Black Woman / Judy Mowatt
Released:1979
Strength To Go Through Concrete Jungle Slave Queen Put It On Zion Chant Black Woman Down In The Valley Joseph Many Are Called Sisters' Chant 今年の夏は比較的過ごしやすい。
もうここ何年も連日35℃越え当たり前だったから、最高気温33℃と聞くとほっとしてしまう、というのはどこか感覚的に狂っているのか?という気もしないでもないけれど。
夏の音楽ならやはりレゲエ。
夏だから南の島の音楽、ってな単純なことではないのだけれど、やっぱり夏にはレゲエが聴きたくなる頻度が上がる。
初めて聴いたレゲエのレコードはボブ・マーリーの『Live!』 で、やっぱりレゲエと言えば誰を置いてもまずはボブ・マーリーなのだけれど、今回敢えてMyVintageに選んだのは、そのボブ・マーリーをバックで支えたコーラス隊、I-Threesの一人、ジュディ・モワットさんのアルバム。
ボブの歌であり歌われるメッセージは、タフでポジティヴで至極真っ当ではあるのだけれど、真夏にはちょっと暑苦しい場合もあり・・・その点、ジュディさんの歌はちょっとゆるくて柔らかい。リラックスできる。癒される。
ただ、ゆるくて物腰が柔らかいからと言って、ジュディさんのメッセージそのものがゆるいわけではもちろんない。
たとえばアルバム・タイトル曲はこんな歌だ。
私たちは農園で見捨てられ
鎖でつながれたまま競売にかけられて売られた
商品のように取り扱われて、虐待を受け
ゴミ箱の中に捨てられたのよ
けど、もうその必要はない
私たちを解放して
立ち上がって
私が歌う歌に合わせていっしょに歌って
(
Black Woman )
第三世界の住民として資本主義国に搾取され、黒人として白人からいわれなき差別を受け、女性として男性から低い地位を押しつけられる。
そんな三重の苦しみを負わされた人々の声を代弁して高らかに歌われる告発と共感と支援のメッセージ。
ボブ・マーリーが歌うと哲学的でお説教的に、ピーター・トッシュあたりが歌うと拳銃でも持ち出しかねない物騒な感じになりそうだけど、ジュディさんの歌はそういった説教っぽさや物騒さを感じさせない。
明るく物腰やわらかに、けど主張は主張として毅然と物申す。
そのしなやかな強さが素敵だと思う。
物騒で勇ましい物言いが幅を利かせている今の時代だからこそ、そういう女性の力が必要だと思う。
そのことの本質を理解しているのかどうかはともかく総理大臣も「女性管理職を3割に引き上げる」なんてことを言っているけれど・・・残念ながら掲げたスローガンと現実はひどくかけ離れていて。
自分の職場ですら、ほんとうに女性がのびのびと力を発揮するためにはおっさんたちが意識を変えないと無理なんだろうな、と思うことがよくあります。女性を男性論理のフィールドにひっぱりこんで同質化させようとしても、家事や子育てへの理解が社会側にない限りそもそも現実的に無理なのであって、女性の考え方を尊重し、異質な意見を受け入れて自分たちが変わっていく心づもりがおっさんたちにない限り、女性が女性としての力を社会で発揮するなんて不可能なのかも、なんて思ったりもします。
でも、女の人たちにはどうかへこたれずにいてほしい。
いっぺんに出来ることなんてたかだか知れている。たくさんの人が同じような考えに立つことにも時間がかかる。コトを焦らずひとつずつ受け流していけばいい。
レゲエのリラックスしたリズムと強靭なビート、そしてジュディさんのしなやかな声にそう思う。
必要なものは
Strength To Go Through なのだ、と。
あぁ、また仕事の日々が始まるな。
ここから年末まではもうほんとうにあっという間なのだ。
どうかへこたれずにいられますように、自分も、みんなも。
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ブラックウフルーやアスワド、僕もちょこちょこ聴いてはいました。サード・ワールド、もうちょっとあとだとジャネット・ケイやマキシ・プリーストなんかも。
当時レゲエはそれなりに盛り上がっていましたもんね。
今はなんか違うものになっちゃった感があって、結局はボブ・マーリーを中心とするルーツ系が一番ということになりました。
ジュディさんの声、ゆるくて優しくて力強い。ゆとりのある感じと芯がぶれない感じが好きです。