THE ROOSTERS / THE ROOSTERS Released:1980
暑い日が続く。
アスファルトの上の熱気。
もわもわとこもる暑さとだるさをぶっとばすには、いかれたロックンロールに限る。
Vo:大江慎也、G:花田裕之、B:井上富雄、Ds:池畑潤二。
どうだろう、このジャケットの悪そうな面構えは。
僕は中学高校を通じて、バイクに乗ったりたばこ吸ったり喧嘩したりナンパしたりといったことをするようなタイプのいわゆる不良ではなかった。もちろん優等生でもなかったし、コンプレックスだらけのしょーもないガキンチョだった。
文字通りの不良に対しては、どこまでいっても相容れることのない苦手感のようなものがあった。
ただその一方で、コンプレックスの裏返しとしてのある種の憧れのようなものも抱いていたのかもしれない。今になればそう思う。
ルースターズの音には、自分とは違うからこそ有無を言わせず憧れてしまうようなかっこよさを感じるのだ。
アスファルトの上の熱気。
一夜限りのプライドに命をかける工業地帯の周回道路。
改造した自動車やバイクの空ぶかしの音、特攻服と旗、地下室。
反抗すること以外には何にも出来ない、ハンパ物だからこそ感じる苛立ちと一夜限りの興奮と。
自分はそんな柄じゃないと思いながら、形こそ違えど、実は同じようなことを求めていたのかもしれない、と。
初期のルースターズを、口の悪い人たちは「初期のストーンズのコピーバンドじゃないか」と揶揄する。その意見には確かに一理はあって、歌詞のモチーフにしろ音の質感にしろカバー曲のセンスにしろ、たしかに近い、パクリじゃないかと言われれば、その通りかもと言うしかないようなところはある。
15年遅れでロンドンから極東の地にやってきたロックンロール・バンド。
でも、僕はこのルースターズの音を単純にコピーだとは思えないのだ。
それは、形式やスタイル、上辺や見た目だけではなく、スピリットやアティテュードまで含めてモノにしているから。
荒くれた灰色の工業都市で、垢抜けてスノッブになっていく都会から遠く離れた地方都市で、若き日のストーンズが遠くアメリカの黒人達の音楽に共感したのと同じように、貧しく未来の見えない立ち位置からルースターズも黒人達の音楽に共感し、ストーンズが見たものと同じものを見たのだと思う。
そういう意味でルースターズは決して初期ストーンズのパクリなどではなく、同じ血を分け合った異母兄弟なのだと感じるのです。
“
恋をしようよ ”
“
MONA ”
“
Fool For You ”
“
Do The Boogie ”
“
新型セドリック ”
“
どうしようもない恋の唄 ”
“
Rosie ”
“
テキーラ ”
それにしてもかっこいいよね。
かっこいい演奏をただ「かっこいい」としか表現しないのはあまりにも芸がないと思うのですが、このアルバムに関しては勘弁してください。
うーん、ガチャガチャわけのわからないことを言っているのがあほらしくなってきた。
くそ暑い真夏、狂ったような熱気。
いかれたロックンロールでぶっとばす。
ある種の滋養強壮剤みたいなもの。
タフなエネルギーを体の中にも脳みその中にもいっぱいいっぱいに詰め込むのだ。
スポンサーサイト
♪俺はただおまえとやりたいだけ~、なんてフレーズ、直訳とはいえちょっとやそっとでは出てこないですよね。
本物のロックンロールです。
鵜呑みにして真似したらえらいことになるかもしれませんけどね・・・