fc2ブログ

Entries

♪すてごま

-この記事はフィクション、もしくは単なる妄想であり、実在の団体や個人とは一切関係がないことをあらかじめお断り申し上げます。-

「大臣、恐れながら申し上げます。彼の地では邦人2名が武装集団に捕らえられておるとの情報があります。同盟国からの要請とはいえ、この度の後方支援への追加拠出の発表は、武装集団どもをいたずらに刺激するのではないでしょうか。」
「きみ、口を慎みたまえ。あれは後方支援への拠出ではない。人道支援だ。」
「は、申し訳ございません。」
「あの憲法がある限り、我が国はああやって同盟国から金をむしりとられるのだよ。いまいましいものだとは思わんか。」
「仰るとおりではございますが・・・。」
「構わんのだよ。」
「は?」
「拘束されているというのは、ややこしい商業軍人とめんどくさい人道ジャーナリストだろう?それは把握しておる。むしろ好都合ではないかね。」
「と仰いますと?」
「テロリストどもはおそらく法外な身代金を要求してくるだろう。以前の英米人のように、交渉に応じなければ公開処刑にする、と。しかし我々は断じてテロリストには屈しないのだよ。」
「ではどうやって邦人を救出されるおつもりで?」
「救出などせんよ。公開処刑が行われれば国民どもは動揺するだろう。それこそチャンスではないか。世界にはこのような無法者どもがたくさんいる。このような輩から我が国を、我が国民を守るためには、腰抜けの平和憲法なんぞ何の役にも立たぬのだ、我が国も海外で武力行使できるようにすべきだ、という世論を大きく巻き起こせるよい機会ではないか。そうは思わぬかね。」
「しかし・・・。」
「彼の地への渡航は危険喚起済み、自己責任だよ。」
「・・・。」
「ただし、交渉については誠心誠意すすめているように見えるようにしてくれたまえ。こちらの思惑がバレるとまためんどくさい左側がうるさいからな。」
「それはもちろんでございますが・・・。」
「ご先祖様、いよいよ我が国が普通の国になる日が近づいて参りましたよ。私が必ずや実現して見せますから。」
「・・・。」


 きみ、ちょっと行ってくれないか
 すてごまになってくれないか
 いざこざにまきこまれて
 死んでくれないか
     (すてごま

STICK OUT
STICK OUT / ザ・ブルーハーツ



「きみ、この言葉は知っているかね。人命は地球より重い。そう、我が党の先達の有名な言葉だ。」
「大臣!考え直していただけるのですか!」
「明日から私のSPを五名、増員してくれたまえ。」
「・・・。」


スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/992-c85e9204

トラックバック

コメント

[C2460]

非双子さん、こんばんは。
あくまでフィクションですので・・・腹を探ればこんなとこじゃないかしら、というアキラメと、我が国のお偉方がこんなことを考えていなけりゃいいけど、という願望も込みで。

ネットの世論を(見ないようにしつつつい見てしまう)見ているとなんかため息でますよね、自己責任論、心ない誹謗中傷、ちゃかし、からかい。一方で何が何でも人命第一ってのも違う気がするし、憲法9条はこういうとき確かに役には立たないけどなくしたところで結局巻き込まれちゃうんだし、総理の責任追及で政争の道具にしているのもそーゆー問題ではないやろ、と。
いろんな意味で平和な国、そのツケをこれから支払わされてしまうのかな、という気分です。
  • 2015-01-27 23:03
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2459]

パチパチパチ(拍手ですよ~)
言っちゃったね(笑

人それぞれ、色々と言い分があると思うけど、、、
「正義って何?」
「人命の重さ、人の価値は何で違うのぉ~?」

非常に難しいけど、客観的に真剣に考える必要は有ります。
  • 2015-01-27 20:18
  • 非双子
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

Gallery

Monthly Archives