An Innocent Man / Billy Joel Released:1983
ロマンスの準備はまだできていない、って言ってたよね
友だちのままでいようと約束したけれど
僕らは踊ったね、とてもゆっくりとしたダンスを
そして僕は約束を破りはじめていたんだ
今夜は僕のもの
僕と君だけのもの
明日なんてずっとずっと先のこと
今夜は永遠に続いていくんだ
(“
This Night ”)
こんなロマンチックな思いを経験したことがあるかどうかは別にして、夏の夜になるとこの歌がふと口をつく。
週末、雨が降って、永遠に続くかと思われた猛暑もちょっと一段落。
少しは風情が感じられる気候になってくれるかな。
ビリー・ジョエルの1983年の作品、『AN INNOCENT MAN』。
“
Tell Her About It ”、“
Uptown Girl ”、“
The Longest Time ”と次ぎ次ぎとヒット曲を連発したこのアルバム。まだ洋楽を聴き初めだった頃の僕も、こりゃいいね、ってすっかりはまってしまった。ビートルズやストーンズから黒人音楽にも少し興味を持ち始めた頃で、なるほどこの曲の下敷きになっているのがシュープリームスなのね、なんて思ったりしながら。
度肝を抜かれたのは1曲目の“
Easy Money ”かな。最初、「えっ?ビリー・ジョエルやんな?レコード間違えたっけ?」と思ったくらいのファンキーさ。その頃はまだJBもウィルソン・ピケットも知らなかったから「なんだこりゃっ!?」って思った記憶がある。
そしてちょっとビリーっぽい“
An Innocent Man ”で安堵。山下達郎ばりに一人多重録音でドゥ・ワップを演った“
The Longest Time ”やオールディーズ臭プンプンの“
This Night ”、そしてばりばりモータウンの“
Tell Her About It ”、フォー・シーズンズあたりをパクッた“
Uptown Girl ”。“
Careless Talk ”はサム・クック+ドゥ・ワップで、歌い方もずいぶんソウルフル。“
Keeping The Faith ”ではカリプソっぽい裏打ちのリズム。
当時のビリー・ジョエルの印象は“Honesty”や“素顔のままで”を歌う叙情的なピアノ・マン。また前の年にはベトナム戦争を歌った“Goodnight-Saigon”や炭鉱問題を歌ったという“Allen Town”などのシリアスなテーマな『Nylon Curtain』を発表していただけに、このアルバムの突拍子もないくらいの能天気さは賛否両論だったけれど、僕はけっこう好きだったな。
そして、今振り返ってもやっぱりこのアルバムに収められたヒット曲の数々は、エバー・グリーンな輝きを持っていると思う。なんていうんだろうか、背伸びせずに自分が少年時代に大好きだった音楽、音楽が大好きだった気持ちに忠実に、ビリー自身がこの作品をとても楽しんで作ったんだな、ということが伝わってくる作品群。そしてその大好きな気持ちが、このアルバムの楽曲たちに今もある種の生命力を与えているような気がするのだ。
この曲も、夕涼み気分でふっと口をついてしまうようなかわいいメロディーだね。
恋をしている僕
時々こわくなってしまう時がある
何か言わなくっちゃと思ってつい、とんでもないことを口走ってしまいそうで
何かおもしろいこと言わなくっちゃって
そんな場面じゃないことはわかっているんだけれど
なんとか会話を軽くしなくっちゃって
ドキドキもんでつい生意気言っちゃうんだよ
けどそんなことを感じているその感じこそがとても素敵な気持ち
指でつねっても痛くない(笑)
この素敵な安らぐ気持ちを
どうかこのままそっとしておいて
(“
Leave A Tender Morment Alone ”)
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『グラスハウス』というば“You maybe right”、あのイラついて自虐的な歌詞はけっこう好きでした。
もうちょい聴き直してみようかな、ビリー・ジョエル。