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♪SAILIN' SHOES -My Vintage(67)-

セイリン・シューズ(紙ジャケットCD)
Sailin' Shoes / Little Feat

Released:1972

さて、5月も後半に差しかかると気温は25℃越え当たり前、湿気もずいぶん高くなって、さわやかな初夏というよりも蒸し暑い夏の様相が日増しに強くなってくる。
そうなると途端にビールが旨く感じるのだから、気候や風土と食の関連性というのは密接なものだと思う。
そして音も。
というわけで今回のMyVintageはリトル・フィート。
ブルースもジャズもニュー・オリンズR&Bもごっちゃまぜのドロドロさで、それでいてカリフォルニアの空みたいにスコーンと抜けた感じと、どこかぶっとんだ感じのコントラスト。
これ聴きながら飲むビールが旨いんだ(笑)。
いつだったか、朝の通勤時にこれ聴いたら、もう朝から飲みたくなって仕方がなくなってしまった(笑)。

  滑り落ちていくのはかんたんなこと
  墜ちていくのはとてもたやすいもの
  記憶は流れ出し
  何にもすることもない
  おまえがなくしてしまった愛
  誰も取り戻すことなんてできはしない
  それらは本当に存在しているのか??

  俺の暮らしは毎日寒い
  魔法は全部どっかへ消えちゃった
  いっしょに過ごした日々ももう溶けてなくなった
  俺の弾く悲しいメロディーみたいにね  

  永久に漂流し続けるなんてまっぴらごめん
  おまえに捨てられた陰の中でずっとなんて
  だからタバコにもう一本火をつけて
  忘れるために思い出そうとするってわけさ  

豪快で勢いのあるギターで始まるEasy To Slip、さわやかな曲調からは思いも依らないこのやさぐれた世界観がリトル・フィートのおいしいところ。ブルーでヘヴィーな歌詞の中に、どこか自分を嗤うユーモアがあるところが、ブルースが彼らの音楽の中に息づいている証だと思う。
引き続きずしんとヘヴィーなCold, Cold, Cold、そして気怠くやるせない雰囲気のTrouble
この歌の歌詞もおもしろい。

  車が動かなくなってしまったお前は叫び声をあげた
  ナーヴァスになったお前は、はち切れるまで食べ始める
  そして今じゃ、お前はでっぷり太って、靴だって足に入りはしない
  トラブルを抱え込んでしまったね
  オーダーメイドのトラブルを

4曲目は一転、ハードなブギーのTripe Face Boogie。ロウェル・ジョージのスライドが唸り、ビル・ペインのピアノが跳ね回る。
Willin'はリトル・フィートの代表曲のひとつ。
国境あたりでヤバい仕事をするトラック・ドライバーの嘆きが、カントリー・タッチのしんみりとした演奏に乗せて呟かれる。せり上がってくるようなやるせない感情がまたなんとも妙。
続いて、ロウェル・ジョージのスライドがぐっと渋い重たいブルースのA Apolitical Blues、そして、アルバム・タイトル曲、Sailin' Shoesはちょっとクスリでイカれてしまった匂いのする、奇妙に歪んだブルージーな曲調。
Teenage Nervous Breakdownは打って変わって、ハード・ロック的な暴走ロック。っていうか、このベース・ラインとかキリキリしたギター・ソロと金切り声のシャウトは実際ハード・ロックそのものだな。
Got No Shadowではちょっとサイケデリックな匂いを漂わせ、ビル・ペインのラグタイムっぽいピアノがいかれたCat Feverではもうずいぶんとへべれけで、ラストのTexas Rose Cafeがまたヘンな曲。この曲の中盤、ふわっと雰囲気が変わってふわりふわりと舞い上がるようなインプロビゼーションの部分なんて実にジャズ的で、こういうこの人たちの一筋縄ではいかないところがかっこいいんだな。

世間一般的には3rdの『ディキシー・チキン』が最高傑作とよく言われていますが、個人的にはこっち。
このごちゃ混ぜ感、何でもアリ感と、なんともやけっぱちというか、やさぐれた感じが堪らなくいい。
僕自身、普段は生真面目で細かいキャラで通っているけれど、自分の中にはルーズでテキトーでぶっ飛んでいて、へべれけにやさぐれた感じへの憧れっていうのがどこかにあるんだろうな。
リトル・フィートを聴いていると、そういう自分の裏キャラがむずむずしだして、うーむ、これはあんまり健全な日常生活にはおすすめできません(笑)。

なんて、うだうだ言いながら一本記事が仕上がった。
さぁ、飲もう。
まだ日の高いうちから飲むビールは格別だ。




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コメント

[C2247]

おぎてつさん、こんばんは。
おっしゃるとおりそういう一服なんでしょうね。
another cigaretteに巻いてあるのは、文字通りanotherなものだったのでしょう。

  • 2014-05-29 01:05
  • golden blue
  • URL
  • 編集

[C2246] おぎてつ

俺もこのアルバムが好きです。
いま、”Easy to slip"の歌詞を改めて読んでみましたが、これはやはりマリファナかなにかを一服して、世の憂さを忘れようぜって歌ですね。
”Cold, cold, cold"辺りになると、こちらの頭もトリップしてしまいますね。

おぎ

[C2245]

GAOHEWGⅡさん、こんばんは。
ナザレス?マイケル・モンロー?うーん、あんまり聴いてなかったですねー(笑)。
この曲はバリバリのハード・ロックですが、何でもありの奥行きの深さがリトル・フィートの魅力かと。

  • 2014-05-26 23:19
  • golden blue
  • URL
  • 編集

[C2244] ナザレスのカバーから入りました

golden blue様 こんばんは

僕はナザレスがカバーした
Teenage Nervous Breakdownを切っ掛けとして
リトルフィートにはまりました。

http://www.youtube.com/watch?v=9rex7qipsuc

これですね。

後に、マイケルモンローのエルサレムスリムもやっていました。元メタル・ファンにとっては思い出深い曲です。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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