your Lips / The Flamingos
You Send Me / Sam Cooke
Everyday / Buddy Holly 
Be My Baby / The Ronettes 
My Girl / The Temptations 
I'm The One Who Loves You / The Impressions
In the Night / Chick Carbo
Earth Angel / The Penguins
Take Me In Your Arms And Love Me / Gladys Knight & The Pips
Baby, I'm Yours / Barbara Lewis
Falling / Roy Orbison
Sea Of Love / Phil Phillips & The Twilights
Stand By Me / Ben E. King
Can't Take My Eyes Off You/ / Frankie Valli
I Get The Sweetest Feeling / Jackie Wilson
Will You Love Me Tomorrow / The Shirelles
I'm In Love / Wilson Pickett
I'm In Love / Aretha Franklin
I Want You, I Need You, I Love You / Elvis Presley
Goodnight Sweetheart Goodnight / The Spaniels


50年代、60年代の古いR&Bを中心にしたかなり糖度の高い甘々のセレクトです。
“Be My Baby”“My Girl”“Stand By Me”などなど超メジャー曲から、クライド・マクファターやジャッキー・ウィルソンらソウルの大御所、バディ・ホリーやロイ・オービソンなど白人ロッカーに、ドゥー・ワップ・グループやガール・グループを織り交ぜて。べったりとくどくはならないよう、かわいらしい感じの“Everyday”や“Take Me In Your Arms and Love Me”、“Will You Love Me Tomorrow”などなどちょっとキュートな感じで仕上げてみました。元歌ボビー・ウーマックの“I'm In Love”は、激情シャウトのウィルソン・ピケット版と、クールで崇高なアレサ・フランクリン版をダブルで、という趣向。
とりあえず自画自賛しておこう(笑)。まったりと甘ぁい気分に浸れます。
英語で歌われるラヴ・ソングっていいですね。日本語だととても照れてしまって言えないような言葉がすらっと言えちゃうもの。

高校生の頃かな、バイトしたお金でダブル・デッキのカセットデッキを買って、こういう編集テープをああでもないこうでもない、こっちのほうがいいかな、やっぱりあれじゃなくてこれかな、なんて考えながら作るのが好きでした。それをウォークマンで持ち出して聴くのが楽しかった。入れたい曲の音源がなかったり、録音レベルがばらばらだったり、テープの時間の関係でどうしてもベストの曲順にならなかったり、最後が切れちゃったりね、いろいろ困ったこともあったけど、今はデジタルで楽勝だ。

音楽の持つ効果のひとつとして、その曲を誰とどんなときに聴いたかがセットで記憶されるというものがある。ある種のタイムカプセルみたいに、ある曲を聴くとセットである人やその人と共有した時間が思い出される、という効果。
もう50年も60年も前の甘ぁーいラヴ・ソングの数々、それぞれの歌に世界中のたくさんの人たちがそれぞれにそれぞれの思いを重ねることができるんだろうな、きっと。
そういうのって、ちょっと素敵なことだと思うんですよね。


♪CRUSIN' STORY 1955-1960

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Crusin' Story / Various Artists

さてさて、いろんなコンビレーション盤についていろいろ紹介して参りましたが、結局のところ一番よく聴くのは何だ、と言いますと、こーゆーべたべたなオムニバスだったりします。
とにかく50年代後半のヒット曲をこれでもか、とぶちこんだ3枚組。ジャケットこそかなり軽いですが、けっこう骨太のロックンロールやロカビリーと甘々のドゥー・ワップやR&Bを網羅しているアルバムです。

まずロックンロールの王様チャック・ベリーからは、“Maybelline”、“Roll Over Beethoven” 、“School Day”に“Rock and Roll Music”。リトル・リチャードは“Tutti Frutti”に“Long Tall Sally” 、エディー・コクランは“Summertime Blues”、プレスリーから“Mystery Train”、バディー・ホリーは“That'll Be the Day”と“Rave On”、ジェリー・リー・ルイスの“Whole Lotta Shakin' Goin' On”、カール・パーキンスの“Blue Suede Shoes”、ファッツ・ドミノ“Ain't That a Shame”、ボ・ディドリー“Bo Diddley”、デイル・ホーキンス“Susie-Q”とロックンロール創成期の名曲が満載。
後に映画で有名になったリッチー・ヴァレンスの“La Bamba”、バディ・ホリーやリッチー・ヴァレンスと共に飛行機事故で亡くなったビッグ・ボッパーの“Chantilly Lace”、「夕焼けにゃんにゃん」でも使われていたボビー・フリーマンの“Do You Wanna Dance?”。ルースターズが演っていたゴキゲンなインスト、ザ・チャンプスの“Tequila”も収録。
そんなロックンロールをを生み出したプレ・ロックンロールな世代からは、ビル・ドゲットのいなたいインスト・ナンバー“Honky Tonk, Pt. 1”、 ビッグ・ジョー・ターナーの“Flip Flop and Fly”、ビル・ヘイリーはボビー・チャールズ作の“See You Later Alligator”。ボイド・べネット&ヒズ・ロケッツの“Seventeen”やジョニー・エースのぐっとくる切ない系バラード“Pledging My Love”。ロックンロールのシャープさやいかがわしさこそ薄めだけれど、ジャンプ・ブルースやジャズからブルース感覚やソウル・スピリットがロックンロールに引き継がれていったことがよくわかります。
そしてこの時代、花盛りだったのが、ドゥー・ワップ。
有名どころでいえば、ムーングロウズの“Sincerely”、デル・ヴァイキングスの“Come Go with Me” 、コースターズの“Yakety Yak”にスパニエルズの“Goodnight, Sweetheart, Goodnight”、フランキー・ライモン&ティーンエイジャーズの“Why Do Fools Fall in Love”といったあたりから、ペンギンズ“Earth Angel”、クローヴァーズ“Blue Velvet”、ハートビーツの“A Thousand Miles Away”、ザ・ファイヴ・サテンズ“In the Still of the Night” みたいなゴスペル・ルーツを感じさせるブルーで渋めのもの、ザ・クロウズ“Gee”、ダイヤモンズ“Little Darlin' ”、ザ・クレスツ“Sixteen Candles”、キャディラックス“Speedo”みたいな軽めでポップなものまでよりどりみどりの百花繚乱。
ザ・ティーン・クイーンズの“Eddie My Love” 、チューン・ウィーヴァーズの“Happy, Happy Birthday Baby”なんて女性ヴォーカルものもじわっと味があるし、後のカヴァー曲で知ったフィル・フィリップス&トワイライツの“Sea of Love”や、モーリス・ウィリアムス&ザ・ゾディアックスの“Stay”なんかはこのアルバムで初めてちゃんと原曲を聴きました。
あ、もちろん忘れちゃいけない、ブラックチャートだけではなくポップチャートをも席巻したザ・プラターズの“Only You”や“Great Pretender”,、ドリフターズの“There Goes My Baby”、サム・クックは“You Send Me ”、ロイ・オービソンは“Only the Lonely” 、キャロル・キングの出世作であるシュレルズの“Will You Love Me Tomorrow” 、若き日のポール・サイモンとアート・ガーファンクルがしびれたというエヴァリー・ブラザース“Wake Up Little Susie”・・・などなど枚挙にいとまがありません。
あと渋いところではシカゴ・ブルースのリトル・ウォルター“My Babe” 、南部っぽい泥くさい系ではロイド・プライス“Personality”、ウィルバート・ハリソン“Kansas City”、リトル・ウィリー・ジョン“Fever”なんてのも入ってます。

