なんといってもUn Poco Locoだ。 ハイテンションなドラムにのせて、のたのたとせわしなく動き回るベース、それに独特の野暮ったい口調で歌うようなピアノ。これ、わけわからんけどすげーな、と。 ピアノ・ソロのIt Could Happen to Youだって、ただの華麗なピアノ・ソロではない。ゴツゴツと不器用で、あっちへ転がりこっちへ転がりする独特のタイム感。 そしてA Night in Tunisiaでは、後ろでお経のような呻き声が延々と聞こえる。 最初は何かのノイズだと思っていて、どうして消去できなかったんだろうと思っていたのだけれど、これがパウエル自身の声が漏れているものと知って、このクレイジーなピアノ弾きのことがますます好きになってしまいました。
この作品集「Vol.1」には1951年5月1日のセッションと、1949年8月9日のセッションが収めらていて、この3曲は51年のもの。メンバーは、バド・パウエルとカーリー・ラッセル(b)、マックス・ローチ(ds)のトリオ。 マックス・ローチ、すげえな。 そして残りの49年のセッションでのメンバーは、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(ds)と、ファッツ・ナバロ(tp)、ソニー・ロリンズ(ts)。 まずはファッツ・ナバロのトランペットや、トミー・ポッターのベースの疾走感がかっこいいWail。 それから「異教徒の踊り」というタイトルどおりにエキゾチックなDance Of The Infidelsや、混沌と喧騒の中で突っ走る52nd Street Theme、全員が走りまくってる。 Bouncing with Budみたいなハッピーな演奏も悪くはないけれど、僕的にはこれはまとまりすぎていてもうひとつ面白みを感じないかな。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
ロックやパンクとの親和性、あくまでも個人的印象ですが(笑)。パンク贔屓ですし。
ジャズのピアノといえば、キース・ジャレットやチック・コリアみたいに華麗なフレーズをテレテレ弾くものだと思っていたから、ぶっ飛びました。