So/Peter Gabriel ピーター・ゲイブリエルの、鼻持ちならないインテリみたいに気取っていながら誰にも理解できないようなくだらないギャグを大真面目にやってるみたいな滑稽さと真剣さの入り混じった感じが結構好きだ。 誰かに理解されようとされまいとそんなことはきっとどうでもいいのだろう、彼はいつだって大真面目なのだ。
Stop Making Sense/Talking Heads トーキングヘッヅ(ヘッドの複数形なのだから正しいカタカナ表記はヘッズじゃなくヘッヅだろう)の醸し出す都市生活の苦悩と高揚。頭は時代の最先端や人と違う何かを求めてひたすら高速回転していくのに、体は原初の野生やかつてあった共同体で味わった歓喜を求めてプリミティヴになっていく、そこに現れる引き裂かれた自我をかろうじて食い止めようとするとこんな音楽が生まれる。
Around the World in a Day/Prince & the Revolution この歪んだ気持ちよさ、ねじれたポップさは一体何だ?? サイケもファンクもブルースもゴスペルもビートルズも全部ぶち込んで極彩色に塗りたくった感じ。 塗りつぶしたはずなのにそれでもどろりと溢れるどうしようもない癒されなさ。
Song X/Pat Metheny メセニー名義だが、かなりオーネット・コールマン色の強い、混沌としているのに清々しさすら感じてしまう不思議な世界。オーネットお得意の、細胞の隅々まで行き届いてDNAを組み変えられてしまうような不思議な音色のリズムとメロディーに脳味噌がぐちゃぐちゃにシャッフルされてしまうような奇妙な快感がある。一度そんなふうにして脳味噌や内蔵の裏側を綺麗さっぱりクリーニングしてみたいものだ、とふと思う。
The Pros and Cons of Hitch Hiking/Roger Waters とても強烈な体験なのに目が覚めてから誰かに話そうとすると脈絡がなさ過ぎてとても言葉にできなくなってしまう、そんな明け方に見る何ともいえない奇妙な夢みたいな不思議な音楽。唐突に現実的な響きを持って鳴らされるクラプトンのギターさえも、夢のように霞がかった暁の空に消えていく。何ともいえない儚さが奇妙にしっくり来る日もたまにはあるものだ。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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