FC2ブログ

Entries

♪RUMBLIN' BOB -MyVintage(99)-

Ramblin Bob
Ramblin' Bob / Robert Nighthawk

Recorded:1937-52

My Vintageのシリーズもすでに99枚目。
100枚少しで一区切りを考えているのだけれど、ここらでもう一枚、ブルースを入れておきたい、と考えて悩んだ。さて、誰にすべきか、と。
基本的にブルースは何でも大好きなんだけど、何せうるさ型の多いこのジャンル、アレを聴け、コレを聴け、○○がわからないなら聴く資格はない、などと教条的なものが大嫌いな自分としてはモダン・ジャズと同じくちょっと辟易することもあったりで(笑)、積極的に深入りすることを避けてきたようなところもあり。
ブルースマンからは、過去にジミー・リードとジミー・ロジャースを選んだのですが、もう一人、薀蓄やら演奏技術やらバイオやらステイタスやらを抜きにして、心で感じるブルースとして僕が選びたいのはこの方。
ロバート・ナイトホークさん。

ナイトホークさんは1909年アーカンソー州ヘレナの生まれ。67年(僕の生まれた年)に58歳で亡くなっている。
このアルバムに収められてはいるのは、ロバート・リー・マッコイと名乗っていた1937年セント・ルイスでの録音からの12曲と、49年と50年にチェスで録音した5曲、51年と52年にユナイテッドで吹き込んだ7曲。

<ロバート・リー・マッコイ時代>
Tough Time
Lonesome World
Don't Mistreat Your Woman
Prowling Night-Hawk
Take It Easy Baby
Mean Black Cat
Mamie Lee
Every Day and Night
Ol'Mose
Freight Train Blues
Next Door Neighbor
Friar's Point Blues

<49年・50年チェス録音>
My Sweet Lovin' Woman
Anna Lee
Black Angel Blues
Return Mail Blues
Six Three O
※このアルバムには収録されていませんが、チェス時代の録音には、当時のガール・フレンドのエセル・メイのヴォーカルをフューチャーした曲も数曲収められていて、これはこれですごく艶があってかっこいいです。

<51年・52年ユナイテッド録音>
Kansas City Blues
Crying Won't Help You
Take It Easy
Feel So Bad
Bricks In My Pillow
You Missed a Good Man
Maggie Campbell

ナイトホークさんの録音としては、この他に64年にシカゴのマックスウェル街で録音された路上ライヴがあるくらいで、これでほぼ全曲集の状態。
録音が少ないのでひょっとしたらパブやギグではもっとハッピーでファンキーな側面もあったのかな、とも思わされるのですが、録音に残る限りではナイトホークさんのブルースはとことん暗いです。
ブルースにエレキ・ギターを初期の段階から導入したひとりではありますが、シングルトーンで訥々と弾くギターは、後世の、例えばマジック・サムやアルバート・キングのようなバリバリ弾きこなすブルース・ギタリストからするととてもじゃないが物足りないし、ボビー・ブランドのように歌がうまいわけでもないし、ハウリン・ウルフみたいに豪快に唸るわけでもない。
ロバート・ジョンソンやロニー・ジョンソンと比べると華麗さやかっこよさもあんまりないし、かといってジミー・リードのような純粋さや素朴さとも違う。
そしてマディ・ウォータースやエルモア・ジェームスやサニー・ボーイ・ウィリアムソンやジョン・リー・フッカーみたいに、後世のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えたわけでもない。
とにかく暗い。
とっつきにくいくらい暗い。
ただ、暗いだけではなくブルースらしいいかがわしさはじゅうぶんにあるし、艶というか独特の色気もある。おそらくは婦女子にはたいそうモテたのだろうな、と思わされるフシもある。
でも、やっぱり暗い。
ただ、重くはないのです。
淡々としている。
そこが好き。
暗いのに絶望的な感じにはならない、淡々としているのにまるで悟りの境地にはならない、静かなる狂気みたいな。
そういうところに惹かれてしまうのです。

代表曲、Black Angel Blues(Sweet Black Angelとの表記もありストーンズが後にカヴァー、B.B・キングは後にSweet Little Angelのタイトルでカヴァー)は、こんな歌詞だ。

I've got a sweet black angel, I likes the way she spread her wing
I've got a sweet black angel, I likes the way she spread her wing
When she spread her wings over me, I gets joy and ev'rything

If my black angel should quit me, I believe that I would die
If my black angel should quit me, I believe that I would die
If you don't love me black angel, please tell me the reason why

  黒い肌の甘い天使といい感じ
  彼女が翼を広げるのがとても素敵なんだ
  黒い肌の甘い天使といい感じ
  彼女が翼を広げるのがとても素敵なんだ
  彼女が俺の上で翼を広げるとき、それは俺にとっても無上の喜び

  もし俺のブラック・エンジェルが去ってしまったら、きっと俺は死んでしまうだろう
  もし俺のブラック・エンジェルが去ってしまったら、きっと俺は死んでしまうだろう
  もし俺のことを愛せないのなら、どうかその理由を教えてほしい

ダメダメ男の振られソングや、オレオレ男の絶倫自慢ソングが数あるブルースの中で、この切なさはどうだろう。
愛されているにもかかわらず不安におののく心模様。
そして、胸締め付けられるような、シングル・トーンのギターの音色。
愛に飢えて、孤独を恐れ、切なくキリキリと胸の痛むブルースは、少なくともあまり多くはない僕のブルース体験の中で、僕の心への響き方としては他にない。

同胞や後輩がスターとして脚光を浴びる中で、録音にも恵まれずただ自分のためにブルースを歌い続けたような生涯。
いや、ひょっとしたらそういうことを自ら避けて、依怙地に自分のためだけに歌いたかったのかも知れないな。決して報われなかったのではなく、そう思いたい。
そして、そんな偏屈さや頑固さも含めてついつい手前勝手に共感してしまいたくなるのです。





スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/944-f6bf4fb4

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

Gallery

Monthly Archives