こういうコンピレーション盤のいいところは、ジャンルに偏らずに雑多な曲がごちゃごちゃにぶっこんであるところ。
音楽好きの世界はなぜかジャンルごとに分かれていることがありがち、例えばブルース・マニアの人たちはプラターズなんて小馬鹿にするし、ロカビリー好きの人たちはドゥー・ワップとは相入れない。チャック・ベリーやプレスリーをロックンロールの源流と取り扱うような本ではそれより前の音楽に触れることがないことが多いし、でもこうやって並んでいると全部いいんですよね。白人も黒人も、ジャズっぽいのもゴスペルっぽいのもカントリーっぽいのも。そういう雑多で多様なものがそれぞれに影響を受けたり与えたりしながら、素晴らしい音楽が生み出されてきたわけで、雑多な多様性を認めない世の中っていうのはきっとつまらないんじゃないかと思うんですがね。

この「蔵出しCD番外地」シリーズでピックアップしたような雑多なコンピレーション盤やお気に入りのアルバムをいっぱいウォークマンにぶっこんで、シャッフルして聴くと楽しいよー。
バディー・ホリーの次にアニマルズが、コースターズの次にダムドが、デイヴ・エドモンズの次にアレサ・フランクリンが来てビッグ・ジョー・ターナーになってストレイキャッツが来てその次ストーンズ、みたいにかっこいい曲が次々と鳴って、あ、なんか全部つながってるよな、全部根っこは同じだな、って思えるんですよね。


♪GUMBO YA YA

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Gumbo Ya-Ya / Various Artists

さて、ブラック・ミュージックに戻って、ゴキゲンな一枚を。
音楽の都、ニュー・オーリンズの、とにかくファンキーでゴキゲンでホットなテイクを集めたこのコンピレーション。
実はこのアルバム、学生時代、ボ・ガンボスが盛り上がっていた頃に一度ゲットしたものの、いまいちよくわからなくって一度は中古屋に売り払ってしまった過去があるのですが(苦)、無職時代にニュー・オーリンズを旅して以降、ようやくこのゆるくて熱い、体の底からあったまってくるようなニュー・オーリンズ・ミュージックの良さに開眼して再度買い直したというブツです。

ニュー・オーリンズの音楽がリズムとアンサンブルが豊かなのは、そもそもアフリカから連れてこられた奴隷たちが持ち込んだリズム楽器がニュー・オーリンズでは禁止されなかったから、と言われている。奴隷たちの祖国アフリカでは太鼓は共同体の通信の手段としても使われていた。複雑なリズムの組み合わせによって、距離を隔てた同胞と交信を行っていたのだ。奴隷たちが自分たちには理解できないコミュニケーション方法で連携して反乱を企てるのを恐れた白人たちは、奴隷たちから太鼓を取り上げた。が、ニュー・オーリンズは1803年にアメリカに売却されるまではフランス領だったため、太鼓の使用が許されていたのだ。
また、ニュー・オーリンズではお葬式の際は、故人が天国へ行くことを祝福するため、鐘や太鼓で派手に祭りたてる文化があり、その葬列には近親者以外も参列できる。金だらいや木管など思い思いに音の鳴るものを持ち出しては葬列に参加するのだそうだ。子供の頃からそういう文化で育つとリズム感、特に複合的なリズムへの感覚もよくなるのだろうね。
そうやってリズムとアンサンブルの文化的な下地があったからこそ、ニュー・オーリンズでジャズが生まれたのだろうけど、この街でジャズが生まれるきっかけになったものは、南北戦争なんだそうだ。当時の戦争では軍楽隊が威勢よくラッパや太鼓をうち鳴らして兵隊を指揮したり鼓吹したのだそうだけれど、敗戦で不要になった楽器がたくさん、当時南部で一番の都市だったニュー・オーリンズで安く売り払われたのだそう。そのことで、奴隷から解放された黒人たちに安価で楽器が行き渡ったのだそうだ。

・・・とまぁ、そういう歴史や文化的な背景を知ることはとても興味深いのですが、そーゆーのはあくまで副次的なもの、肝は音楽なんですよね。そのリズムやアンサンブルを体でや楽しみたい。心をオープンにして身を委ねたい。
結局のところ、音楽っていうのは音を楽しめるかどうかなんだからね。

さて、このアルバム、様々なアーティストの楽曲がごった煮的に入っていますが、実はそのほとんどにアラン・トゥーサンが一枚噛んでます。
ユーメイどころでは、ずっと長いことドクター・ジョンのオリジナルだと思っていた、デキシー・カップス“Iko Iko”。いかにもニュー・オーリンズらしいリズムが楽しい。ジョン・レノンもカヴァーしていたリー・ドーシーの“Ya Ya” や、ティナ・ターナーや上田正樹とサウス・トゥ・サウスも演っていた、ジェシー・ヒルの“Ooh Poo Pah Doo” 。“Time Is On My Side”や“Pain In My Heart”のオリジネイターのアーマ・トーマスからは“It's Raininng”、“Land of 1000 dances”のクリス・ケナーは“I Like It Like That”、いかにもニュー・オーリンズらしく賑やかなアーニー・K・ドゥの“Mother-in-Law”や超ファンキーなロバート・パーカー“Barefootin' ”などなど名曲ぞろい。
ほかにも大好きなのは、ちょっとドゥー・ワップな感じのチック・カ―ボ“In the Night” や、どこかセクシャルなベニー・スペルマン“Lipstick Traces” やレイモンド・ルイス“I'm Gonna Put Some Hurt on You” 、暑苦しいくらいの泣きがたまらんジョニー・アダムス“Reconsider Me”やエスケリータ“I Waited Too Long”。大御所ヒューイ・スミスの“Bury Me Dead” なんかも、コミカルながらペーソス溢れる感じがなんとも人間味があっていいんですよね。

ニュー・オーリンズの音楽ってのは、この人間くささが一番の醍醐味ですね。
楽しいことは踊り出すくらい楽しみ、悲しいときには号泣し、陽気であっけらかんとして、ちょっとすけべなところも含めて人間が生きているからこその生の感情がそっくり音楽からあふれでていて。そこには、海と大地の恵みに生かされ、自然の脅威からくる理不尽な悲しみも受け入れてきたたくましさがある。この世界への肯定感がある。だからこその、あっけらかんとした明るさがある。
土地や風土が起こすマジックっていうか、やっぱり気候が暖かくて自然の恵みにあふれた土地ではこんなふうにポジティヴなスタンスなるのかな。ゾクッとするような重さと暗さを抱えたニューヨークやロンドンの音とはまるで違って。
冷たい空気に肩をすぼめながら、こういう音楽を聴いて暖かい日を待つというのも一興。
そうして、ポジティヴなフィーリングを体の内側で膨らませるのだ。



♪THE BEST PUNK ALBUM IN THEWORLD・・・EVER!

