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♪I'M STILL IN LOVE WITH YOU -My Vintage(72)-

I'm Still in Love With You
I'm Still in Love With You / Al Green

Released:1972

「神への献身を歌う敬虔なゴスペルと、安酒と女に彩られたブルース。
すぐれたソウル・ミュージックってやつは、いつだってそんな一見相反する二つの要素を分かちがたくはらんでいるものだ。サム・クックしかり、カーティス・メイフィールドしかり、オーティス・レディングしかり・・・。彼らの歌声には必ず聖者としての敬虔さと、そんな崇高な肌触りとは裏腹な扇情的ないかがわしさが、互いに矛盾することなく共存している。
聖邪が交錯するパラドクス。この、いまいましくも、とことん人間臭いパラドクスこそが、ソウル・ミュージックならではのきわどい快感をぼくたちにプレゼントしてくれるのだろう。」
僕が持っているアル・グリーンのベスト盤に書かれていた萩原健太氏の解説。これはまさにソウル・ミュージックを的確に表現した一文だと思う。

アル・グリーンの歌う世界は、基本的には愛の世界だ。
愛ってひとくちに言ってもとても広いけれど、神への敬虔な愛から、人類愛、家族愛、隣人愛、小さな恋心のときめきや憧れから、体ごと溶けてしまいそうなディープな性愛から自己愛まで、アル・グリーンが歌うのは、おおよそ思いつく限りの愛の形ぜんぶ。
そこには聖と俗の区別などない、というか、一見「俗」であると思われるものの清らかさや「聖」であると思われるものの俗っぽさという隠された部分までを露わにしながら渾然一体となっている、つまりはぜんぶひっくるめての愛、なのだ。
大ヒットした「Let's Stay Together」ももちろんかっこいいんだけど、アルバムとしてはこれが一番かな。
脂の乗りきった、1972年発表の4枚目のアルバム。

ほんわかとした味わい深さでじわじわと優しさが込みあげてくるようなI'm Still In Love With Youや、ぐっと切なさを増したメロウなWhat A Wonderful Thing Love Is、ホーンとオルガンがとても温かい Look What You Done For Me。そして、ギュッと切なさをかきたてられるSimply Beautiful
ちょっともったりしつつも、温かみを感じる人力のビートがいいんですよね。
メンバーは一貫して変わらないハイ・レコードのハウス・バンド、ティニー・ホッジス(g)・リロイ・ホッジス(b)・チャールズ・ホッジス(Key)のホッジス兄弟に、ハワード・グライムスとスタックスの御大アル・ジャクソンJr.のドラムス。
絶妙な合いの手で盛り上げるホーン・セクションは、ウェイン・ジャクソンやアンドリュー・ラブというこれもスタックス・サウンドでおなじみのメンフィス・ホーンズの面々。
ロイ・オービソンの名曲をハイ・サウンド的に解釈したOh, Pretty Womanや、ずっしりとした手応えのLove and Happinessなんかではギターもいなたく泣き、オルガンやホーンもとても効果的にファンクっぽさを盛り上げていくのだけれど、実はアップ・テンポではないスロウな曲での底に流れているファンク・ビート的な感じがこのバンドの肝なのだと思う。For The Good Timesや、I'm Glad You're Mine なんてもう、鳥肌的に、いやもっとこう肌に直接触れられるようにゾクゾクするような気持ちよさですね。

 Don't look so sad I know its over
 But life goes on and this world keeps on turning
 Let's just be glad we have this time to spend together
 There is no need to watch the bridges that were burning

 Lay your head on my pillow
 Hold your warm and tender body close to mine
 Hear the whisper of the raindrops
 Blow softly against my window pain late at night
        (For The Good Times)

Let's just be glad we have this time to spend together、ってフレーズがいいね。共に過ごすことで癒されることへの感謝。厳しい環境に生きる現代人は、もっと癒される機会が必要だと思う。
愛情が不足気味かなと思ったときにはソウル・ミュージック。逆に満ち足りた愛を改めて反芻したいときにもやっぱりソウル・ミュージック。
愛を感じることさえできれば、人生そんなに悪い方へは向かわない。




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コメント

[C2277] Re:

ezeeさん、毎度です。
うーん、まさに愛の伝道師。全部アルバムを聴いたわけではないですが、これは特にお気に入りの一枚です。
ジャケットの、今の感覚で見ればジョーク寸前のいかがわしさもなかなか味です。
まだ60代半ば?バリバリに現役ですもんね。
  • 2014-06-17 01:32
  • goldenblue
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  • 編集

[C2276] Re: これからじっくり

deaconblueさん、こんにちは。
> 多分この次は70年代のニュー・ソウルとフィリーがこうした廉価盤の対象になってくれるのではないかなと思うので,そのカタログに載ってくれれば,彼もこれからじっくり聴きたいミュージシャンのひとりです。

このところの廉価盤の再発は確かにそそられるものがあります。
ただ、全部に手を出していたらキリがないので(笑)、ソウルはシングルだ、ベスト盤こそソウルだ、などと屁理屈をつけて見送っています。
でも70年代モノはまた別物でアルバムほしくなりそうですね。
  • 2014-06-17 01:27
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2275]

ん〜イイですね〜
愛の伝道師、アル・グリーンについては客観性がなくなってしまします。この辺のは気分に寄りますが、どれでも最高や!と思ってしまいます。
昔、愛について歌った歌だけを集めたベストまで出てましたヨ。
是非、生で見たい人です!
  • 2014-06-15 23:52
  • ezee
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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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