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♪WOMAN AND I -My Vintage(95)-

Woman and I...OLD FASHIONED LOVE SONGS(紙ジャケット仕様)
Woman and I...OLD FASHIONED LOVE SONGS / 柳ジョージ&レイニーウッド

Released:1980

♪南廻りの船でアフリカへ行くのが夢さ~、というフレーズで始まる「アフリカの夢」という歌が大好きだった。
冬の長い町から都会に出てきた、とある酔っぱらいの、まるで喜劇のような悲劇の物語。
この曲、なぜかぐっと来たんだよなぁ。
当時、中学生だったけど。
いわゆるニュー・ミュージックと呼ばれる音楽が全盛だった70年代末~80年代初め、なよっと女々しいフォークくずれやらにやけたシティ・ポップみたいなミュージシャンがぞろぞろいた中に紛れて、男くさくてブルージーでソウルフルな音楽を演る骨太な人たちもシーンに浮上してきた。
なぜか好きだったんだよな、柳ジョージさん。
女の子たちがチャーだツイストだ甲斐バンドだゴダイゴだ原田真二だとキャーキャー言っている中で、男っぽい世界を貫いている渋さにね、憧れた。
そう、まだ女の子の手を握ったことすらない中学生にとって、ジョージさんの描く世界はひとつの憧れだったのだ。
ジョージさんの歌から、まだよく知らないオトナの世界を、小さな窓から覗き見するように見ていたんだと思う。

落ちぶれて街を出て行く酔っぱらい、訳あって別れた男女の再会、故郷を懐かしみながら異国で命を落とした米兵・・・一曲一曲が短編小説のようにドラマがあって、ほろ苦い思いがあり、生きることの切なさや小さな喜びがあり、それを肯定する温かい眼差しがある。
レイニーウッドの面々の確かで情感豊かな演奏がそれに奥行きを与えている。
渋くてかっこいい、男がまだまだ男らしかった時代の奥行き。
音楽としては今や古くさい昭和の匂いが漂うけれど、まだこの国が貧しかったからこその人情味や、がむしゃらだった故の夢とそれが破れた儚さがなんとも切なくほろ苦く、心にしみる。
そして遠いアメリカへの憧れ・・・アルバムにはア・チェンジ・イズ・ゴナ・カムユーヴ・リアリー・ガッタ・ホールド・オン・ミー 634-5789テネシー・ワルツと4曲ものソウル・クラシックやオールディーズのカヴァーがジョージさんらしい深く人情味のあるアレンジで収められていて、ジョージさんやレイニーウッドのメンバーのソウルやR&B、そしてアメリカへの憧れ、それからそういう音楽に憧れたザ・バンドやエリック・クラプトンへの憧れを映し出しているようだ。

このアルバムの発売が1980年、すでに35年になろうとしているんだな。
あの頃、わけもわからずに遠い世界の出来事のようにただかっこいいな、と思っていた大人の世界・・・それからあと、ハードロックやパンクに目覚めてブルースやソウルやジャズまで聴くようになってずいぶんと遠ざかってもいたのだけれど、今の歳になって聴くとこれがまたずいぶんしみるんだな。
あぁ、いつの間にかずいぶんと遠くまで来てしまっていたんだな。
なんて、ふとセンチメンタルな感傷に浸るのも、たまには悪くない。たまには、ね。


ちなみに「アフリカの夢」の物語、男が死んだことを知ったあと、こんなフレーズで締めくくられる。

 情けない最期だけど
 俺たちより奴の方が
 幸せのずっと近くに生きたような気がするぜ

絵に描いたような幸せだけが幸せじゃない。
幸せなように見えても、いろんなことにがんじがらめになってしまうような安定した暮らしと、ダメダメでもダメダメなまま奔放に思うままに生きた人生と、どっちが幸せなんだ?なんていう投げかけが含まれていてニヤリとする。
うん、そうだな、今ならこう思う。
どんな生き方であっても、全部アリだ、全部OKだ、と。




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コメント

[C2391] Re: ハマ

deaconblueさん、こんばんは。

> 柳ジョージがいた時代のレイニーウッドは彼の人脈の関係もあって凄くヨコハマの色が強いバンドでした(たぶん最高傑作だろうサード・アルバムのタイトルの通りに)。今はなくなってしまったヨコハマの匂い(香りなんてやわな感じじゃない)が強烈でした。

関西生まれ関西在住の自分にとって、ヨコハマ色というのはいまいちピンと来ないのですが、ジョージさんの歌からは基地と港のにおいがします。それがヨコハマ色ということなのでしょうか。
泥臭いけど音づかいは結構おしゃれでもありますね。


  • 2014-11-02 00:35
  • goldenblue
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[C2390] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

[C2389]

非双子さん、こんばんは。
当時は同じ歌番組にアイドルも演歌もロックバンドも一緒に出ていましたね。
それがフツーだと思って見ていましたが。
1980年には松田聖子と田原俊彦がデビュー、YMOからテクノポップに火がついて、CMではニューミュージックのアーティストがタイアップを競っていました。
そんな中でこんないなたいバンドもフツーにテレビに居場所がありました。
Wikipedia見てみましたが、当時のヒット曲は全部口ずさめてしまいますね、いまだに(笑)。
  • 2014-10-31 21:52
  • goldenblue
  • URL
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[C2388]

私は二十歳の頃ですね~
友人のバンドがレイニィーウッドをコピーしてました

1980年 音楽 で検索し、Wikipedia見たら
時代の変わり目だったと実感しました。
あの頃は色んなジャンルの音楽が同時にTV番組に出てましたよね
面白い時代でした。
  • 2014-10-31 20:09
  • 非双子
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[C2385]

GAOHEWGⅡさん、こんばんは。
世代が違うとピンと来にくいかもしれませんが、当時(79年~82年くらい)、柳ジョージさんはかなりメジャーなアーティストだったのですよ。
CMタイアップのヒット曲もあったし、テレビにも時々出ていました。ダウンタウンの松ちゃんだったか浜ちゃんだったかの初めて買ったLPはレイニーウッドだったらしいですよ。
だから中学生が聴くのもわりとフツーのことだったのでした。
思えば意外と大人向けの文化だったのですね、バブル前は。

動画、消えちゃいましたねぇ。だいぶ前に下書きしていた記事だってことがバレバレですね(笑)。
「青い瞳のステラ」だけ修復できました。

  • 2014-10-28 21:15
  • goldenblue
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[C2384]

golden blue様 こんばんは

確かにハードボイルドな歌詞でかっこいい!
これを中学生で聴くのは確かに渋いです。

ところでyoutube動画は全部削除されてみることが出来ませんでした。邦楽はyoutube動画の管理がチョー厳しいですよね。聴いてみたかったなぁ。(今)

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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