寒い。風が冷たい。さすが12月、よく冷えますね。 そろそろ初雪だな。 寒さが厳しくなる頃になると、暖かいソウル・ミュージックが聴きたくなる頻度があがります。 というわけで、今回のMy Vintage盤はピーボ・ブライソン。 ディズニー映画「アラジン」のテーマ曲だった、レジーナ・ベルとのデュエットのWhole New World (Aladdin's Theme) や。セリーヌ・ディオンとのデュエット、Beauty and the Beastの大ヒットもあってアルバム自体もよく売れたのでしょうね。 売れすぎた証か、中古盤屋に行くと250円とか下手すりゃ100円なんて価格で見かけることも多いのですが、この盤は侮れないです。 とはいっても、良くも悪くも良くできたヒット・アルバム、マイルドでハートウォームでさらっと聞き流せる万人向けの音。 でも、それがいいんです。 安心して聞き流せる。落ち着く。ほっとする。 それでいて聴き込むごとに味が出るし、不思議と飽きない。 この時代、こういう良くできた作りのAOR的なブラコンはたくさんあったけれど、この盤の質はどこか違う。 その違いはどこかといえば、狙いすぎていないところかな。聴く側に媚びていない。本当に良いものをじっくりと作り込んだ職人品質とでもいうか、あっさり味には仕上げていても実は吟味した原料を揃えて、じっくりとダシから丁寧にとって、調味料や添加物に頼った安易な味付けはしていない作り手のこだわりというか、そういうものを感じるのです。 ピーボさんの味わいはなんといってもバラード。チャカ・カーンの名アルバムに入っていたThrough the Fireや、ボズ・スキャッグスのYou Can Have Me Anytime (We're All Aloneじゃないところが渋いっ!)、Jポップの人たちもこぞってパクった感のあるお手本のようなWhy Goodbye、といった名曲がゴロゴロです。伸びやかでスムーズなピーボの声、控えめ過ぎず大袈裟すぎないからいくらでもおかわりできる感じ。 もちろんバラードだけの人ではなく、Love Will Take Care of You、 By the Time This Night Is Over、Don't Make Me Wait、Same Old Love などR&Bっぽいスタイルでの自由に伸び縮みするソウルフルな歌唱はさすがです。 そんないずれも捨て曲なしのかっちりしたアルバムですが、このレベルなら他にも素晴らしい盤はいくつもあって、でも敢えてMy Vintage選定したのは、この曲が好きだから。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
これはねー、中庸の美学というか、地味でもじわじわと良さのわかる佃煮みたいな味の深さですよね。
Never Saw A Miracleはパーフェクトです。
さすがezeeさん、よくご存知で。ええもんはええですね!