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♪Hard Times Come Again No More

週末は父親の一周忌。
親戚一同でお墓参りをして、会食して、という穏やかな週末。
「一年前はまだ普通にしてて、まさかあんな急に逝ってしまうなんて。」
「『お迎えが来るまでにいろいろと整理をしておかな。』とか言ってたけど、こんな急とは本人も思ってなかったみたいね。」
「正月には家族全員揃う予定やったのになぁ、まさか大晦日のうちにとは。」
「ところで向こうではなみ子さんにはお会いできたのかしら。」

なみ子さんというのは、戦後すぐに父がまだ10才の頃に亡くなってしまった父親の実の母親。
若くして母親を亡くした父と二人の妹は、その後再婚した後妻さんとの間に生まれた子どもたちの面倒も見ながら、複雑な関わりの中で経済的な面も含めてずいぶんと苦労したらしい。後妻さん(この方も早くに亡くなってしまった)の親戚たちとのいろんな軋轢もあって実の父親とも絶縁状態になりいろいろとやっかいが多かったことはうっすらとは聞いてはいたものの、まだ小さな頃の話で、実際父親の口から聞いたことはなかったので、親戚の話を聞きながら改めて「そうだったのか」と驚くことばかり。
僕たち子供の前ではそういう愚痴はひとつも言わなかったけれど、実の母との死に別れ、実の父親との絶縁というのはとても重い出来事で、いろいろと口うるさいお説教の裏にはだからこそと子供たちにはしっかり育ってほしいという思いがあったのだな。もっとそういうことをたくさん聞いておきたかったな、と今更ながら思う。

そういえば、父親の銀行の口座の関係で戸籍謄本を遡って提出する必要があって、いろいろ調べていくと知らなかった事実がいろいろ出てきてとても興味深かった。
父は昭和12年の生まれ。その父(祖父)は明治45年。そこまでは知っていたけれど、その父(曾祖父)は明治4年、曾々祖父にまで遡ると江戸後期嘉永年間の生まれだった。1840年代、まだ黒船が来る前のことだな。曾々祖父の名前は長太郎、妻はひさ。淡路島でそれなりの大農家だったらしい。
これ以上は戸籍がなくて遡れなかったのだが、たった4代辿れば江戸時代なのだということに今更ながらの驚き。
長太郎さんとひささんは幕末の混乱期に青春時代をすごし、曾祖父栄太郎さんとその妻げんさんは文明開化と富国強兵の時代に育ち、祖父は戦争に行った。父は高度経済成長の時代を支えた。たった4代のことなんですね。
どんな人たちだったのだろう。楽しいことも辛いこともきっとたくさんあったのだろうな。
それぞれのご先祖様たちの命の先に今の自分がいてその先に娘がいる。遺伝子は受け継がれ続けている。
その事実に、すごいことだな、とただポカンとしてしまう僕がいる。


今日の音楽は、長太郎さんの時代、今から160年くらい前の音楽。
アメリカ音楽の父と呼ばれたスティーブン・フォスターの楽曲を、いろんなジャンルのアーティストがカバーしたこのアルバムです。

Beautiful Dreamer

Beautiful Dreamer / Various Artists


1. 夢見る人(Beautiful Dreamer)-Raul Malo
2. お眠りなさい、いとしい子(Slumber My Darling)-Yo Yo Ma, Edgar Meyer and Mark O'Connor featuring Alison Krauss
3. Don't Bet Money on the Shanghai-BR5-49
4. Nelly Was A Lady-Alvin Youngblood Hart
5. No One To Love-Judith Edelman
6. 草競馬(Camptown Races-)The Duhks
7. ケンタッキーの我が家(My Old Kentucky Home)-John Prine
8. Autumn Waltz-Henry Kaiser
9. In The Eye Abides The Heart-Beth Nielsen Chapman
10. 故郷の人々(Old Folks at Home (Swanee River))-David Ball
11. おぉスザンナ(Oh! Susanna)-Michelle Shocked & Pete Anderson
12. Willie We Have Missed You-Grey DeLisle
13. Hard Times Come Again No More-Mavis Staples
14. Gentle Annie-Ollabelle
15. 金髪のジェニー(Jeanie With the Light Brown Hair)-Roger McGuinn
16. Ah, May The Red Rose Live Always!-Suzy Bogguss
17. Holiday Scottisch-Will Barrow
18. Comrades Fill No Glass For Me-Ron Sexsmith

フォスターは1800年代半ばに活躍した作曲家。タイトルだけ見てもハイハイ知ってるよー、という曲がたくさんあるのではないでしょうか?
その作風はフィールド・ハーラー(黒人たちが農作業の間に歌っていた歌)や黒人霊歌をベースにしたもので、クラシック的な演奏よりもギターやピアノで弾き歌うのがよく似合っている。それ故親しみやすく、ジャズ、カントリーからフォーク、ロックに至るまで様々な時代の様々なジャンルのアーティストにたくさんの曲が録音されている。
古くはビング・クロスビーアル・ジョルスンルイ・アームストロングチェット・アトキンス
サム・クックジョニー・キャッシュロイ・オービソン、それからザ・バーズ
親しみやすいメロディー、庶民の暮らしを歌った歌詞、ジャズもブルースも全部ひっくるめて、現代のポピュラー音楽は全てフォスターの影響下にあるといっても言い過ぎではないのではないかと思います。
などと偉そうなこと言って僕も実際よくは知らないのですが、ジャズやブルースやロックが時代や庶民の暮らしの関わりの中でどのように発展してきたのかについてはとても興味の尽きないテーマです。

このアルバムの中で一番好きなのは、メイヴィス・ステイプルズが歌うこの曲。

Hard Times Come Again No More / Mavis Staples

切ない祈りにも似たこの曲も、ボブ・ディランジェニファー・ウォーンズナンシー・グリフィスチーフタンズなどたくさんのアーティストがカバーしています。矢野顕子さんもね。

厳しい時はもう二度とやってこない。
少なくとも父にとっては、もう厳しい時はやってこない。
辛い思いもたくさんした分、どうぞ安らかに。



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[C2074]

ひるのまりさん、こんにちは。
そうなんですね、戸籍が遡れないことがあるとは想像もしませんでした。
沖縄の方々が戦争で受けた傷にはこういうこともあるのですね。
戦争のことや戦後の苦労のこと、僕たちの世代は前の世代のたいへんな思いのお陰でぬくぬくと育ってきたし、当事者の世代は思い出したくもないようなことだったのだろうとは思うけど、もっと聞いておくべきだったと思いますね。
  • 2013-12-19 08:08
  • goldenblue
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  • 編集

[C2073]

ウチも年が明ければ 母の一周忌です。
しみじみメイビスの歌を聴きました。

戸籍が遡れるってのは幸せじゃないですか!?
両親の戸籍は沖縄の激戦で燃えて戦後つくったというしろもの。
たぶん残った人の口ききで作ったものだから 事実とは違うし 嫁にいった者は記載されてないので
生まれた沖縄の母の戸籍はたどれませんでした。
ウチは父が戦争に行き 父の兄弟はほとんど戦争で死んだという傷は感じてました。
なかなかそういったことは話してくれませんでしたね。
  • 2013-12-18 18:40
  • ひるのまり
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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