FC2ブログ

Entries

♪道づれは南風

いつものように終電近い電車を降りたら、ホームに見知った顔を見つけた。
色白でごっつい顔にしょぼしょぼとした細い目、やわらかで穏やかな表情、白い髪。
あ、Kさん!

・・・人違いだった。
当たり前だ。Kさんは、2ヶ月少し前に亡くなっているのだ。
くも膜下出血で倒れて意識を取り戻すことなくあの世へ行ってしまったのだ、ということを家族葬が終わってから知らされた。まだ60を少し過ぎたばかりだったのに。
Kさんは元々長い間水産関係の仕入れをされていた方。定年を間近に控えた頃に東日本大震災が起きて、いてもたってもいられなくなって会社に長期休暇届を出して自費でボランティアに出かけられた。休暇の終わりに辞表を出したら会社から慰留されて現地在住のボランティア担当になられ、何度か寄せていただいたボランティアではずいぶんとお世話になった。毎夜の酒盛りで楽しいお話やしみじみとした思いを語ってくださった。
Kさんは、ボランティアの出発式の時には必ずこんなことをおっしゃっておられました。
「ボランティアは頑張ってはいけません。くれぐれも頑張り過ぎないでください。ひょっとしたらボランティアを終えて、たいしたことができなかったのでは?と思うかもしれません。でも、これだけは覚えていてください。微力は無力ではありません。小さな力がいくつも集まって大きな力になるのです。少しずつでいいんです。」
その言葉で、どれだけたくんさんの人たちが、安心してボランティアに参加することができただろうか。
微力は無力ではない。続けてくことが大事。
そうおっしゃっていたあなたが、こんな形で向こうへ行ってしまうなんて。

Kさんが好きだとおっしゃっていた高石ともやさん。
僕たちの世代にはあまりピンと来ないのだけれど、あの世代の方々にとっては青春時代を象徴する人なのだと思う。
中学生の頃、ラジオでかかっていてなぜか気に入りだったこの歌を聴いてみた。

img595.jpg
道づれは南風 / 高石ともやとナターシャ・セブン


もうすぐ阪神淡路大震災から20年、二度とあんな悲しいことは起きてほしくないと願いつつも東日本の大地震は起きてしまった。いくら願っても自然には通用しない、むしろいつか起きるものだとハラをくくっておいたほうがいい。その日のための具体的な備えをした方がいい。心の備えも。

微力は無力ではない、微力は無力ではない。
そうつぶやきたくなる日が、きっとこれからもいくつもあるだろう。
そんなとき、Kさんのやわらかく穏やかな笑顔のことを思い出すと思う。


スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/976-ef26f1bf

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

09 | 2020/10 | 11
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Gallery

Monthly Archives