Chaka / Chaka Khan Released:1978
ディーヴァ〔diva〕
divaとはラテン語で「神々しい・神がかり的」を意味する(男性型)divus,(女性型)diva(英語のdivineの基になった語)およびイタリア語で同様の意味の(男性型)divo(女性型)diva(複数形)diveに由来する語で、「神々しい人(女性)」「女神」を意味する。転じてオペラで卓越した歌唱をする女性歌手の賛辞として広まった。(Wikipediaより抜粋)
いわゆるディーヴァと称される女性ヴォーカリストは数多いるけれど、僕が思う史上最強のディーヴァはこの方、チャカ・カーン。
この方の、張りと艶のある伸びやかで天真爛漫な歌声には、いつ聴いても白旗です。
豪快にして繊細、大技から小技まで、アッパーからメロウまで、ファンクからブルースまで、ほんと気持ちいいほど決まっていて、しかもどんな歌を歌ってもいつも余裕綽々。
しみったれた講釈なんぞ一切しない。歌そのもの、歌の表現力や存在感だけで持っていってしまう。
今も押しも押されぬ貫禄を持った大御所で、どのアルバムもすんごい存在感なのですが、イチオシはやっぱりちゃきちゃきのファースト・アルバムだな。
1978年録音、プロデューサーは当時からヒット請負人だったアリフ・マーディン。
ルーファスで人気絶頂だったチャカの満を持してのソロ作、ということで参加メンバーもゴージャスです。
ハーミッシュ・スチュワート(g)、スティーヴ・フェローン(ds)のアヴェレイジ・ホワイト・バンド組に、リチャード・ティー(p)、コーネル・デュプリーのスタッフ組、ウィル・リー(b)、アンソニー・ジャクソン(b)、デヴィッド・サンボーン(sax)、ランディー&マイケル・ブレッカー兄弟、ゲストにジョージ・ベンソン、シシー・ヒューストンという布陣、これで出てくる音が悪いはずなどあるわけがない。クレジットにはないけれど、駆け出しの頃のホイットニー・ヒューストンやルーサー・ヴァンドロスも参加していたっていうおまけ付き。
けど、すごいのはやっぱり、そういうゴージャスなメンツを食ってかかるほどのチャカの存在感です。
なんていうんかねー、この躍動感、そして艶感。
とってつけたあざとい感じのセクシーさではなくて、生き方そのものからあふれるようなお色気、とでもいうか。
個人的なことだけど、僕はどうも昔からあざといセクシーさが苦手で・・・水商売の女の人がメイクしまくってじゃらじゃらアクセサリーつけて香水ふって、これみよがしに胸元を開いて見せたり腰をくねらせたりするようなの(笑)・・・がどうもダメ。だから、大人になってもキャバクラやらスナックやらいまだに何の魅力も感じない。ファッション・モデルとか、男でも、例えばボディビルダーとかそういうのも同じだけど、全然いいと思わないんだな。普通の、日常の暮らしの中でのちょっとした仕草や受け答えの中にふと現れるようなかわいらしさや美しさやセクシーさのほうがずっとずっと素敵だと思うのだけれど、まぁ、それはともかく。
チャカさんのセクシーさはそういうさりげない美しさともまた違う、存在そのものの美しさ。
女として生きていくことへの確信というか、そういうものから溢れるセクシーさ、という感じがするな。
ホイットニー・ヒューストンのカヴァーでも有名な
I'm Every Woman 。
この曲が、アルバム1曲目から、まるでチャカ・カーンの所信表明演説みたいにどかんと存在感。
I'm every woman, it's all in me
Anything you want done, baby
I'll do it naturally
I'm every woman, it's all in me
I can read your thoughts right now
Every one from A to Z
私はどんな女にもなれる女、すべては私の中にある
あなたがしてほしいことならどんなことでも自然にやれる
私はどんな女にもなれる女、すべては私の中にある
あなたが何を考えているのかなんて全部お見通しなのよ
AからZまで全部ね
この感じ、女の人にならよくわかるのかな。男にはなかなかピンとこないけれど、ただ女の人というのはそうやっていろんな顔を「裏表」ではなく持っているのだ、ということはなんとなくわからないでもない。
私はどんな女にでもなれる女、その確信がかっこいいな。
そのかっこよさに、もう一方的にやられっぱなし(笑)、でもそんな自分が嫌いではなかったりもする。
リチャード・ティーのピアノから始まってぐいぐいと盛り上がっていく
Love Has Fallen on Me 、バラードなのにこれもぐいぐいと盛り上がっていく
Roll Me Through the Rushes 、軽快なフュージョン風のクールな
Sleep on It ときてド・ファンクのの
Life Is a Dance と続いてゆくA面。
大御所ジョージ・ベンソンとのデュエット、
We Got the Love 、 ぶりぶりのベースがかっこいいドスの効いたファンク・チューンの
Some Love 、ポップでキャッチーなメロの
Woman in a Man's World 、パーカッションが効果的なタイトなグルーヴの
Message in the Middle of the Bottom 、そしてラストはスティーヴィー・ワンダーのカヴァー
I Was Made to Love Him で締めくくられるB面。
かっこいいなー、やっぱり。
どっしりしたリズムの上で跳ねる、張りと艶のある声。どろどろなよなよした感じのまるでない天真爛漫さや生命力の強さ、満ち溢れるエネルギー。ぐだぐだ言う奴らを笑って包み込んでしまうくらいの明るさやパワー。
なんだかんだとつべこべ言ってないで、懐広くドカーンといかんかい!とお尻蹴っ飛ばされてみたいです(笑)。
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ティナ・ターナーはねぇ、印象としてはちょっとワイルドすぎるかなー。チャーミングさが足りないというか。
ティナ・ターナーはライオン、しかも雄(笑)、チャカ・カーンはもっとしなやかで、雌豹、という感じです、少なくともこの当時は(笑)。