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♪THE ROOSTERS -My Vintage(22)-

THE ROOSTERS(紙)
THE ROOSTERS / THE ROOSTERS

Released:1980

暑い日が続く。
アスファルトの上の熱気。
もわもわとこもる暑さとだるさをぶっとばすには、いかれたロックンロールに限る。

Vo:大江慎也、G:花田裕之、B:井上富雄、Ds:池畑潤二。
どうだろう、このジャケットの悪そうな面構えは。

僕は中学高校を通じて、バイクに乗ったりたばこ吸ったり喧嘩したりナンパしたりといったことをするようなタイプのいわゆる不良ではなかった。もちろん優等生でもなかったし、コンプレックスだらけのしょーもないガキンチョだった。
文字通りの不良に対しては、どこまでいっても相容れることのない苦手感のようなものがあった。
ただその一方で、コンプレックスの裏返しとしてのある種の憧れのようなものも抱いていたのかもしれない。今になればそう思う。
ルースターズの音には、自分とは違うからこそ有無を言わせず憧れてしまうようなかっこよさを感じるのだ。
アスファルトの上の熱気。
一夜限りのプライドに命をかける工業地帯の周回道路。
改造した自動車やバイクの空ぶかしの音、特攻服と旗、地下室。
反抗すること以外には何にも出来ない、ハンパ物だからこそ感じる苛立ちと一夜限りの興奮と。
自分はそんな柄じゃないと思いながら、形こそ違えど、実は同じようなことを求めていたのかもしれない、と。

初期のルースターズを、口の悪い人たちは「初期のストーンズのコピーバンドじゃないか」と揶揄する。その意見には確かに一理はあって、歌詞のモチーフにしろ音の質感にしろカバー曲のセンスにしろ、たしかに近い、パクリじゃないかと言われれば、その通りかもと言うしかないようなところはある。
15年遅れでロンドンから極東の地にやってきたロックンロール・バンド。
でも、僕はこのルースターズの音を単純にコピーだとは思えないのだ。
それは、形式やスタイル、上辺や見た目だけではなく、スピリットやアティテュードまで含めてモノにしているから。
荒くれた灰色の工業都市で、垢抜けてスノッブになっていく都会から遠く離れた地方都市で、若き日のストーンズが遠くアメリカの黒人達の音楽に共感したのと同じように、貧しく未来の見えない立ち位置からルースターズも黒人達の音楽に共感し、ストーンズが見たものと同じものを見たのだと思う。
そういう意味でルースターズは決して初期ストーンズのパクリなどではなく、同じ血を分け合った異母兄弟なのだと感じるのです。

恋をしようよ
MONA
Fool For You
Do The Boogie
新型セドリック
どうしようもない恋の唄
Rosie
テキーラ


それにしてもかっこいいよね。
かっこいい演奏をただ「かっこいい」としか表現しないのはあまりにも芸がないと思うのですが、このアルバムに関しては勘弁してください。
うーん、ガチャガチャわけのわからないことを言っているのがあほらしくなってきた。

くそ暑い真夏、狂ったような熱気。
いかれたロックンロールでぶっとばす。
ある種の滋養強壮剤みたいなもの。
タフなエネルギーを体の中にも脳みその中にもいっぱいいっぱいに詰め込むのだ。


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コメント

[C1927]

波野井さん、こんばんは。
♪俺はただおまえとやりたいだけ~、なんてフレーズ、直訳とはいえちょっとやそっとでは出てこないですよね。
本物のロックンロールです。
鵜呑みにして真似したらえらいことになるかもしれませんけどね・・・

[C1926]

今の若いお兄ちゃんたちにも聴かせたい1枚ですね!
本物のロックンロールです(≧▽≦)!

日本語もカッコいいですよね!
  • 2013-07-29 23:43
  • 波野井露楠
  • URL
  • 編集

[C1925]

ezeeさん、こんにちは。
このアルバム、僕はあと聴きなんですよね。ハウンドドッグ→モッズ→ARBとつながっていって、「C.M.C」か何かから入ったのかな。
アルバムとしてはセカンドの方が好きだけど、このアルバムのスピード感やエッジの立ちかたはやっぱりかっこいいとしか言いようがないです。

[C1924]

LA MOSCAさん、こんにちは。
「ロックンロールの最新型」ってフレーズはよくインタビューやなんかで大江慎也が口にしていたフレーズでしたっけ。
スピードとシャープさについてはかなり意識はあったのでしょうけど、この黒っぽさはただのコピーでは出ない雰囲気ですよね。

変わり者、うん、どっちかというとそんな感じですね。
何も変わらないのに(笑)、でも今もやっぱりちょっと変わり者だと思われているんだろうと思います。

[C1923]

非双子さん、こんにちは。お返事遅くなりました。
ほんま暑いです。
久しぶりにゆっくり休んだら、疲れがどっとでてきてかえって体調不良気味。
やっぱりいつまでも若くはないかと実感しています。。。

[C1922]

うん、カッコええもんはカッコええ!
それしかないですよね。ストーンズは素晴らしいですが、我々日本人。日本語で聴きたい音もありますからね〜
よくぞ、あの年齢の、あのタイミングで存在してくれた!
  • 2013-07-28 00:50
  • ezee
  • URL
  • 編集

[C1921]

たとえ本人たちは真似してるつもりでも"ホンモノ”はオリジナリティー出まくるってことですよね。

いや、ルースターズは意識的だったのかも。
最新型ってことに。

俺も不良じゃなかったです。
明後日方面向いてる変わり者と思われてただけで(笑)

ちっとも変わってなかったのに(笑)

[C1920] くそ暑~い、でも・・

>バイク に乗ったりたばこ吸ったり
すみません、やってました(笑
田舎の町ですから(つきあいで)しゃーないかも・・・

>スピリットやアティテュードまで含めてモノにしているから。
演奏してる人間の”魂”が有れば共感できるんですねぇ~

>くそ暑い真夏、狂ったような熱気。
>いかれたロックンロールでぶっとばす。
>ある種の滋養強壮剤みたいなもの。

私も最近は派手なロックばっかり聴いてます。
この気温で「〇〇のピアノソナタ」なんていらんでしょ(笑
  • 2013-07-25 22:12
  • 非双子
  • URL
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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