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◇雪下麦を出だす

おせち

大晦日と元日は実家で母親と過ごしました。
年越しそばを食べながら、父親が亡くなった一年前の大晦日のことが「昨日のことのような気がする」と言う母の話を、ただ黙って聞いていました。
次の日のお正月の準備をしに母が自宅に戻っている間に容体が急変し、病院からの連絡を受けて慌てて病室に戻ったときには父はもう息を引き取っていたのでした。
「お正月の準備なんてしたところで本人は食べられへんかったのにねぇ。」
そうひっそり笑いながら、五十年連れ添った夫の死に立ち会えなかったことを母は今も悔やんでいる。
「でも、そうやってポックリ逝くのが本人にとっては一番よかったんやろうけどね。」
その言葉にある父を労わる気持ちと、最後まで自分勝手な人だったとでも言いたげなアンバランスな気持ちを、母はこれからもずっと抱えて生きていくのだろう。

「さすがに今年はもうよう作らんわ。」
と母が言うので、生協で注文したおせちセット。三十数品入った同じ中身のお重が二段で9800円。
見た目も華やかで豪華、薄味でおいしい、と母にも好評でした。
元日のお昼には妻と娘が合流。
娘にお年玉を手渡す母の手にはふたつのポチ袋が。
「毎年はお金とは別に本を渡してたやろ。あれはおじいちゃんが選んでくれてたんよ。
今年も何かとは思ったけど、私はようわからんかったから、このお金で読みたい本を買ってもらって。」
とのこと。
そうだったのか、あの本は父親が選んでいたのか。


日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―
日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし― / 白井 明大


昨年、娘に贈られたのはこの本でした。
小学生に何と渋い・・・とは思ったものの、実は僕も「この本はいずれ娘も興味を持つだろう。」と買おうと思っていたところだったからその偶然というか、思考の近さにびっくり。
四季のあるこの国で自然に寄り添いながら暮らしてきた昔からの知恵や感覚を知るにはちょうどいい本です。
この本によると、お正月は冬至の末候「雪下麦を出だす」、降り積もる雪の下で麦が芽を出す頃なのだそう。
春はまだまだ遠いし、これからますます寒さは厳しくなるけれど、雪の下で植物が命の息吹を蓄えていると想像すると、少しほっとする気がしませんか。

何はともあれ2014年。
旧年中はたいへんお世話になりました。
今年もよろしくお願い致します。




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コメント

[C2098]

ezeeさん、新年おめでとうございます。
お父さん、たいへんなんですね。でもそうやって世話をする、されるということも大切なコミュニケーションなのだろうと思います。お大事になさってください。将来自分の身にも起こり得ることかもしれませんものね。
今年もよろしくお願い致します。

[C2097]

Okadaさん、新年おめでとうございます。
なんでキノコなのかよくわかりませんが、我が子ながらちょっとヘンな子ではあります(笑)。
子供が育つのはほんとあっという間、大人はあんまり変わらないのに子供はどんどん変わっていきます。
お正月は確かにひとつのマイルストーンですね。
今年もよろしくお願い致します。

[C2096]

おぎてつさん、新年おめでとうございます。
いくら和食が世界中で好まれはじめてるとはいっても、本格的なおせちをアメリカで食べるのは難しいのでしょうね。
おせちは今や買うものになりつつありますが、僕が数の子好きなのを知ってか、数の子だけは別で漬けてくれていました。
母親ってありがたいですね。
今年もよろしくお願い致します。

[C2095]

年末・正月と、支えがないと歩けない父を風呂に入れ、一緒に久々にすごしました。皆でおせち食ってると美味しいけど、無情にもどんどん月日が経っているのを実感ですわ。
お互い、ええオッサンですけど今年もどうぞヨロシクです。きばっていきましょー
  • 2014-01-04 23:22
  • ezee
  • URL
  • 編集

[C2094]

「キノコ図鑑」、いいじゃないですか。
山奥に入って、お気に入りのキノコを採りに行くような少女になるのでしょうか。
うちの子は去年一年で随分と会話が出来るようになったので、今年もまた色んなことが出来るようになるんだろうなと思います。
正月って言うのは、自分の家族はもちろん、兄弟の子達や、親からしたら孫の成長を再確認できる、良い機会かもしれませんね。

今年もよろしくお願いします。

[C2093]

本格的なおせち料理を食べたのは、いつの事でしょうか。あれはもう遠いいにしえのこと…。
あ、あそこに有るのは、数の子だな…。
今年もこんな感じで食い意地だけが張っております。

今年もよろしゅう。
オギテツ
  • 2014-01-04 07:34
  • おぎてつ
  • URL
  • 編集

[C2092]

つき子さん、新年おめでとうございます。
そうですね、実家に帰ると、父は母にとってかけがえのない人だったんだな、ということを改めてひしひしと感じます。
多少美化されつつあるのかもしれませんが、それでいいんだと思います。

つき子さんも、いいことがたくさんあるといいですね。
がんばってるからきっといいことありますよ。
今年もよろしくお願いします。

[C2091]

リュウさん、あけましておめでとうございます。
今日、本屋へ本を買いに行きました。
娘が選んだのは「キノコ図鑑」。
なんじゃそら?

ってな感じですが、今年もよろしくお願いします。
よい一年にしましょう。

[C2090]

あけましておめでとうございます。お母さんのお父さんへの愛が感じられますね。言葉の端々から。愛って言葉は子供からするとちょっと恥ずかしいかな。ご実家でゆっくりとした時間を過ごされたみたいでよかったです。
紹介された本は知りませんでしたが、シゲキされてうちにあった『「和」の行事えほん 秋と冬の巻』(絵が楽しい)を取り出してきてめくっていました。日本の行事、なかなかいいですね。毎日の暮らしを丁寧にしたいと思いながらも、回すのにせいいっぱいの日々。ときどきこの絵本を見なきゃね。
今年もgoldenblueさんによいことがいっぱいありますように。
お互いに楽しみましょうね。ではまた。
  • 2014-01-03 15:50
  • つき子
  • URL
  • 編集

[C2089]

明けましておめでとうございます♪
本を贈る、良い習慣です!
しかもなかなか渋いものを♪

そして階下には老親がいるので、いずれ近い将来同じようなことがあるのかなと思いました。

さて、新年も始まったばかり、よい年にしましょう!
  • 2014-01-03 13:54
  • リュウ
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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