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♪MY AIM IS TRUE -MyVintage(80)-

マイ・エイム・イズ・トゥルー+1
My Aim Is True / Elvis Costello

Released:1977

golden(以下g):「エルヴィス・コステロって、絶対嫌な奴だよな。」
blue(以下b):「なんでまたいきなり?」
g:「だってさ、3回も結婚してるんだぜ。」
b:「あー、確かデビューしたときにはもう結婚してたんだったっけ。」
g:「そう。でも売れたらさっさとソウコウの妻と離縁して、次に結婚したのが、当時ポーグスにいたベーシストのケイト・オリオーダン。」
b:「プロデュースしたバンドの女の子に手を出す、ってのは確かによろしくないわな。」
g:「ケイトさんっていうのは決して美形ではないけど、ちょっとほっておけないタイプって感じよね。」
b:「うん。」
g:「バンドの紅一点を横からかっさらっていちゃった。」
b:「当事者だったらむかつくかもね。」
g:「でもまぁ、そこまでは許せる訳よ。当人たちがお互いに恋に落ちたのならね。」
b:「まぁ、本人同士のことやからねぇ。」
g:「ところが、結局そうやって奪い取った妻も結局別れて、次がダイアナ・クラールときたもんだ。」
b:「美形やね。」
g:「そう、美形のジャズ・シンガー。何それ?て思わん?パンク・バンドのベーシストと正反対じゃん?」
b:「なんだよ、結局美形好きかよ、みたいな?」
g:「そう。今までのこと全否定?みたいな。」
b:「まぁ、言わんとしてることはわかるよ。」
g:「で、チョーシに乗って、甘ったるいジャジーな雰囲気のアルバム作ったりして。デブのおやじのくせにダンディーぶりやがって。」
b:「偏見入ってるんちゃう?」
g:「あの77年のデビュー・アルバムでのシャープで尖ったかっこよさはどこへ行ったんだ、と。」
b:「確かにあのかっこよさとは真反対ではある。」
g:「そーゆー、上っ面の変わり身の速さがね、そもそも根性曲がってる、と。」
b:「ハハハ。」
g:「性格悪すぎ。」
b:「でもな、このデビュー・アルバムからして、性格ええ奴が出す音ではなかったんちゃう?」
g:「まあね。」
b:「皮肉と嫌味と絶望だらけの歌詞、ひねくった音。」
g:「そこがかっこよさだったんだけどね。」
b:「うん、そういう意味では僕はこの人、貫いてると思うねんな。最初から今までずっと、偏屈でひねくれもの。世間からどう言われようと、その時にやりたいと思ったことにだけ忠実っていうか。」
g:「うーん。」
b:「元々この人のアイデンティティは、偏屈なひねくれものである以外何にもないんやで。スタイルは全部借り物。このデビューからしばらくは50年代ロックとパンク、そのあともカントリーやったりソウルに走ったり、プレスリーのバック・バンドとルーツ探ったり、いろいろコロコロスタイル変えてるし。」
g:「クラシックの人とやったり、バカラックとコラボしたかと思えばアラン・トゥーサンともやってたな、そう言えば。全部聴いてないけど。」
b:「そやろ。スタイルは固定させない、なんでもありが信条。そう考えたら、ケイトさんの次はダイアナ・クラールってのも、この人なりには筋が通った行動なんやで。」
g:「そーゆーもんかぁ?」
b:「ってか、お前、要は人がモテてるのが気に食わんのちゃうの?」
g:「だって、ダイアナ・クラールだぜ・・・チビハゲデブのオヤジが・・・」
b:「・・・」

Welcome To The Working Week
Miracle Man
No Dancing
Blame It On Cain
Alison
Sneaky Feelings
Red Shoes (The Angels Wanna Wear My)
Less Than Zero
Mystery Dance
Pay It Back
I'm Not Angry
Waiting For The End Of The World
Watching The Detectives

エルヴィス・コステロのことは、とても一枚のアルバムでは語れない。
セカンドやサードはある程度同系列のシンプルなロックンロールのかっこよさだし、後のヒットの“Veronnica”なんかもそれに近いけど、日本でも大ヒットした“She”なんかは質が違うし、大好きなアルバムで言えば、『Punch The Clock』の60年代ソウル風のチャーミングさも『King Of America』のフォーキーでブルージーな感じも全部違う魅力がある。
そのどれもが、スタイルは違いつつも、やっぱりコステロならではの魅力を感じるんですよね。
blue君の言うように、固定したスタイルを持たずに借り物のスタイルを強引に自分のものにしてしまうところがやっぱりこの人の最大の魅力なんだと思う。
どんなスタイルであれコステロ印にしてしまうところ。
表面的な手法はどんどん変わっていっても、揺るがない自分の根っこを、ひょっとしたらそのことに時には嫌気すら感じつつも捨てられないところ。
その何をやっても自分でしかないことへの自負もありあきらめもありなところ。
僕自身そのことに憧れているのか拒否しているのかすら実はよくわからない。
ただ、そうやって成功したひとつの型にはまらずにスタイルを変えながらずっと表現し続けてきたことこそが、この人なりのロック・スピリットの体現なのだと思う。