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The Best Punk Album In The World,,,Ever! / Various Artists

シングル・ヒット中心だった価値観をひっくり返したのはビートルズの「サージェント・ペッパーズ」。
その後は猫も杓子もトータル・アルバム、コンセプト・アルバム、より深く、より難解に、よりテクニカルに、というものが主流の時代が続くのだけれど、それをもう一度シングル中心の世界、金のないキッズがなけなしのおこづかいで楽しめる世界へとゆり戻したのが、パンクだ。

ピストルズ“Anarchy In The U.K”“God Save the Queen”、ダムド“New Rose”“Neat Neat Neat”、ストラングラーズ“Peaches”に、ラモーンズ“Sheena Is A Punk Rocker”、テレヴィジョン“Marquee Moon”、リチャード・ヘル&ヴォイドイズ“Blank Generation”といったオリジナル・パンクの鉄板バンドの鉄板ナンバーは当然のこと、バズコックスジェネレーションXスージー&ザ・バンシーズ、シド・ヴィシャスのソロ名義の“My Way”なんかもばっちり収録。ジョナサン・リッチマンのモダンラヴァース“Roadrunner”も。
スティッフ・リトル・フィンガーズトム・ロビンソン・バンド、それにDr.フィールグッドイアン・デューリー&ザ・ブロックヘッヅあたりはパンクなのか?とも思いつつ、やっぱりかっこいいよねぇ。
デビュー当初はパンクの括りだったジャムからは“All Around The World”、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズは“(I Don't Want To Go)Chelsie”とトンガリめのセレクトだけど、ジョー・ジャクソンは“I'm the Man”じゃなくて“Is She Really Going Out With Him”となぜか渋めのセレクト。世代が違うにも関わらずイギー・ポップの“Passenger”も入っているのは、パンクの精神へのリスペクトか。
トーキング・ヘッヅXTCブームタウン・ラッツといった後にポップなフィールドで大ブレイクするバンドも初期のナンバーは荒々しく、なるほどパンクのムーヴメントがあって世に出たバンドだったんだということがよくわかる。
ブロンディーの“Denis”はギリセーフとしても、プリテンダーズの“Stop Your Sobbin'”が妙に浮いてるな、とか、その割りにポリスの“So Lonely”が入っていないのは??、とか、クラッシュが入っていないのは、何か権利関係?なんて疑問符も一部ではつくけれど、概ね「これぞパンク!」と喝采をあげるような、イキオイのあるゴキゲンにぶっ飛んだチューンが次から次へと流れてくるのは素直に楽しい。
マニアックなところでは、アンダートーンズジ・オンリー・ワンズ、後にビッグカントリーを結成するスチュワート・アダムソンのスキッズが入っているのがうれしいな。
そういったいわゆるド直球のパンク勢に混ざって、PILを筆頭に、マガジン、キリング・ジョーク、ワイヤーなど、いわゆるポスト・パンク~ニュー・ウェイヴ系のものもこのアルバムには多数収録されていて。この手のどろんとへヴィーなものはあんまり聴いてこなかったから、ディーヴォやバウワウワウ、アダム&ジ・アンツなんかも含めて、実はこのアルバムで初めて聴いたものも多いんだけど、パンクのムーヴメントはこういう精神的背景を持っていたことことも含めてしっかりフォローしてあるのはアルバムのコンセプトとしては素晴らしいことだな、あんまり好んでは聴かないけど(笑)。

1976年から40年経った今、こういうレコードを聴いて思うのは、結局ロックンロールっていうのは、未熟で反逆的な青二才のための音楽なんだな、ということ。
パンク・ロックだって、元をたどればただのロックンロール。プレスリーやバディー・ホリーやリトル・リチャードやチャック・ベリーに50年代の革新的で新しいもの好きの若者たちが狂喜したように、60年代の反逆的で満たされない若者たちがビートルズやアニマルズやフーやキンクスにぶっ飛んだように、70年代のキッズたちにロックンロールを解放したのがパンクだったんだな、と思うのですよね。
50's、60's、70'sとつながるロックンロールの解放感。結局こういうシンプルでポップでエモーショナルな音楽こそが自分の原点なんだな、と。

20代の頃、50前になってこういう音を聴けているとは想像すらしてなかったけど、こういう音が今もビンビン来る自分でいられるのが有り難いよね。
こういう音をノスタルジーで聴くようにはなりたくないな。いつだって行けるぜ、くらいのイキオイで聴きたいな。いくつまでそう言いきれるかはわからないんだけど、今はまだ、もう少し、中指立てて、エラソーにふんぞり返っている奴等に一撃を食らわせてやりたいな、って思ってます。



♪BRITISH INVASION

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British Invasion / Various Artists

