My Aim Is True / Elvis Costello Released:1977
golden(以下g):「エルヴィス・コステロって、絶対嫌な奴だよな。」
blue(以下b):「なんでまたいきなり?」
g:「だってさ、3回も結婚してるんだぜ。」
b:「あー、確かデビューしたときにはもう結婚してたんだったっけ。」
g:「そう。でも売れたらさっさとソウコウの妻と離縁して、次に結婚したのが、当時ポーグスにいたベーシストのケイト・オリオーダン。」
b:「プロデュースしたバンドの女の子に手を出す、ってのは確かによろしくないわな。」
g:「ケイトさんっていうのは決して美形ではないけど、ちょっとほっておけないタイプって感じよね。」
b:「うん。」
g:「バンドの紅一点を横からかっさらっていちゃった。」
b:「当事者だったらむかつくかもね。」
g:「でもまぁ、そこまでは許せる訳よ。当人たちがお互いに恋に落ちたのならね。」
b:「まぁ、本人同士のことやからねぇ。」
g:「ところが、結局そうやって奪い取った妻も結局別れて、次がダイアナ・クラールときたもんだ。」
b:「美形やね。」
g:「そう、美形のジャズ・シンガー。何それ?て思わん?パンク・バンドのベーシストと正反対じゃん?」
b:「なんだよ、結局美形好きかよ、みたいな?」
g:「そう。今までのこと全否定?みたいな。」
b:「まぁ、言わんとしてることはわかるよ。」
g:「で、チョーシに乗って、甘ったるいジャジーな雰囲気のアルバム作ったりして。デブのおやじのくせにダンディーぶりやがって。」
b:「偏見入ってるんちゃう?」
g:「あの77年のデビュー・アルバムでのシャープで尖ったかっこよさはどこへ行ったんだ、と。」
b:「確かにあのかっこよさとは真反対ではある。」
g:「そーゆー、上っ面の変わり身の速さがね、そもそも根性曲がってる、と。」
b:「ハハハ。」
g:「性格悪すぎ。」
b:「でもな、このデビュー・アルバムからして、性格ええ奴が出す音ではなかったんちゃう?」
g:「まあね。」
b:「皮肉と嫌味と絶望だらけの歌詞、ひねくった音。」
g:「そこがかっこよさだったんだけどね。」
b:「うん、そういう意味では僕はこの人、貫いてると思うねんな。最初から今までずっと、偏屈でひねくれもの。世間からどう言われようと、その時にやりたいと思ったことにだけ忠実っていうか。」
g:「うーん。」
b:「元々この人のアイデンティティは、偏屈なひねくれものである以外何にもないんやで。スタイルは全部借り物。このデビューからしばらくは50年代ロックとパンク、そのあともカントリーやったりソウルに走ったり、プレスリーのバック・バンドとルーツ探ったり、いろいろコロコロスタイル変えてるし。」
g:「クラシックの人とやったり、バカラックとコラボしたかと思えばアラン・トゥーサンともやってたな、そう言えば。全部聴いてないけど。」
b:「そやろ。スタイルは固定させない、なんでもありが信条。そう考えたら、ケイトさんの次はダイアナ・クラールってのも、この人なりには筋が通った行動なんやで。」
g:「そーゆーもんかぁ?」
b:「ってか、お前、要は人がモテてるのが気に食わんのちゃうの?」
g:「だって、ダイアナ・クラールだぜ・・・チビハゲデブのオヤジが・・・」
b:「・・・」
Welcome To The Working Week Miracle Man No Dancing Blame It On Cain Alison Sneaky Feelings Red Shoes (The Angels Wanna Wear My) Less Than Zero Mystery Dance Pay It Back I'm Not Angry Waiting For The End Of The World Watching The Detectives エルヴィス・コステロのことは、とても一枚のアルバムでは語れない。
セカンドやサードはある程度同系列のシンプルなロックンロールのかっこよさだし、後のヒットの“Veronnica”なんかもそれに近いけど、日本でも大ヒットした“She”なんかは質が違うし、大好きなアルバムで言えば、『Punch The Clock』の60年代ソウル風のチャーミングさも『King Of America』のフォーキーでブルージーな感じも全部違う魅力がある。
そのどれもが、スタイルは違いつつも、やっぱりコステロならではの魅力を感じるんですよね。
blue君の言うように、固定したスタイルを持たずに借り物のスタイルを強引に自分のものにしてしまうところがやっぱりこの人の最大の魅力なんだと思う。
どんなスタイルであれコステロ印にしてしまうところ。
表面的な手法はどんどん変わっていっても、揺るがない自分の根っこを、ひょっとしたらそのことに時には嫌気すら感じつつも捨てられないところ。
その何をやっても自分でしかないことへの自負もありあきらめもありなところ。
僕自身そのことに憧れているのか拒否しているのかすら実はよくわからない。
ただ、そうやって成功したひとつの型にはまらずにスタイルを変えながらずっと表現し続けてきたことこそが、この人なりのロック・スピリットの体現なのだと思う。
g:「で、やっぱり一枚選ぶとしたらこれだろ?」
b:「まぁ、そうなるかね。」
g:「皮肉が効いてて、シャープでコンパクトで、捨て曲なし。ぜい肉がついてないかっこよさっていうかな。奴の才能は結局ここで全部出し切っててあとはフラフラさまよってんだよ。」
b:「僕はそれとは逆に、その後の才気あふれる活動の原点としてこれを支持したいかな。」
g:「そーゆー見方もありかぁ。」
b:「ただ、身近にこーゆー人がいたら、やっぱり苦手かもな(笑)。」
g:「ケイトもダイアナも持って行かれるもんな。」
b:「結局そこに戻るんかいっ!」
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あんまり詳しくないのですが、ビビさんはかなりユーメイなグルーピーらしいですね。
こーゆー感じで記事を書きましたけど、正直言えばミュージシャンは作品がすべて、イイ人だろうが宇宙人だろいがぶっちゃけどうでもいいことではあります。とはいえ人間性はそのまま作品に投影されるわけで、うーん、どっちかといえばクズの方が作品は素晴らしいことが多いですか、、、残念ながら。
リブ・タイラーはしばらくはトッドを実父だと思って育ったようですね。それでもタイラー姓を名乗るのはやはりそっちの方が世間から受ける、ということでしょうか。。。