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♪VERY BEST OF JACKIE WILSON -My Vintage(60)-

VERY BEST OF
VERY BEST OF / JACKIE WILSON

Recorded:1957-72

50年代ソウル草創期のソウル・ジャイアンツといえば、レイ・チャールズ、ジェームス・ブラウン、サム・クック、そしてこの人、ジャッキー・ウィルソンです。
何故か前の3人に比べて知名度が低く、実際僕も聴いたのはずいぶんと遅かったのですが、今では一番のリスペクトです。

ジャッキー・ウィルソンは1934年デトロイトの生まれで、やんちゃな幼少期をハングリーに過ごし、プロ・ボクサーを経てビリー・ワード&ザ・ドミノスのシンガーとしてデビュー。1957年に Reet Petite (The Finest Girl You Ever Want To Meet)でソロになり、翌58年にはLonely TeardropsをR&Bチャートの一位に送りこんで一躍スーパースターに上りつめた。
初期の作品にはモータウン設立前のベリー・ゴーディーが関わっていたこともあり、モータウン・サウンドの原型とも言われているけれど、むしろドゥ・ワップ~ロックンロール寄りのアプローチで、共通点があるとすればディープな黒人層だけではなくエンターテイメントとしてより広く多くの人々にもアピールするだけのポップさの魅力だと思う。ジャズを目指しつつゴスペルからR&Bを発明したレイや、ビートの反復からファンクを発明したJ.Bばかりが神扱いされるけれど、「黒いエルヴィス」と呼ばれたセクシーさと説得力と存在感は圧倒的です。
エキサイティングでありながら暑苦しくはなく、ハートフルでありながら甘ったるくはない。
声そのものがものすごく強い。単にパワフルという意味ではなく、パワフルではあるんだけどそれは激しさや腕力の強さではなく、確信に満ちているというか、大きくて広くて深い。

で、その初期ももちろんかっこいいんだけれど、もっと大好きなのは60年代中期以降の作品、このベストアルバムだと後半以降の曲がまた実に素晴らしいのです。
パーカッションの多用やストリングスの使い方、或いはフックの効いたベースラインなんかはおそらくはモータウンを逆輸入したと思われるのだけど、この説得力と存在感は「そもそもは俺様が元祖だ!」と言わんばかり。

小気味よいR&BのWispers(Gettin' Louder)やぐっと渋く歌いあげるJust Be Sincere 。ゆったりとして懐の深いLove is Funny That WayYou Got Me Walking 、キュートなラブソングのI Get The Sweetest Feeling、ベースとパーカッションが効いたファンキーなSince You Showed Me How to Be Happy
そして何といってもこの曲!
Your Love Keeps Lifting Me Higher and Higher
コレはもうね、まさにソウル・ミュージックの名の通り、ソウルが昂ぶる大名曲です。
ベースのリフとパーカッション、チャキチャキとリズムを刻むギター、そして入ってくるウィルソン師の太くて張りのある声、どんどんと盛り上がってくると裏声で高いところへ行ったり、シャウトしたりと歌の上手さも神クラス。
コール&レスポンスをはさむホーンと女性コーラス、どんぴしゃのタイミングでぐいぐいと気分を高めていくストリングスも絶妙、まさにHigher&Higherな場所へ連れて行ってくれる完璧な一曲ではないかと思うわけです。
ちなみに歌詞もいいんだな。

 I'm so glad, I've finally found you
 Yes, that one, in a million girl
 And now with my loving arms around you
 Honey, I can stand up and face the world

 You know your love keep on lifting me Higher
 Lifting me Higher and higher

あなたがいてくれるから世界と向き合える、あなたの愛が僕をとても高い高い場所へひっぱりあげてくれるから。
ただ甘いだけのラブ・ソングではない、苦しみも辛さも知った上でそれを乗り越えていくための糧としての愛に出会えた歓び、みたいな感じ?
いろいろともやもやもごちゃごちゃもめんどくせーもあるけれど、こんな感じでテンションあげて行きたいと思います。




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コメント

[C2210]

こんにちは。僕もジャッキー・ウィルソンの名を初めて知ったのは、デキシーズミッドナイトランナーズの“Jackie Wilson said”でした。
そこから原曲のヴァン・モリソンに行って、ジャッキー・ウィルソンへ、というわけですね。
『ニューヨーク・ロック&ソウル・レビュー』は聴いたことありませんが、ボズ・スキャッグスの“Lonely Teardrops”、よさげですね。
  • 2014-04-27 15:13
  • goldenblue
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[C2209] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

[C2204]

GAOHEWGⅡさん、毎度です。
ジャッキー・ウィルソンは本国では超のつくスーパースターだったそうで、マイケル・ジャクソンもリスペクトしていたそうです。
動画とか見ると確かにそうだったんだろうなと思わせる説得力です。
初期のはけっこうチープというか軽くて古臭くはありますが、後期はめっちゃかっこいいですよ。
出費増やして申し訳ないです(笑)。

[C2203]

波野井さん、毎度です。
偽物コメント騒ぎはその後?このコメントはホンモノですよね(笑)。
ジャッキー・ウィルソン、さすがの大物ならではの存在感です。
Higher&Highetは絶対にたくさんの人に聴いてほしい大名曲だという、それだけのことを言いたいために長々と書きましたが、ほんといいよ。

[C2202]

golden blue様 こんばんは

ジャッキー・ウィルソンは持っていますが
そこまで重要度が高い歌い手だったとは知りませんでした。

手元のベストは初期音源のみだったので、
買い足さないと!

(てっきり雄叫びポーズの例の写真が使われているのでこれ一枚でいいものとばかり)

[C2201]

おはようございます。
確かに、一番知名度は低くなってしまいますね。
でも、さすがgoldenblueさん!
魅力が具体的にすごくわかりやすく伝わってきます(≧▽≦)

これ読んだら絶対聴きたくなります(^^)♪
  • 2014-04-20 09:22
  • 波野井露楠
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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