ジャッキー・ウィルソンは1934年デトロイトの生まれで、やんちゃな幼少期をハングリーに過ごし、プロ・ボクサーを経てビリー・ワード&ザ・ドミノスのシンガーとしてデビュー。1957年に Reet Petite (The Finest Girl You Ever Want To Meet)でソロになり、翌58年にはLonely TeardropsをR&Bチャートの一位に送りこんで一躍スーパースターに上りつめた。 初期の作品にはモータウン設立前のベリー・ゴーディーが関わっていたこともあり、モータウン・サウンドの原型とも言われているけれど、むしろドゥ・ワップ~ロックンロール寄りのアプローチで、共通点があるとすればディープな黒人層だけではなくエンターテイメントとしてより広く多くの人々にもアピールするだけのポップさの魅力だと思う。ジャズを目指しつつゴスペルからR&Bを発明したレイや、ビートの反復からファンクを発明したJ.Bばかりが神扱いされるけれど、「黒いエルヴィス」と呼ばれたセクシーさと説得力と存在感は圧倒的です。 エキサイティングでありながら暑苦しくはなく、ハートフルでありながら甘ったるくはない。 声そのものがものすごく強い。単にパワフルという意味ではなく、パワフルではあるんだけどそれは激しさや腕力の強さではなく、確信に満ちているというか、大きくて広くて深い。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
そこから原曲のヴァン・モリソンに行って、ジャッキー・ウィルソンへ、というわけですね。
『ニューヨーク・ロック&ソウル・レビュー』は聴いたことありませんが、ボズ・スキャッグスの“Lonely Teardrops”、よさげですね。