お気に入りのオムニバス盤を拾っていくとついついブラック・ミュージック中心になってしまうので、ここらでロックを一発。
オムニバス盤というのは基本シングル・ヒット中心になるのだけれど、そもそもビートルズが「サージェント・ペッパーズ」をリリースするまでは、アルバムというものはシングルの寄せ集めだった。頭でっかちのコンセプト・アルバムに$25も出すよりも、ラジオで聴いたお気に入りの曲のレコードを$5で買って何度も何度も繰り返し聴くようなピュアな音楽の接し方が当たり前の時代があったし、思い返せば僕だって、金のない中高校生の頃はそうだったもんね。
そんな「サージェント・ペッパーズ」以前のシングル・ヒット中心のロックの時代の代表として今日紹介するのは、いわゆるリバプール・サウンド、マージー・ビートのオムニバスです。
このレコードを手に入れたのは割りと最近だけど、中学生の頃にFMラジオで「リバプール・サウンド特集」の1時間番組を一生懸命エア・チェックしていた頃を思い出すような選曲がいいんですよね。
マンフレッド・マンの“Doo Wah Diddy Diddy”やフレディー&ザ・ドリーマーズの“I'm Telling You Now”、ホリーズの“Bus Stop”、アニマルズの“House Of Rising Sun”、ゾンビーズの“She's Not There”、ピーター&ゴードンの“World Without Love”。このアルバムには入っていないのが残念だけど、サーチャーズの“Walk in the Room”、トレメローズの“Silence Is Golden”やデイヴ・クラーク・ファイヴの“Because”などなど、中学生の頃、わくわくしながら何度も聴いた記憶があります。
それぞれのバンドのことはあまりよく知らないけれど、ビートルたちと同じように、ブルースやR&Bやロックンロールのかっこよさにしびれて、それを自分たちのものにしてきた連中ばかり。真っ黒なアニマルズからフォークっぽいピーター&ゴードンまで黒っぽさの度合いには差があるけれど、どの曲もとにかくポップですよね。色とりどりのキャンディーやキラキラするガラス玉みたいにポップ。そしてスパッとシャープでイキオイがある。もっさりしたメロドラマみたいなポップスしかなかった当時の白人たちの音楽環境で、黒人たちの演る音楽に憧れを持ちつつも刷り込まれた固定観念から黒人たちの音楽を素直に受け入れられなかった白人たちにとって、自分たちと同じ肌の色の若者たちのプレイする黒人音楽みたいな音楽は、熱狂的な支持を得ただろう。歌謡曲ばっかりだったシーンにツイストやサザンや桑名正博が出てきた78年の日本のように、女の子たちが真っ先に飛びついて、最初はまゆをひそめてたり面白がるだけ珍しがるだけだった連中もやがてその魅力に気づいて、みたいな。

この年になって改めて、ポップであることの大事さを感じるんですよね。
売れるシングル・ヒットっていうのは結局のところエンドユーザーにとって支払った価格以上の価値を提供しますよ、というある意味での潔さがあります。
売れ線狙いの二番煎じばっかり作ってリスナーに媚びてしまうのはどうかと思うけど、自らの表現欲求とエンドユーザーの満足の間にあるサムシングを一生懸命探っている、自分が満足できなけりゃやる意味はないけれど、対象者に満足してもらえないのならやっぱり価値がない、そんなせめぎあいの中から生まれたポップ、そういうのって大切だな、そういうせめぎあいの末に生まれたものっていうのはやっぱり伝わるし、広くはなくとも深く長く愛されるんじゃないのかな、なんて思ったりします。

と、ついついくどくなってしまうのは僕の悪い癖ですが、パッと聴いてもいいし深く聴きこめば聴き込むほどよりよさがにじみ出てくる、そしていつでも中学生の頃の自分に引き戻してくれる、そういう音楽がやっぱりいいよな、なんて思うの今日この頃なのであります。




♪BEATLE CLASSICS

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Beatle Classics / Various Artists

こちらは同じくP-Vineの、ビートルズがカヴァーした曲の原曲シリーズ。
ストーンズ盤と比べると、ストーンズとビートルズの共通点と相違点がよくわかる、というシロモノです。

ビートルズが選んで演奏した曲たちの個性は、実にバラエティー豊か。
ストーンズが手を出さなかった、ロカビリーのカール・パーキンスジーン・ヴィンセント、カントリーのブッチ・オウエンスらを取り上げているのがひとつめの特徴。
ふたつめはシュレルズクッキーズドネイズといったガール・グループ。これもストーンズは手を出さなかった。
マーヴェレッツミラクルズ、或いはバレット・ストロングなど同時代のヒット曲だったモータウンはストーンズもいくつか演っているけど、ビートルズのほうが選曲がポップで、このポップさは、“Till There Was You”や“Besame Mucho”のようなおよそロックンロール的ではないスタンダード曲をご愛敬的に取り入れていることにも現れている気もするな。
当時知る人ぞ知るようなある意味マニアックな音楽だったシカゴ・ブルースをストーンズはがっつりカバーしているけど、ビートルズはそのあたりには無関心で、その代わりずらっと並ぶのが、リトル・リチャードラリー・ウィリアムスらのハチャメチャにぶっとんだロックンロールたちだ。エネルギッシュというか爆発的というか度を越してるようなロックンロール。チャン・ロメロの“Hippy Hippy Shake”なんかもスィンギン・ブルージーンズがヒットさせるより前にハンブルク時代にはガンガン演っていたらしいし。
まぁ、総じて、ポップさやかわいらしさ、ハーモニーを活かしたメロディーの美しさで広く大衆に窓口を開きつつ、ぶっ飛ぶときはド派手にぶっ飛びまくる、というのがビートルズのキャラクターのわかりやすい部分だったことがわかります。
メンバー全員が全員一致で大好きだったんだろうな、と思わせるのが、チャック・ベリーバディー・ホリー
バディー・ホリーは、そもそもクリケッツ(=Cricket、こおろぎ)からヒントを得てビートルズ(=Beetle、カブトムシ)と名付けただけあって一番ビートルズっぽさに近い感じがますよね。ま、順序が逆なんだけど(笑)。

ブライアン、ミック、キースの3人ともがどっぷりブルースを軸にしていたのに対し、ジョン、ポール、ジョージ、後から参加のリンゴも含めて実は音楽の好みはけっこうばらついていたと思われる。ド派手ロックンロールはジョン、美しいメロディーとハーモニーはポール、ほっこりしたカントリーはジョージ的な個性が強い感じ。その好みのばらつきを、お互いがお互いの好みを雑食的に吸収していったことが、ビートルズの音楽が飛躍的に進化し今まで誰も聴いたことがないような音楽の創造に大きな関連があっただろうし、一方で50年演り続けているストーンズとは対照的に彼らがわずか8年そこらで解散してしまった遠因だったような気もする。そもそも一致しないことによる化学反応こそがビートルズのポイントだったのだからそれもやむをえなかったのだろう。
興味深いのは、ラリー・ウィリアムスらのアグレッシブなロックンロールが大好きだったジョンが、けっこうキュートでかわいらしいガール・グループが好きだったり、スタンダードやおよそロックンロール的なものとはかけ離れたラウンジ・ミュージックも好きなポールが、実はリトル・リチャードの激アツなロックンロールをシャウトしていたりという幅を持っていたこと。このコンビネーションの妙が、ビートルズの奥深さと幅の広さのもうひとつのポイントなのだと思う。
お互いがお互いの中に共通点と相違点を持っていることが、ある種の化学反応が起きるいいコンビネーションの秘訣かと、そんなことを思ったりもします。


♪ROLLING STONE CLASSICS

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Rolling Stone Classics / Various Artists
Rolling Stone Classics 2 / Various Artists