g:「で、やっぱり一枚選ぶとしたらこれだろ?」
b:「まぁ、そうなるかね。」
g:「皮肉が効いてて、シャープでコンパクトで、捨て曲なし。ぜい肉がついてないかっこよさっていうかな。奴の才能は結局ここで全部出し切っててあとはフラフラさまよってんだよ。」
b:「僕はそれとは逆に、その後の才気あふれる活動の原点としてこれを支持したいかな。」
g:「そーゆー見方もありかぁ。」
b:「ただ、身近にこーゆー人がいたら、やっぱり苦手かもな(笑)。」
g:「ケイトもダイアナも持って行かれるもんな。」
b:「結局そこに戻るんかいっ!」





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コメント

[C2327]

yuccalinaさん、コメントありがとうございます。
あんまり詳しくないのですが、ビビさんはかなりユーメイなグルーピーらしいですね。
こーゆー感じで記事を書きましたけど、正直言えばミュージシャンは作品がすべて、イイ人だろうが宇宙人だろいがぶっちゃけどうでもいいことではあります。とはいえ人間性はそのまま作品に投影されるわけで、うーん、どっちかといえばクズの方が作品は素晴らしいことが多いですか、、、残念ながら。

リブ・タイラーはしばらくはトッドを実父だと思って育ったようですね。それでもタイラー姓を名乗るのはやはりそっちの方が世間から受ける、ということでしょうか。。。
  • 2014-08-16 00:31
  • goldenblue
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[C2326] クズが作るの珠玉の音楽

このエントリーにコメを残すかどーかで迷ってたんですが、コステロは女関係はクズっぽいですね。でも、それは一つの要素なだけで、彼の全てではない。だから珠玉の作品が生まれる。

確か伝説のグルーピー、ビビだかべべだかが、コステロにボロボロにされたとか、どっかのインタビューで読んだことあります。その時助けてくれたのはトッド・ラングレンで、そのビビだかべべはその後、既にドラッグ漬けだったスティーヴン・タイラーの子を身籠って、困ってたところを、何故かまた既に関係が終わってたトッドを頼って、トッドはリヴ・タイラーの父親代わりしたとか。どこまで良い人なんだか。しかし、女の方にもかなり問題ありそうですな。

トッドはコステロと違って人間的にも良い人そうだし、音楽にも良い人な感じが出てる気がします。

話が大分外れて、スミマセン。
  • 2014-08-14 13:16
  • yuccalina
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[C2321]

LA MOSCAさん、毎度です。
僕も「パンチ・ザ・クロック」は好き、あと「キング・オブ・アメリカ」、全アルバム聴いたわけじゃないけど(笑)。
スタイルを固定化されることを望まないところは、ニール・ヤングやクラッシュ、ポール・ウェラーにも共通した頑固で偏屈ながらも筋の通った姿勢を感じます。
でもやっぱりファーストだな(笑)、と。
  • 2014-08-03 12:26
  • goldenblue
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[C2320] やっぱり

1stですかねぇ、アルバムで言うと。
なんて、そんなに枚数聴いてないんだけど(笑)
俺は「パンチ・ザ・クロック」も好きかな?
それにしてもこの記事、読んでて楽しかったです。
チビハゲデブのオヤジって(笑)

[C2319]

GAOHEWGⅡさん、こんばんは。
ポールと組んだのって、スパイクでしたっけ。マイティ・ライク・ア・ローズもポールと演ってたかな。あのへんはあんまり深入りせずにベストで済ませてました。
名曲も多いけどとるに足らない楽曲も多いところがコステロの良くも悪くもらしいところで、結局捨て曲なしのファーストが一番かな、ってなっちゃうんですよね。。。
  • 2014-07-28 22:56
  • goldenblue
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[C2318] Re: オリバーズ・アーミー

deaconblueさん、こんばんは。
オリヴァーズ・アーミーはかっこいですね。でもアルバムとしては未聴なのです、アームド・フォーセズ。象がパオーン、って感じのジャケットがどうもそそられなくて(笑)。
今度聴いてみます。
マクナマス、という本名が示すとおりコステロさんもアイリッシュ系ですね。
ポール・マッカートニーが寵愛したのも頷けます。
  • 2014-07-28 22:51
  • goldenblue
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[C2317]

golden blue様 こんばんは

アトラクションズとセットで愛でると
どうしてもサード辺りまでを重点的に聴くことになります。ファーストが一番というのはほとんどのファンと同様、自分もそう思います。

ただ、もうちょっと他のアルバムも聴かないともったいないかな、と思ったので取り敢えず久しぶりにポールと組んだアルバムでも聴いてみます。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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