大晦日と元日は実家で母親と過ごしました。 年越しそばを食べながら、父親が亡くなった一年前の大晦日のことが「昨日のことのような気がする」と言う母の話を、ただ黙って聞いていました。 次の日のお正月の準備をしに母が自宅に戻っている間に容体が急変し、病院からの連絡を受けて慌てて病室に戻ったときには父はもう息を引き取っていたのでした。 「お正月の準備なんてしたところで本人は食べられへんかったのにねぇ。」 そうひっそり笑いながら、五十年連れ添った夫の死に立ち会えなかったことを母は今も悔やんでいる。 「でも、そうやってポックリ逝くのが本人にとっては一番よかったんやろうけどね。」 その言葉にある父を労わる気持ちと、最後まで自分勝手な人だったとでも言いたげなアンバランスな気持ちを、母はこれからもずっと抱えて生きていくのだろう。 「さすがに今年はもうよう作らんわ。」 と母が言うので、生協で注文したおせちセット。三十数品入った同じ中身のお重が二段で9800円。 見た目も華やかで豪華、薄味でおいしい、と母にも好評でした。 元日のお昼には妻と娘が合流。 娘にお年玉を手渡す母の手にはふたつのポチ袋が。 「毎年はお金とは別に本を渡してたやろ。あれはおじいちゃんが選んでくれてたんよ。 今年も何かとは思ったけど、私はようわからんかったから、このお金で読みたい本を買ってもらって。」 とのこと。 そうだったのか、あの本は父親が選んでいたのか。 日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし― / 白井 明大 昨年、娘に贈られたのはこの本でした。
小学生に何と渋い・・・とは思ったものの、実は僕も「この本はいずれ娘も興味を持つだろう。」と買おうと思っていたところだったからその偶然というか、思考の近さにびっくり。
四季のあるこの国で自然に寄り添いながら暮らしてきた昔からの知恵や感覚を知るにはちょうどいい本です。
この本によると、お正月は冬至の末候「雪下麦を出だす」、降り積もる雪の下で麦が芽を出す頃なのだそう。
春はまだまだ遠いし、これからますます寒さは厳しくなるけれど、雪の下で植物が命の息吹を蓄えていると想像すると、少しほっとする気がしませんか。
何はともあれ2014年。
旧年中はたいへんお世話になりました。
今年もよろしくお願い致します。
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お父さん、たいへんなんですね。でもそうやって世話をする、されるということも大切なコミュニケーションなのだろうと思います。お大事になさってください。将来自分の身にも起こり得ることかもしれませんものね。
今年もよろしくお願い致します。