コンピレーション盤にとって大切なのは編集のコンセプト。たくさんのアーティストのそれぞれの楽曲を、どういう切り口で並べるか。
バラエティー感をしっかり出しつつ、全体のトーンの統一感を保つ、ここがぶれると脈絡のない寄せ集めレコードになってしまいます。
という点で素晴らしいのがP-Vineのクラシックス・シリーズ。
これは、ローリング・ストーンズがカヴァーしたブルースやR&Bの原曲を集めたもの。
ド真ん中にはマディー・ウォータースハウリン・ウルフチャック・ベリーボ・ディドリーらチェスのシカゴ・ブルース直系のサウンドを配しているとはいえ、古くはロバート・ジョンソンの“Love In Vain”やロバート・ウィルキンスの“Prodigal Son”から、テンプテーションズの“Just My Imagination”まで、コースターズの“Poison Ivy”やドリフターズの“Under The Boadwalk”といったメジャー・ヒットから、ボブ&アールの“Harlem Shuffle”といったマイナー曲まで、アルヴィン・ロビンソンの“Down Home Girl”といったディープなサザン・ソウルから、洒脱なボビー・トゥループの“Route66”まで。まぁ“Route66”に関してはチャック・ベリーのヴァージョンを参考にしたんだろうけど、とにもかくにも、あっちこっちに幅を拡げつつも、ストーンズという軸を中心にバシッと統一感があるのが素晴らしいです。

昨年の暮れ、ブルースのカバー・アルバム「BLUE & LONESOME」をリリースしたストーンズですが、ストーンズの面々っていうのはほんとうにブルースやR&Bが大好きで、こんな風に音楽をプレイしたい、こういう音楽に込められたスピリットを体現したいと思って音楽を始め今もその思いを持ち続けているんだな、ということがよくわかるのです。サイケデリックのムーヴメントには少し乗って失敗したけれど、その後プログレが流行ってもハードロックが台頭してもパンクやニューウェイヴの時代になって進化しないマンネリのロートル・バンドだと揶揄されてもストーンズがぶれずに自分たちの音楽のスタイルを貫いてきたのはそういうことなんだろうな。
そんなストーンズたちが体現したいと願っていたブルースやR&Bのスピリットというものが、このコンピレーションを聴いていると浮かび上がってくるような気がします。
言葉にするのはすごく難しいけれど、いわゆる「個」としての思いをストレートに表現するということと、ということかな。
それを、あくまでもオーソドックスに、時代のエッセンスは取り込みつつも流行のスタイルには取り込まれずに、ポップ・ヒットとして求められるクオリティーと基本的なフォルムは保ちつつ、ちゃんと自分なりのスタイルで自分なりの情感をフォーマットに昇華させて。
そういう部分、ストーンズっていうのは無邪気なのにクレバーで、ピュアなのにしたたかで、フットワーク軽いのにものすごく頑固という絶妙のスタンスを貫いているのですが、そういうスタンスも含めてブルースやR&Bから吸収したんだろうな、ということもこのコンピレーション盤からか垣間見えるような気がします。



♪VEE JAY STORY

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Big Boss Man -The Vee Jay Story- / Various Artists

チェスと並ぶシカゴの黒人音楽レーベル、ヴィー・ジェイ。
ゴリゴリにディープなチェスも素晴らしいですが、ヴィー・ジェイの音はもう少し洗練されていてゆるゆるなのが魅力。少し都会的っていうか、チェスよりもやさぐれていないっていうか、マディーやエルモアのゴリゴリのブルースではちょっとへヴィーすぎる、と感じるときにはヴィー・ジェイがよく効くのです。

大物ブルース・マンとしては、エルモア・ジェームズは“It's Hurts Me Too”、ブギーの王様ジョン・リー・フッカーも“Boom Boom”、“Dimples”などの名演をヴィー・ジェイにいくつか録音を残しているけれど、代表格はなんといってもジミー・リード。“Honest I Do”をはじめとするゆるゆるのブルースは、なんだかとてもほっとします。
そのジミーの相棒だったエディー・テイラーの“Ride 'Em On Down”。あるいはメンフィス・スリムなんかもゆるいブルースが得意だった。
ブルース以外では一等好きなのは、“Duke Of Earl”や“Man's Temptation”のジーン・チャンドラー、ジーン・チャンドラーにもたくさん曲提供しているカーティス・メイフィールドがいたジ・インプレッションズの“For Your Pressious Love”。そして当初インプレッションズのメイン・ヴォーカリストだったジェリー・バトラーの“He Will Break Your Heart”。或いは“Just a Little Bit”のロスコー・ゴードン、“Raindrops”のディー・クラーク、ストーンズもカヴァーした“You Can Make It If You Try”のジーン・アリソン、ドゥー・ワップなら“At My Front Door”のエルドラドスに、“For All We Know”のオリオールズ、“I Really Do“のファイヴ・エコーズ、“Good Night Sweetheart”のスパニエルズ。
いずれもどこかほっこりして温かみがある感じがするのですよね。

ヴィー・ジェイ・レコードを創設したのはヴィヴィアン・カーターとジェームス・ブラッケンというふたりの黒人の若者で、ふたりの頭文字からヴィー・ジェイとなったんだけど、ラジオのDJだったブラッケンは、ラジオでよくかけられる曲の多くは生出演の生演奏主体でレコードで買うことができなかったことが不満でレコーディングを始めたのだそうで、当初から「黒人による黒人のためのレーベル」を掲げていたそうです。アトランティックやチェスの、「売れるので結果的にブルースやR&Bの名レーベルになった」のとは成り立ちそのものが違う。そのインディペンドなスピリットがかっこいいですね。
設立当時の1953年ごろといえば、黒人たちの間ではまだ公民権運動など黒人であることの意識の向上は考えとして定着しておらず、都会で定職を得て少し裕福になった黒人たちはむしろ「黒人はダサい、白人に近づくことがかっこいい」という意識があったようです。そのことを反映してか、まだ当時の黒人音楽は、黒人としてのアイデンティティを歌うよりは、黒人の芸人性を押し出したエンターテインメント的なものや、より白人ポップス的に漂白されたようなものが主流だったのだけど、ヴィー・ジェイが録音したものの多くは、黒人としてのアイデンティティは保ちつつも都会的に洗練されたものが多く、田舎っぽいコテコテのブルースも受け入れられずかといって白人のコピーもなんだか、と思う中流意識の普通の黒人たちに広く受け入れられていったようで。
今、都会にいる黒人がリアルに求めていて、洗練されつちも黒さも残したポピュラーな音楽を提供していく・・・都会に住む黒人達の日常にリアルに必要とされるポピュラーなブラック・ミュージック・・・そんなカラーを持ったヴィー・ジェイの、良くも悪くも中庸だからこその魅力を持った音楽が広く受け入れられたことは、黒人であることの意識を普通に広く自然なかたちで浸透させていくという点で、実は、後の黒人解放運動の爆発の下準備というか大いなる無意識の背景になったのではないかと思ったりします。

