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♪ギミー・シェルター

2007年発表のパティ・スミスのアルバム"Twelve"に収められた一曲、ストーンズの"Gimmie Shelter"を。

 嵐が近づいている
 今日、まさに、私の人生に
 避難場所を見つけなければ
 私は消されてしまうだろう

 戦争が、子供たちよ、始まろうとしている
 この一発で始まってしまう
 戦争が、子供たちよ、始まろうとしている
 この一発で始まってしまうんだ

 炎が広がっていく
 今日、まさに、今いるこの通りに
 真っ赤な石炭のカーペットが燃える
 狂った牛は道に迷ってしまった

 戦争が、子供たちよ、始まろうとしている
 この一発で始まってしまう
 戦争が、子供たちよ、始まろうとしている
 この一発で始まってしまうんだ

 強姦が、殺戮が
 この一発で始まってしまう
 強姦が、殺戮が
 この一発で始まってしまうんだ

Twelve
Twelve / Patti Smith


我が国の総理大臣の言うところの『積極的平和主義』の必然的帰結としてのこの状況。
しかも、それは始まってしまったばかりなのだ。

テロにはもちろん反対だ。暴力は結局のところ憎しみの連鎖しか生み出さない。
しかし、彼らをテロリストと呼ぶ時点で、もはや彼らと敵対する側の勢力であると表明してしまっていることになぜ気づかないのか。
彼らからの視点では、空爆を繰り返し力で屈服させようとする勢力こそテロリストに他ならないのだから。
「許さない。今後も国際社会と連携し」云々の言葉が意味するところは事実上の宣戦布告と受け止められるのではないのか?
欧米とは違うやり方で世界の安定に寄与することができる可能性を、追従することで自ら潰してしまったばかりか、かろうじてまだ残されていた別の選択肢を捨てて、私たちはすでに戻れない道を歩み始めてしまっているのではないか。
資源の少ないこの国で経済的繁栄を維持していくためには、米国主導の世界秩序に追随する方法が一番現実的なのだとしても、結局のところ『積極的平和主義』の結果、命を落とすのは誰なのだ?
それは、甘い言葉やカッコいい言葉に踊らされて、無関心を装い続けた私たちの自業自得なのか?


60を過ぎても精力的に世界にヒリヒリするようなメッセージを発し続けるパティ・スミス。
暴力的なストーンズのバージョンに比べて、パティの歌うこの歌には反語的に平和への祈りを込めたニュアンスがある。
このアルバムはカバー曲ばかりで構成されているけれど、その曲の選択の中に、シビアな2000年代へのメッセージが込められている気がする。
現実を直視しろ、そしてあきらめるな、と。


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コメント

[C2466]

LA MOSCAさん、毎度です。
確かに、アルバム発表当時の「今」の表現になってますよね。Boy in the BubbleとかPasstime Paradise、それに目からウロコだったEverybody wannt to rule the worldやなんかが特に。
いろんな意見はあるでしょうけど、社会と、今と、コミットした歌を歌うというのはブルースからパンクへと受け継がれてきた本質のひとつだと思うし、そういうパティ・スミスの現役感がかっこいいと思ってます、改めて。
  • 2015-02-05 00:54
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2465] 仰るとおり

カバーしてる曲は古い古典みたいな曲が多いけど、単に過去の名曲をやってみましたってカンジじゃなく(レコーディング当時の)「今」の作品になってると思います。

「ギミシェル」はストーンズにとっても代表曲のひとつで名演なのにパティのも双璧すると俺は思ってます。
あきらかにパティの曲になってるから。

[C2464]

GAOHEWGⅡさん、こんばんは。
ストーンズのはむしろ戦争を始める側っぽく聞こえますが、パティさんのは状況への危機感を感じます。

パティ・スミスの90年代以降の作品はどんどん研ぎ澄まされて崇高な感じが高まってますよね。
特にパティさんは中東方面の宗教的なことや和平には関心が高いようです。
このアルバムは元曲のクオリティが高い上に完全に自分流に消化したパティの歌にレニー・ケイですから・・・完璧。


  • 2015-02-03 21:52
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2463]

golden blue様 こんばんは

ギミー・シェルターがベトナム戦争などを扱った曲だとは知っていましたが、なるほどパティのバージョンの方が平和を訴えるメッセージ・ソングの性格が濃くなっていますね。

このカバーアルバム、個性が突き抜けてていいですよね。久しぶりに聴こうと思います。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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