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♪MEMPHIS ‐MV番外編SNNその10‐

Memphis
Memphis / 忌野清志郎

Released:1992

MyVintage番外編・SNN、しょーもないけどにくめないシリーズ、最後の10枚目は清志郎です。
これも、しょーもないなんていうとファンの人から怒られそうな大名盤。
でも、あえてしょーもないと言ってしまうのは、清志郎自身が、突然のハプニング的に降ってわいてきた敬愛するブッカー・T&MG’ズとの録音のチャンスにウキウキして、自らのキャリアの中ではあえて番外編的に録音したであろうと思うからです。
そもそもこのアルバムが制作されるきっかけは、スティーヴ・クロッパーやドナルド・ダック・ダンらが91年にブルース・ブラザース・バンドのメンバーとして中野サンプラザで公演したときのことらしい。
客として来ていた清志郎は、アンコールで呼ばれて一曲歌ったらえらい盛り上がって、MGズのメンバーも何だかコイツはすごい奴らしい、ってことになって打ち上げの焼き鳥屋にも呼ばれてすっかり盛り上がって、だったら一緒にツアーしたらって話になって、いや、ツアーするんだったらアルバム一枚録音しようぜ、みたいなことにどんどん周りが盛り上がっていって・・・レコーディングが決まってからも、清志郎本人は逆に「MGズと共演なんてそんな恐れ多いことしちゃまずいんじゃない?」と困っていたのだそうだ。
録音に際して用意した曲のほとんどは過去のボツ作品、新しく用意したのもいわゆる名曲ソウルのリメイクというやっつけ仕事。そしてアレンジ含めてそのまんま60年代スタックス・サウンド。
Boysはちょっと“I Can't Turn You Loose”だし、雪どけは“I've Been Loving You Too Long ”だし、世間知らずは“When A Man Loves A Woman”だし、スティーヴ・クロッパーとの共作となっている MTN はまんま“FA-FA-FA-FA-FA”だし。
でも、これらは全部パクリではないのです。
だってオリジナルの当人たちが演奏しているんだもの。
高齢化社会でのファンクっぽさ、ジョン・リー・フッカーみたいなブギーのカモナベイビーママ プリーズ カムバックでのドスの効いたベース・ラインとヘヴィーなグルーヴ、彼女の笑顔なんてソウルフルでブルージーで、アルバート・キングとMGズの共演盤みたい。もう、最高にかっこいいですよね。

そしてこのアルバムを聴いていつも思うのは、シアワセを音にするとこんな感じなんだろうなぁ、ってこと。
最愛の奥さんのことを歌った石井さんや、タッペイくんのことを歌ったラッキー・ボーイ、それからぼくの目は猫の目なんかにあるかわいらしさ。
どこかもっちゃりして人間味の滲み出るようなあたたかみのあるMG’s独特のあのサウンドをバックに歌う清志郎は、いつものようにつっぱったり毒づいたりはせず、ただもう“こんなバンドと一緒にできてうれしいんだ”という素直なリスペクトをからだ中で表現したかのように無邪気で活き活きとして、まるで「どうだ、このサウンドは!」といわんばかりに誇らし気だ。
誰もがこんなふうに世界と自分の人生の関わりを肯定できたら、悲惨な事件や争いごとは起きなくなるのにな、なんてことを思いつつ。


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コメント

[C2470]

LA MOSCAさん、こんにちは。
嬉しそうですよね、このアルバムでの清志郎。
毒のある歌や孤独の歌もここでは明るめで。
発表当初はその明るさが妙に違和感だったんですが、今になってみるととても感慨深いです。
  • 2015-02-08 09:20
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2469]

確かに此処での清志郎は珍しく地に足が着いてない浮足立ったカンジがしてそれがいいですね。
特に今になってみると。
パクリ云々は「十八番の応酬。隙あらば出てくる。
「日本人もさ、カッコつけてちょっと変えたりしないで得意なことをやればいいと思う」
とか言ってました、清志郎。
俺がこのアルバムで一番好きなのは「MTN」
こんなに嬉しそうにはしゃいでる清志郎もあんまり他にないなって。
武道館で観たライヴでは「雪どけ」のオフマイクでの熱唱が強く印象に残ってます。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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