まぁ、そういう蘊蓄話はともかくとしても、ヴィー・ジェイの録音には、どこか柔らかさや明るさが感じられるんですよね。ブルーな気分をポジティブな方向へ向けてくれるような静かな強さ、腕力ではない心の強さというか。
過激で極端な物言いがやたらと強気な姿勢を示すご時世だからこそ、こういう穏やかな強さが素敵だな、と思う今日この頃。
こういう音楽のように穏やかで、かつ強くありたいものだと思います。



♪CHESS STORY

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Chess Story Vol.1 From Blues to Doo Wop / Varios Artists
Chess Story Vol.2 from R&B to Soul / Various Artists

アトランティックと同じ時代に、もっと小規模ながら、黒人たちのための黒人音楽を録音していたのがシカゴのチェス・レーベル。
当時シカゴでは、マディー・ウォータースやウィリー・ディクソン、ジミー・ロジャースリトル・ウォルターらそうそうたるメンツが南部直送のどす黒くてへヴィーなブルースを日夜プレイしていた。
そしてハウリン・ウルフエルモア・ジェームスジョン・リー・フッカーサニーボーイ・ウィリアムソンロウエル・フルソン、それからなんといってもロックンロールのパイオニア、チャック・ベリーとジャングル・ビートの創始者ボ・ディドリー。畏れ多いほどのビッグ・ネームがバリバリに活動していた50年代のシカゴってのは、相当にヤバい街だったんだろうな。

たくさんの黒人たちが綿花畑で働いていたミシシッピ州やテネシー州。
1865年に奴隷制度こそなくなったものの、地主たちによる酷使と搾取の構造は変わらず、黒人たちはプランテーションで厳しい労働に従事していた。
1927年にはミシシッピ川の大洪水で大きな被害を受け、さらに化学繊維の発達で綿の需要は細っていった。一方で北部の大都市・シカゴやデトロイトでは第二次世界大戦での需要を背景に重工業が盛んになっていくが、移民受け入れを制限したこともあって、新しい労働力として南部から黒人たちが大挙して北部の都市へ移動していったのだ。このことが、シカゴで黒人音楽が大きな発達を遂げることと深い関わりがある。
メンフィスとシカゴの距離は850kmあるけれど、ハイウェイを走る夜行バスに乗れば一晩で着く距離。日本で例えれば、甲信越や東北と関東との関係、或いは九州や四国、北陸と関西の関係に近かったんだろうな。
故郷を捨てて遠く離れた大都市へ流れてきた黒人たち。近いとはいえ、たやすく行き来できる距離でもない。成功者のつてをたどって一攫千金を夢見てなけなしの金で大都会へやってきはしたものの、夢叶わず落ちぶれていくものが大半で、そんな吹き溜まりのような街で、故郷の訛りで歌われる南部のブルースは、黒人たちの心を癒したのだろう。
チェス・レーベルは、そんな黒人たちのために黒人たちの音楽を録音し続けたのだ。

チェスといえばブルース、なんだけど、実はドゥー・ワップやリズム&ブルースやロックンロールもたくさんリリースしていた、というのがよくわかるのがこのコンピレーション盤。
ドゥー・ワップならムーングロウズフラミンゴスブルージェイズリー・アンダーソン&ザ・ハーツ
“Rockrt88”のジャッキー・ブレントン&ヒズ・デルタ・キャッツ“ Searching For My Love”のボビー・ムーア&リズムエイシズ
それから、一番の稼ぎ頭だったのはシュガー・パイ・デサントエッタ・ジェームス
ボビー・チャールズの“See You Later Alligator”デイル・ホーキンスの“Susie Q”といった白人R&Bプレイヤーのも入ってる。
どのアーティストもどこか泥臭いというか、垢抜けない感じがして、そこが魅力的ですね。

京都も大阪も寒いけど、シカゴの冬はもっと凍えるように寒いんだろうな、なんて思いながら、このレコードをしんみりと聴く残業帰りの冬の夜。
ミシガンを越えてくる凍てつくような冬の風が吹き付けるシカゴの裏町で、暖かい南部の故郷を思いながら、一夜の酒盛りやギャンブルに身をやつしていく自分を想像しながら、ブルースな気分に浸ってみる。
だって、60年前のシカゴだろうが2017年の大阪だろうが、人が暮らしを営んでいる以上、ブルースの種なんていくらでもゴロゴロ転がっているんだからね。


♪ATRANTIC RHYTHM AND BLUES 1947-1974

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ATLANTIC RHYTHM & BLUES / Various Artists

リズム&ブルースのコンピレーション盤といえば、何はともあれアトランティックです。
これは1947年から74まで、アトランティック・レーベルの歴代R&Bヒットを網羅した7枚のシリーズ。
実は金がなくって中古をバラ買いしたので、未だにVol.1だけが揃っていないのだけど(笑)。

なんといっても最初にガツンときたのは、66年から69年のヒット曲がたっぷり詰まったVol.6だった。
ウィルソン、ピケット“Land of 1000 Dances”“Mastung Sally”、エディー・フロイド“Knock On Wood”、オーティス・レディング“Try A Little Tenderness”、サム&デイヴ“When Something Wrong With My Baby”“Soul Man”、アーサー・コンレイ“Sweet Soul Music”、ジョー・テックス“Show Me”、後半は“Respest”“Do Right Woman,Do Right Man”“Baby,I Love You”“Chain Of Fools”“A Natural Woman”などなどアレサ・フランクリンのヒット曲オンパレード、〆はブルック・ベントン“Rainy Night In Georgia”と、これでもかっていうくらいのエキサイティングでグレイトなナンバーが満載。ちょうどストーンズのかっこよさに目覚めて、このあたりを聴きあさりはじめた頃で、あ、なるほど、ルーツはここなんだって感じでがっつり聴きまくりました。

少し時代を下ったVol.7は、69年から74年。タイロン・デイヴィス“Turn Back The Hand Of Time”やキング・フロイド“Groove Me”、ベティ・ハリス“Clean Up Woman”などソフィスティケイトされつつもファンキーな楽曲が登場すると同時に、ロバータ・フラックやダニー・ハサウェイら内省的でシンガーソングライター的要素を含んだニュー・ソウルっぽいものが主流になっていく時代の変化がよくわかる。

遡ってVol.5には62年から66年まで。ここはソロモン・バーク“If You Need Me”、ルーファス・トーマス“Walkin' The Dog”、ドン・コヴェイ“Mercy,Mercy”などストーンズがすぐにカバーした黒光りのソウルてんこ盛りに、“Mr.Pitiful”“Respect”“I've Been Loving You Too Long”などオーティスの数々のヒット曲。それからホリーズがカバーしたドリス・トロイの“Just One Look”。
ただ、泥臭くディープなソウル一辺倒でもなくて、エスター・フィリップス“Release Me”、バーバラ・ルイス“Baby,I'm Yours”といったストリングスなんかも入ったちょっとオールド・スタイルな感じの曲も幾分含まれていて、50年代のスタイルがロックンロールの影響を受けてよりビートの効いたものへと変わっていく感じが見えてくる。

