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♪ぼちぼちいこか ‐MV番外編 SNNその9‐

ぼちぼちいこか+6tracks(紙ジャケット仕様)
ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司

Released:1975

大阪へ出て来てから
可愛いい女と呼ばれたい
あこがれの北新地
Come on おばはん
みんなの願いはただひとつ
雨の降る夜に
梅田からナンバまで
とったらあかん
俺の借金全部でなんぼや
俺の家には朝がない
買い物にでも行きまへんか
なつかしの道頓堀

生粋の関西ネイティヴのへ理屈かもしれませんが、英語は大阪弁で訳したほうが理解しやすいです。
表現が直球というか、リズムが近いというか、例えばHELLOは[kon-nichi-wa]という三つの音節ではなく[maido]と一音節で発した方がニュアンスが近い。THANK YOUだって、[ari-ga-tou]よりもしゅっとひとこと、[ohkini]の方が近いし、I LOVE YOUだって「私はあなたを愛しています。」と訳すから気恥ずかしくなって言えなくなってしまうのは当然で、ニュアンスとしては[sukiyanen]のほうが断然近いのではないかしら。
まぁそんなへ理屈はともかくとしても、その昔、大阪にはブルースを大阪弁に訳していた男たちがたくさんいた。
上田正樹と有山淳司の『ぼちぼちいこか』も大阪弁で歌われたブルースの名作。
この名作を"しょーもない"というには抵抗があるような気もするけど、いや、違う、これこそ大阪弁でいうところの"しょーもない"="けったいであほくさいけどどっか憎めん"、という意味でのしょーもないアルバムやと思うわけです。
俺の借金全部でなんぼやなんて、ほんまあほくさいコミック・ソング。
そもそもこの自堕落な暮らしぶり。それでいながらこの窮状を笑えるユーモア。
それから、これはもっとえげつないのはとったらあかんやな。とりあえずめっちゃおもろい。腹抱えて笑ろてまう。
監獄入ってまでも抑えきれへん欲望って、、、やりすぎやろ(笑)。

せやけど、これらは単なるコミック・ソングとはちゃうと思うんです。
これらの曲のテーマは、つまりは、ユーモアの向こうに滲み出る、どん底の暮らしの悲哀。欲望に負けてしまう人間の弱さ。そしてこういう暮らしの人がいるというドキュメントであり、そういう社会へのアンチテーゼでもあるわけで。
1900年代初頭アメリカ南部で生まれたブルースは、そもそもは奴隷労働に従事した黒人たちの、癒しと慰めと憂さ晴らしのための音楽で、そこには世の中の底辺から見た怒りや笑いがある。
もはや笑うしかないほどせっぱつまったどん底の暮らしの中では、きれいごとのお説教ではなく、下ネタも犯罪ネタも含めてきわどすぎるくらいの本音で歌にするからこそ癒され慰められるのだ。
そういう意味で上田正樹と有山淳司がこのレコードで表現したのは、スタイルとして真似してみただけののブルースではなく、ブルースのスピリットそのものだったと思うのです。

自分の立ち位置から感じたこと歌うこと。
これがブルースからロックに手渡されたバトン。
時にはシリアスに、時にはユーモアも交えつつ。
そういう歌を歌える前提として、表現の自由が保証された社会があるのだけれど、どうもこのところきな臭い匂いが漂っている気配がする。
まして弱者が強者をからかったり批判したりすることを規制するならば、ブルースやパンクなんて歌えない世の中になってしまう。
政治家って職業は何やったってどこかからは批判されるわけで、たいへんな職業だと同情はするけれど、批判にいちいち目くじらを立てて癇癪起こして腕力でひねり潰そうとする様は無様というか自らの底の浅さを晒しているようでみっともないったらありゃしないですわ。



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コメント

[C2472]

colさん、こんばんは。ご無沙汰してます。
関西弁はもっちゃりしてるけどリズミカルなとこはありますよね。くどくど説明調ではなくフィーリング、ニュアンス優先ぽいとこもあるかもしれません。
  • 2015-02-08 20:45
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2471]

goldenblueさん、こんにちは
言われてみれば関西弁の方が英語に乗せやすいですね
標準語は母音への依存が高すぎるのでしょうか
ラップを耳した時にもよくそう思います

[C2468]

わんわんわんさん、こんばんは。
もっちゃりした関西弁がブルースのいなたいリズムや古くさくも懐かしい音に妙にぴったりはまるんですよね。
関西の、大きな田舎みたいな感じもシカゴやメンフィスの雰囲気とよく合うのかもしれませんね。
  • 2015-02-05 23:01
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2467]

これは名盤ですね。
関西訛り特有の泥臭さがブルースにはぴったりくるんですよね。
  • 2015-02-05 10:51
  • わんわんわん
  • URL
  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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