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♪RICKIE LEE JONES -My Vintage(91)-

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Rickie Lee Jones / Rickie Lee Jones

血も滴るようなお肉の塊は大好物だ。
唐揚げやフライドポテト、油っこくてジャンキーな食べ物も嫌いではない。
だけど、そういう食事が続くと、お野菜やお豆腐や納豆、或いはシジミやワカメがたっぷり入ったお味噌汁なんかが無性に食べたくなる。
無意識のうちに体が求めるのだろうな。
音楽も同じで、タンパク質の塊みたいなロックや油っこいソウル・ミュージックばっかり聴いていると、もっと滋養のあるビタミンやミネラルみたいな音楽が聴きたくなる。
例えばリッキー・リー・ジョーンズ。
野菜サラダみたいにシャキシャキと瑞々しく、シジミのお味噌汁みたいに滋養たっぷりでほっこりする、そんな彼女の音楽は、体と心にとても優しい。

Chuck E.'s In Love
On Saturday Afternoons In 1963
Night Train
Young Blood
Easy Money
Last Chance Texaco
Danny's All-star Joint
Coolsville
Weasel and The White Boys Cool
Company
After Hours (Twelve Bars Past Goodnight)


毎日食べるもので自分の身体が組成されているように、毎日の心の在りようも心に入ってきたものでできている。日々起きることや出会った人、話した会話ももちろんだけど、読んだ本や聴いた音楽、見た風景やその日季節や気温なんかもとてもその組成に大きく影響しているわけで、これも日々摂取が必要な大切な栄養素。なかなか摂りだめがきかないので、バランスのよい摂取が心の健康のために必要。
忙しかったり疲れが溜まったりしてくるとついバランスを崩してしまう。
身体と同じように心も足りない栄養素を無意識に求めるもので、リッキー・リー・ジョーンズを聴きたくなるのはおそらく心にある種の栄養素が不足している証拠なのだ。

リッキー・リー・ジョーンズの歌の世界にあるのは、僕が普段の暮らしで忘れてしまっているもの。
うーん、ひとことで言えばチャーミング、というか。
トキメキ、とかね。
あっ!カワイイ!とかね。
でもそれじゃ少女っぽすぎるか。
そうじゃないな、もっとオトナ。でも少女の感覚もずっと同時に持ってる感じ。
日常のほんの小さなことに、喜んだり嬉しくなったりキュンとしたりぼやっと思い悩んだり、そんな感じ。
チャーミングであるということは大切なことだ。男でも女でも、そしてオトナであれば尚更。
悦びもシアワセも悲しみも絶望感もいろんな経験の中で味わって、そんな中でアキラメも希望も、絶望も悦楽も、自堕落さも丁寧さも、野性も知恵も、見栄もナチュラルも、能天気さもクールさもぜーんぶ等間隔に心の中にあって、なんだかんだいっても最終的には生きていることに肯定的で、だからこそピンチのときも追い込まれない余裕があったり、生きていることへの自信というかしたたかさを持っていて、そういうひとがふとしたときに見せる笑顔、みたいな感じが、僕の思うチャーミング。説明長いな(笑)。
リッキー・リー・ジョーンズの歌を聴いて感じるのは、そういう感じのチャーミングさなんだな。
普段はつい忘れてしまうんだな。
忙しすぎて、その上ゴリゴリとプレッシャーかけられて心が荒れてくると、そういう感覚を見失ってしまう。

コスモスが咲いていたね。
稲刈りが終わって田んぼが寒そうだね。
あれ、あんなところにあんなお店あったっけ。
夕焼けがきれいだね。
そんな何気ないちょっとしたこと、忙しいと見えなくなってしまうこと。
ほっておいたら心がゴリゴリに固まってしまう。

そんなとき、夢見がちで奔放で繊細でチャーミングなリッキー・リーの歌が効く。







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コメント

[C2379]

Okadaさん、こんばんは。
うん、このジャケット、素敵ですよね。
ハスッぱなポーズでキメてるけどちょっと背伸びしてる感じもあって。
アルバムはどれも素晴らしいのですがちょっととりとめのないところもあって、やっぱりおすすめは初期の3枚、中でもやっぱりコレですかねー。
伏見、わりとエエとこでしょ。
またぜひおこしやす、です。
  • 2014-10-15 23:36
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2377]

このジャケットのポートレイト、かっこいいですね。
トム・ウェイツ、チャック・E・ワイスといった人脈も興味深い。
彼女のアルバムはこれくらいしか聴いていないけど、ほかのアルバムも聴いてみようかな。
仕事、忙しそうですね。
ぼくもここ二週間ほど忙しかったのですが、少し落ち着きました。
日曜日、酔っぱらってgoldenblueさんに電話しなくてよかった(笑)。

[C2369] Re: 才気煥発

deacon blueさん、こんばんは。

> ☆ 初めて聴いた時に感じた「恋するチャック」のクールさが彼女の総てです。このアルバムはCD復刻盤でアルバム単位で聴き直しましたが,若いのに,いやそうだからこそ「リラックスして気負ってないように見せながら,精一杯じぶんの絵をカンバスに描こうとするひたむきさ」を感じてしまいます。まあこれは今だからそう言えるので,当時はただひたすらに格好良かったです,彼女。彼女の音楽はファッションショーのステージを歩くトップ・モデルのようだった(笑)。

そうですね。若いのに、若いからこその気負っていないように見せながらのひたむきさ、そういう感じが今もこのアルバムには漂っていますね。
大人になるための背伸びを一生懸命した人だからこそ、今もやんちゃな乙女心を失わないまま大人でいられるんだろう、という気がしました。
  • 2014-10-14 00:10
  • goldenblue
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  • 編集

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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