58年から62年のVol.4はレイ・チャールズとラ・ヴァーン・ベイカーとコースターズとドリフターズ/ベン・E・キングのヒット曲大会。“The Night Time Is Right Time”に“What'd I Say”に“Saved”、“Charlie Brown”に“Poison Ivy”、“This Magic Moment”に“Dance With Me”、“Stand By Me”に“Don't Play That Song”。
レイ・チャールズはゴスペルとブルースを強烈に混ぜ合わせ、ラ・ヴァーン・ベイカーはルース・ブラウンのパンチのあるシャウトをさらに発展させ、コースターズはドゥー・ワップをより洗練されたポップに仕上げ、ドリフターズはコーラス・グループの基礎を作った、最初の黄金時代とでもいうべき時代。

若い頃はこのあたりまではよく聴きまくったのだけど、それ以前の40年代後半~50年代前半モノには苦手感がありました。古臭くてイケてない感じがしていたのかな。
ところが年を重ねるごとにこういうのが気持ちよくなってきて、最近はVol.2やVol.3のほうばっかり聴いている。
Shake,Rattle,and Roll”や“Honey Hush”のビッグ・ジョー・ターナー、ルース・ブラウンの“Lucky Lips”や“Wild Wild Young Men”。ドゥー・ワップでは“Good Lovin'”や“Lovey Dovey”のクローヴァーズに“Sh-Boon”のコーズにダイヤモンズやカージナルス。クライド・マクファターのドリフターズは“Such a Night”や“Money Honey”をヒットさせ、プレスリーに大きな影響を与えた。
元々30年代や40年代、主流の音楽はビッグ・バンドのスタイルだった。グレン・ミラーとかベニー・グッドマンとかカウント・ベイシーとかの楽団。ビリー・ホリディだってビング・クロスビーだってフランク・シナトラだって、楽団のヴォーカリストだったのだ。それがコンパクトなコンボになり、ルイ・ジョーダンやワイノニー・ハリスらのジャンプ・ブルースが生まれる。弾き語りが主だったシカゴやテキサスのブルースもバンド化し、一方でストリートでは楽器も買えない貧しい連中がドゥー・ワップを始め。そういう大きな流れが、アトランティックというレーベルの中で混ざりあって渾然一体となって、次にロックンロールが生まれてくる土壌ができあがっていった、みたいな。

こういう音楽を聴いていると、ぜんぶ繋がっていくんですよね。そこにそれぞれの時代背景と社会の変化があって、これはもう書き始めると本が一冊できてしまうレベルに膨大になるけれど、そういうことを知る中で、今という時代の座標を確認できたり、自分もまた社会の流れと繋がりの中で生きていることを感じたり、まぁとにかく深いですわ。
そういう深さと広さを感じさせてくれるこの7枚組は、一生ものの値打ちがあります。


