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♪THE ROSE OF ENGLAND -My Vintage(64)-

Rose Of England
The Rose Of England / Nick Lowe & His Cowboy Outfit

Released:1985

パブ・ロック界の重鎮、英国ロックのご隠居さん的存在のニック・ロウ。
初めて聴いたのは大学生になったばかりの頃だったな。難波のタワー・レコードでベスト盤を買ったのが最初、それからすぐにこのアルバムが出たんだったと思う。
18歳、窮屈だった高校を卒業して、京都のとあるこじんまりした大学へ通い始めた。大阪にある某マンモス大学も受かりはしたのだけれど、誰も知り合いのいないところへ行きたいという気持ちもあって、その小さな大学を選んだのだ。
大学生活はとにかく自由だった。毎日のように新しい友達ができて、多分そのうちの誰かにニック・ロウのことを教えてもらったんだったと思う。或いは、会話の中に出てきて当然のように知ってるそぶりの受け答えをしてから慌てて買いに行ったのだったろうか。何しろレンタル屋には置かれていなかったからね。
当時大活躍中のプリテンダーズやエルヴィス・コステロのプロデューサー、当然気に入らないはずがない。
中でも一番の傑作だと思うのがこのアルバムだ。
1985年発表、マーティン・ベルモント(g)、ポール・キャラック(Key)、ボビー・アーウィン(ds)というメンバーの「His Cowboy Outfit」というバンドを従えての6枚目のソロ・アルバムだが、本当に80年代の作品かと思うような、50年代のロックンロールやロカビリーを意識した作品。ブリンズリー・シュワォーツでの泥臭さや、初期のソロやロックパイルでのパワフルさに比べるとずいぶんとゆるくて、後のソロ作にもつながるアコースティックな感じもあって、ニック・ロウらしい能天気かつちょっと胸キュンな青っぽさが堪能できる。

1曲目はのりのりのDarlin' Angel Eyes。ニック・ロウ自身によるスイングするベースラインが気持ち良い。ポール・キャラックによるオルガンのリフもウキウキする。
2曲目は、後にリトル・ヴィレッジを共に組むことになるジョン・ハイアットの作品で、She Don't Love Nobody。♪ドゥドゥドゥドゥッドゥ ドゥドゥドウゥドゥドゥドゥドゥ~っていうオールディーズっぽいコーラスが楽しい。
3曲目は一転、オールド・スタイルのロカビリーのカバー曲である7 Nights To Rock。オリジナルはムーン・ミュリカンという人。そしてマーティン・ベルモントのギターがのどかなインスト・ナンバーのLong Walk Backで和んで、ニック・ロウらしいカントリーっぽさの匂うThe Rose Of England、溌剌としたLucky Dogと続くA面。この流れ、気持ちいいな。
B面はシングル・カットされたゴキゲンなナンバー、I Knew The Bride (When She Used To Rock 'N' Roll)で始まる。ニックのオリジナルだけど、最初にレコーディングしたのはロックパイル時代の盟友、デイヴ・エドモンズ。バックを務めるのは当時人気絶頂だったヒューイ・ルイス&ザ・ニューズで、50’sっぽいアレンジだったエドモンズのバージョンに比べてもろに彼ららしい陽気でガッツがありつつキッチリつかみどころを心得た演奏
ここからB面はしっとりほっこり系が続く。エルヴィス・コステロが『King Of America』でアコギ一本で演っていたせつな系のバラード、Indoor Fireworks。これはもう、意味もなくうるうる来る(笑)。
カントリー調の(Hope To God) I'm RightI Can Be The One You Love、そしてEveryone。なんとなくしみじみとセンチメンタルな気分になってしまうこのB面の流れもまた絶妙。
そして最後にちょっと照れ隠しのように、ちょっと泥臭くてユーモラスなBo Bo Skediddleで〆。これはウェイン・ウォーカーというロカビリー歌手の1957年のヒット曲だそうだ。

いいなぁ、ニック・ロウ。5月の爽やかな季節には特によく合う。
青筋張らないゆとり感がいいんですよね。
ユーモアたっぷりで余裕綽々な感じ。
自分自身はちまちま細々と些末なことにこだわってしまう性質なだけに、こういうおおらかというかアバウトな感じのゆとり感に憧れてしまう面がなきにしもあらずです。
ゆとり、楽しさ、朗らかさ、大事ですよね。
ただ、そのこととテキトー、いい加減、大雑把とはちょっと違うとも思う。
たくさんのバックボーン、いろんな引き出しがあって、その中から緻密に組み立ててこだわりはこだわりとして細部まで譲らずに、それでも尚且つ出てきたものにはその苦心を感じさせないポップさがある、これこそが職人の仕事ではないかと思うわけで・・・まだまだその境地に至るまでは修行が必要だな、なんてね、思うわけです。



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コメント

[C2223] Re: Rockpile

こんにちは。
デイヴ・エドモンズとエヴァリー・ブラザースのハモリ。それは良さ気ですね!
そういえばこのアルバムの前後で、コステロとシュレルズの“Baby,It's You”を演っていた30cmシングルがありました。
このところニック・ロウはずっと独りで演っているようですが、ほんとはこういうのが大好きなはずで、もっと演ってほしですよね!
  • 2014-05-10 13:12
  • goldenblue
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[C2222] 管理人のみ閲覧できます

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[C2221]

GAOHEWGⅡさん、こんにちは。m
このあたりのパブロック周辺の音には、音楽好きの愛情があふれていますよね、おっしゃるとおり、染み付いたものが自然体で出てくる感じ。

このMyVintageのシリーズはいろんなジャンルから100枚ちょっと選ぶ予定ですが、どうしてもこの周辺は多くなりそうです。
  • 2014-05-07 08:10
  • golden blue
  • URL
  • 編集

[C2220]

golden blueさま こんばんは

確かにニックロウを含め、この周囲のパブロック人脈の方々のルーツへの愛着と研究心は凄いです。
心身に染み込ませて無意識に出てしまう域に達しているからこその、自然体なのですね。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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