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♪THE CROSSING -My Vintage(43)-

Crossing
The Crossing / Big Country

Released:1983

好きな星座はオリオン座。
なにしろ、冷え切った冷たい冬空でもパッと見つけられるわかりやすさがいい。
いや、それは冗談。
なんかかっこいいでしょ。
剣を掲げて立ち向かう姿がかっこいい。

そして、冬の勇気といえばこのアルバム、スチュワート・アダムソン率いるスコットランド出身のバンド、ビッグ・カントリーのファースト“The Crossing”。

「砂漠の中で花が開くことを期待してはいない
けれど、僕は生きて、呼吸をしているから
この冬の時期にお日様が見えているから」

彼らの唯一のヒット曲、 In A Big Country のこのフレーズが好きで、冬になると時々とても聴きたくなる。
名曲です。
のっけからの“ハッ!”という掛け声からもうグイグイと引き込まれる。
アダムソンの弾くエフェクターを多用したバグパイプを模したギターは当時としては画期的で、その音色は彼らのトレードマークになった。
ゲート・エコーのかかったドラム、ベースは意外にも撥ねまくり、そして巧くはないが誠実さの伝わるヴォーカルもいい。
大平原の中を煙を吐いてひた走る蒸気機関車のように力強く、武骨なかっこよさと素朴さにあふれている。
当時の人気としては、同時期に出てきたU2やエコー&ザ・バニーメンよりも上だったはず。
今となってはIn a Big Countryだけの一発屋のイメージがつきまとうけれど、収録された楽曲はいずれも独特の味わいがある。
疾走感のあるInwardsやパワフルなFields Of Fire
荒れた風景の中に遠い希望を抱かせるようなChance1000 Stars
スコットランドの古い民謡を思い起こさせるようなメロディのThe Storm Harvest Home
壮大な氷の大地を黙々と走り続けていくようなPorrohman
そしてアルバムタイトル曲なのに後に出た再発盤のボーナス・トラックとして収録されたThe Crossingの、スコットランドの平原に訪れる遠い朝焼けのような、儚いけれど晴れがましくもあるような美しさも素晴らしい。
大らかというか、ビッグ・カントリーの音から聞こえてくる風景の広さがいいんだな。

80年代のうちはコンスタントに好アルバムをリリースし続けていた彼らも、90年代に入ると活動は停滞してしまう。
スチュワート・アダムソンはそんな中でやがてアルコール中毒になり、幾度かの失踪を繰り返した後、2001年の12月にハワイのホテルで首吊り自殺をしてこの世を去った。享年43歳だったそうだ。
あんなに懐が広く力強い歌を歌っていたアダムソンに何があったのかはわからないけれど、同時期に出てきたU2が世界的に影響力を持つ偉大なバンドになったこととの対照さに呆然としてしまう。
片や世界のVIPとも渡り合うスーパースター、一方は落ちぶれて自殺なんて、冗談にもならない真実。
少なくとも1980年代前半当時、U2とビッグ・カントリーの間に大きな差はなかった。
それはほんとうに紙一重の差でしかなかったと思う。
偶然のタイミングとラッキーとアンラッキーの幾つかの重なりが、たまたま大きく命運を隔ててしまったのだ。
そのことを思うとき、人生の「あや」とでもいうべき運命の何ということか、という思いに駆られてしまう。

「砂漠の中で花が開くことを期待してはいない
けれど、僕は生きて、呼吸をしているから
この冬の時期にお日様が見えているから」

まだまだ負けてられない、紙一重を切り抜けて生き残りたい。
まだまだ寒い冬の日は続いていくけれど。
真冬の空でひときわ目立つオリオン座みたいに、雄々しく、力強く、立ち向かっていけ。




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コメント

[C2106]

yuccalinaさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
80年代にはイギリスの田舎に、パンク~ニューウェーヴの流れを組んだいいバンドがたくさんありました。
U2、アラーム、ウォーターボーイズ、アズテックカメラ、エコー&ザ・バニーメン、ポーグス・・・全部まとめて好きだったんですが、その中でもビッグカントリーは大好きでした。
アダムソンさんが亡くなってしまわれたのはほんと残念です。
yuccalinaさんのブログにもまた寄せていただきますねー。
今後ともよろしくお願いします。


[C2105]

はじめまして。Big Country大好きでした。来日もしましたよね。同じSteve Lilywhiteプロデュースだったので、U2と比べられることがあったのかな?私はあまり意識してなかったのですが、、。アダムソンのその後については後で知り、やはり切なく感じました。

[C2102]

ひるのまりさん、遅ればせながら新年おめでとうございます。
ほんと人の運命は様々です。
でも終わってみるまでは何がよくて何が悪いのかわからないのもでもあるように思います。
新年はまだ始まったばかり。
いい年にしましょうねー。

[C2101]

goldenblueさん 明けましておめでとうございます

In A Big Country初めて聞きましたが すごくいい曲ですねえ。

やしきたかじんも 3日に亡くなっていたんですねえ。
それぞれ顔が違うように 人の運命も違います。
親子、兄弟も違いますね。
夫婦となると いやいやダンナの運命にしたがわなくてはなりません。
それでも今年はいい年になると自分では決めてます♪
今年もよろしくお願いします。
  • 2014-01-08 18:47
  • ひるのまり
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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