Appendix

プロフィール

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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51NacLGHbDL.jpg Musical Romance 81Jiymj05iL__SL1417_.jpg Ramblin Bob Amazing Bud Powell 1 I'm Jimmy Reed 91nimun-gdL__SX425_.jpg The West Coast Sessions 51N428T8D2L.jpg 71Y7cZxniBL__SL1098_.jpg Ella & Louis Chicago Bound アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1 51RNkrRkrKL.jpg ベスト・オブ・バディ・ホリー 51Y1W0GNK4L.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 51r1Jn3KysL.jpg 418FMPHEH8L.jpg 41BMZZ4644L.jpg 91gRh3dMZCL__SL1500_.jpg 41D5N5A2NPL.jpg 71rf2SLpdpL__SL1000_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 41D7S4CZWBL.jpg 41+QbmWm7aL.jpg presandteddycover.jpg clyde mcphater VERY BEST OF Man & His Music A1DhxQZCjXL_SL1500_.jpg marvin-fellow.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg The_Rolling_Stones-1964-The_Rolling_Stones.jpg Beatles for Sale My Generation: Deluxe Edition 51AcnSJcHyL.jpg 51bNj+ULpSL.jpg 51DHQC61ZWL_SX425_.jpg 41o9XeUuZjL.jpg 20 G.H. Live in Europe tomt 51cKCqaKQxL__SY355_.jpg 81DCRuSH25L__SL1500_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg MI0002782768.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg soulman_original_alb.jpg 51FGtOkImKL_SX300_.jpg west_side_soul1.jpg Beggars Banquet エヴリ・ワン・オブ・アス+1 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 71otoVzhCuL__SL1105_.jpg 413AMGT7SFL.jpg 51ds00OKe-L.jpg 616osu5m8iL_SX425_.jpg 305a1614.jpg 81pMwMtFveL__SL1345_.jpg 81f2DLVCzJL__SL1300_.jpg 51uOzyp+Z6L.jpg 71eG2rIxazL__SL1046_.jpg 51ZJJGM2ZZL.jpg Fire and Water 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg Fragile 715IJ+j9EuL__SL1131_.jpg Music Muswell Hillbillies 71ctdmsHsJL__SL1084_.jpg 71PD4tBKioL__SL1116_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 61XXWX6tmCL.jpg 61NAZCOWDDL__SL1100_.jpg セイリン・シューズ(紙ジャケットCD) 71eNbpCI6UL__SL1077_.jpg 511-tyxVUpL.jpg 91gT9fqhZ3L_SX425_.jpg I'm Still in Love With You 414HP65MBKL.jpg 51X8dY66CsL.jpg 愛と自由を求めて 51RXYQ9OO3L.jpg Takin My Time Closing Time There Goes Rhymin Simon 明日に架ける橋(紙ジャケット仕様) ひこうき雲 GP Moondog Matinee 716rGZASCKL__SL1425_.jpg 41SSP93BHWL.jpg 51zJyUc+r6L.jpg 51jCzIh4qRL__SS280.jpg 61-8DQVxWjL__SL1050_.jpg 61dZdC6t62L__SY355_.jpg 71aWAFuF6BL__SL1050_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 51JbSP69QaL.jpg 渚にて 5197RcTXXnL.jpg 81A5c2hHeyL__SL1425_.jpg 81qgW6uhF1L__SL1500_.jpg Born to Run Nils Lofgren 61BdFFiXniL__SX425_.jpg スネイクス&ラダーズ(ベスト)(紙ジャケットCD) ROCK 'N' ROLL 61ijQ7n04TL__SL1065_.jpg 31vqqUxOjnL.jpg 612tlGtI4sL_SX425_.jpg Malpractice c674c8d38b834d1a46f26cee2f0381b7.jpg 71f0CPCXaJL__SL1050_.jpg 71s7uOgUVBL__SL1092_.jpg 81-hcf-9GdL__SL1228_.jpg In Concert: Best of Pretender 3112T4QJV9L.jpg Equal Rights Songs in the Key of Life “1976” 6184mADL6LL.jpg Ronnie_Lane_-_One_For_The_Road_-_LP_RECORD-57899.jpg Brinsley_Schwarz_Surrender.jpg 51sDSqlWYbL.jpg マーキー・ムーン Ramones L.A.M.F. - The Lost Mixes Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols マイ・エイム・イズ・トゥルー+1 New Boots & Panties 7139dYLoG8L__SL1050_.jpg 21EXZVPG4AL.jpg 51fnZ7zzuUL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 4129-Q6sVHL.jpg 61NLoHBAYAL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg Black Woman Chaka Briefcase Full of Blues 616WAJF3SGL.jpg 91U+8UJ1+vL__SL1500_.jpg 80 51Cm3YGmDQL.jpg 51JKKZA9W4L_SX425_.jpg 518Vq58mgUL.jpg 41VQXG3BFML.jpg 31V0AVW674L.jpg Long Run 71Y9bXH9D+L__SL1412_.jpg labour_of_lust_nick_lowe.jpg Into the Music London Calling マラッカ(紙ジャケット仕様) Rickie Lee Jones 81zR19Ga9VL__SL1079_.jpg 41cLeG0ZrFL.jpg The River Emotional Rescue THE ROOSTERS Woman and I...OLD FASHIONED LOVE SONGS(紙ジャケット仕様) RHAPSODY 41Tcvs70ZPL.jpg 51tRgx3mLgL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg Poet david lindley 91nimun-gdL__SX425_.jpg A00003808.jpg 800.jpg 51au3oRpDSL__SS280.jpg Heart Beat 61rH90dDhtL__SL1050_.jpg 71gHPyBVGqL__SL1050_.jpg lookout.jpg milk_hi.jpg 女の泪はワザモンだ!!<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様) Pipes of Peace 51QeHiRUz8L.jpg JOAN20JETT202620THE20BLACKHEARTS20I20LOVE20ROCKN20ROLL.jpg 62805277.jpg 71WCRrbfr5L__SL1500_.jpg 51YJOxD55iL.jpg 51SSVnYVsJL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 812JxniX3jL__SL1500_.jpg 41o+TOhThhL__SL500_.jpg 嘉門雄三 51wXhNgjs4L__SS280.jpg 510RsGZt0KL.jpg 71fefvSZXFL__SL1076_.jpg 71sCe7ReLUL__SL1273_.jpg Innocent Man 91nimun-gdL__SX425_.jpg 51ipQpNEBPL.jpg 51b+kbtwmZL__SX355_.jpg Uh-Huh (Rpkg) Learning to Crawl North of a Miracle 510NH8D9RTL.jpg 61gyVhU1QCL.jpg Ocean Rain インナ・ビッグ・カントリー<30周年記念デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様) LIGHTS OUT 41uaexamSNL.jpg 819qdTNLMxL__SL1500_.jpg 616vZDe-wFL_SX425_.jpg 51Nh3RjwObL.jpg 31219QDNA0L.jpg Live in Italy YELLOW BLOOD(紙ジャケット仕様) 0831oyamatakuji.jpg 51xUBB5IDXL.jpg 51W5vbzNSoL_SX425_.jpg This is the sea Southern Accents Centerfield Rose Of England Poor Boy Boogie 51KQnRGfZkL.jpg 61P1R84YZTL.jpg THE仲井戸麗市BOOK 81xvZZeDEqL__SL500_.jpg 71uNe1yRlOL_SX425_.jpg 41BiuimcyaL__SL500_.jpg 71mWhnbZlBL__SL1045_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 51Uv2AegNJL.jpg Lone Justice Shake You Down 71qx7rhRauL_SL1247_.jpg Talking With The Taxman About Poetry 71PrfBnIAlL__SL1417_.jpg 51JC0ZVZ2JL.jpg 41FRDVE5HHL.jpg 51MCNZnwnYL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 41kyWjIskxL.jpg 61pfESgIsfL.jpg 51161GGhY3L.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 81341iLwJBL__SL1500_.jpg 41G391YlKQL.jpg 41H2ZNKB5BL.jpg RogerTroutmanUnlimited517753.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 71+LokGlumL_SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 51vj8mxfgpL_SX425_.jpg 61r6gn5Zw7L__SL1050_.jpg 81KoDrysvWL__SL1402_.jpg 81CONxXc05L__SL1425_.jpg MARVY Dream of Life 41P61852YRL.jpg First of a Million Kisses covers.jpg 51WXla6D4UL.jpg 51iMxsNHHpL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg MONKEY PATROL If I Should Fall From Grace With God Lou Reed NY アメリカ roy orbison mystery girl NZO.jpg tbirds.jpg ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 浮世の夢 51lOB6A0QuL.jpg 31TRAKHBS3L.jpg 41HETTEDKEL.jpg 61WRTiXKDxL__SX425_.jpg 71XidOygo4L__SL500_.jpg 71VhTv2GwpL__SL1079_.jpg 61GF12GYFTL.jpg 41CX6E9PEDL.jpg 29b546020ea0dffa61f19110_L.jpg thEJUVZLEV.jpg 71sLT+3QzeL__SL1000_.jpg 51EXCEcq9XL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 51Cu2Y3de7L__SS280.jpg album-worldwide.jpg 416RTFVCTCL.jpg 愛があるから大丈夫 71-OO+VcMTL__SL1400_.jpg STICK OUT 91nimun-gdL__SX425_.jpg Through the Fire 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg album-four-chords-several-years-ago.jpg Mitakuye Oyasin Oyasin/All My Relations king-cake-front.jpg 81nBa9cn4ML__SX425_.jpg 71mdoTOXk2L__SL1084_.jpg 51zRUTKe5SL__SX425_.jpg 51AeVTRTGL.jpg 51uHHCgmeUL.jpg New World Order Sound of the Summer Running 41PFEPPAEHL.jpg 615 61umgDYJ83L_SS500_SS280.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg Home Girl Journey All That You Can't Leave Behind 91nimun-gdL__SX425_.jpg 31ARJGY84EL.jpg 31BGVPYMTKL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 日々のあわ Soulbook 廻る命(DM008) 41mNSDBqy6L__SX355_.jpg Dance-With-My-Father-by-Luther-Vandross-J-Rrecords.jpg 81XonM-Wu4L__SX355_.jpg Okinawauta.jpg 41JYS3WjE6L.jpg 81DSuwZXaxL__SL1400_.jpg cover32.jpg 61gyVhU1QCL.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg 91nimun-gdL__SX425_.jpg yjimage.jpg

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