この『EXTRAS』というアルバムはジャム解散から十年を経て出された編集盤。 時代で言えば79年『Setting Sons』~80年『Sound Affects』~82年『The Gift』の頃のデモ音源やシングルのB面、アウトテイクなんかを集めたもので、僕はブートレッグや発掘音源の類には基本的には興味が湧かないのだけれど、これはちょっと別扱いになってしまうくらいのお気に入り。 とにかくカッコいいのです。 特にこの盤で改めて認識したのは、収められたいくつかのデモ・バージョンで聴くことの出来るポール・ウェラーの弾くギターのカッコよさ。スタイル・カウンシルから入っているから、ポール・ウェラー=ギタリストという認識がそもそもなかっただけに、こんなに巧かったんだと思ったんですよね。 もちろん華麗なフレーズをチャラチャラ弾くスタイルではなく、シャープなリフをジャキジャキと演るだけなのだけれど、実に骨太で、シャキッと一本筋の通った音の質感がすごい。 例えばThick As Thieves。ポール・ウェラーの歌とギターだけなのにまるでベースもドラムも入っているかのようにはっきりと曲の輪郭が浮かび上がってくる。歌とギターだけなのにぐいぐいと引っ張られてしまうグルーヴがあるのだ。 弾き語りっぽいBurning Skyもただの弾き語りではなく確かなビートが聴こえてくる。ベースのブルース・フォクストンを加えたSaturday's KidsやThe Eton Riflesも、正規のアルバムに収録されたバージョンとはまた違う、むき出しになったカッコよさがある。 音楽というものはシンプルであればあるほど実は難しい。ごまかしが効かない。演奏者の素が全部出てしまう。 だからこそポール・ウェラーの歌とギターにある、スカッとした芯の強さ、ビシッと筋が通った潔さにはただただ恐れ入ってしまうのです。 もちろん、リック・バックラーを加えた3人での演奏こそがジャムの本来のカッコよさ。 そこには、たった3人で演奏しているとは思えないほどの強度がある。 むしろたった3人だからこそ成し得るのかもしれない、誰も言い訳できない緊張感による絶妙のコンビネーションがたまらないのだ。 But I'm Different NowやSmithers-Jonesの疾走感、いかにもジャムらしいBoy About TownやWe've Only Started。モータウンへのリスペクトが感じられるPop Art Poemも地味ながらとてもいい曲だし、The Great Depression 、Pity Poor Alfie/Feverではスタイル・カウンシルにつながるソウルフルな要素がたっぷり。 Beat Surennderと並んでラスト・シングルの候補曲だったというA Solid Bond In Your Heartは、後にスタイル・カウンシルとして再度レコーディングされることになった。
ezeeさん、毎度です。
ジャム、かっこいいっすよ。スタカンでもWalls Come Tumbling DownやSolid Bond In Your Heartが好きだったので、すんなりジャムにはまりました。
特に後期ですね、黒いのは。Town Called MaliceにBeat Surrender。言うことなしのカッコ良さです。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
ジャム、かっこいいっすよ。スタカンでもWalls Come Tumbling DownやSolid Bond In Your Heartが好きだったので、すんなりジャムにはまりました。
特に後期ですね、黒いのは。Town Called MaliceにBeat Surrender。言うことなしのカッコ良さです。