時々、もう十何年も思い出すことのなかった人や出来事のことをなんの脈絡もなく突然思い出すことってありませんか? 今日ふっと思い出したのは、最初に就職した会社にいたTさんのことだった。 ほんとにずっと忘れていたんだけれど、突然リアルに思い出した。 Tさんは、上司じゃないけど、みんなから一目置かれる先輩、派手なアピールはしないけれど、気がついたらいつもちゃんと目標は達成している、そういうタイプの人だった。 30半ばくらいだったのかな、当時。正直あんまり好きな人ではなかった。 というのも、誰に対してもそうだったのだけれど、小さな重箱の隅をつつくような些細なことを、嫌みも込めてねちねちという人だったからだ。ただし、指摘されることにはそのひとつひとつがいちいち筋が通っていて、若かった僕たちが自分なりの理屈で対抗しようとしても到底勝ち目などなく、いつも最後には「やりゃあいいんでしょ、わかりましたよ。」といわざるを得ないような説得力があった。 僕は昔から屁理屈に関してはスペシャリストで(笑)、口がたつ上に機嫌を損ねるとへそを曲げるから煙たがられてもいたようで、大抵の上司はどこか遠慮するように遠回しにしか注意してこなかったのだけれど、Tさんだけは違った。 声を荒げることもなく淡々と「お前な、言ってることめちゃくちゃやで。」と半ばあきらめ顔で諭してくれて、頭ごなしにガツンと怒鳴られるとより反抗的な態度に出てしまう僕もTさんのお説教にだけはなぜか反発できなかったのだった。 なんでこんなこと急に思い出したんだろう? 今更ながら、Tさんが僕のことをどういう思いで見てくれていたのかがうっすらとわかるような気も少ししたりして。 ほんとうに、今更ながらなんだけど。 Tさんは僕のことを「俺もそんなだったからお前の言いたいことはわかるんだけど、お前もきっとそのうちわかるだろうから。」という思いで見てくれていたのだろうか、それとも鼻持ちならない若造をこらしめてやりたかったのか。 今となっては確かめる術もないし、「今頃になってあなたの言っていたことの意味が分かりましたよ。」と伝えることもできない。おそらくはその必要もない。 ただ、人が生きると言うことはそうやっていろんな人からいろんなことを受け取って、また時には自分からも受け渡して、そういうことでぐるぐると回っていくことなんだろうな、という思いがぼんやりとうずまいているだけ。 なんだか胸の奥をぐしゃぐしゃと掻きむしりたいような気分。 なんだか飲みたい気分になってきたな。 そして、ちょっと青臭い音を聴きたい気分だ。 最近お気に入りのお酒。 「男前豆腐店」の豆乳入りのにごり酒。 ほんのり甘酸っぱくて飲みやすいので、かぱかぱ飲めちゃう感じ。 そして渋いブルースよりも、青臭くて甘酸っぱい音楽が似合う感じ。 今日の気分はなんとなくこれだな。 Give'em Enough Rope / The Clash 全然甘酸っぱそうじゃないジャケット(笑)。
実際、ハードでゴツゴツした音がのっけからガンガンと続く(笑)。
でもこのレコードは僕にとっては青春の匂いのする甘酸っぱいレコードなのだ。
それは、この曲とこの曲が入っているから。
Stay Free - The Clash All the Young Punks - The Clash この2曲を聴くと、世の中なめてかかって、偉そうに大口ばっかりたたいていた20代そこそこの自分の姿が映画のワンシーンみたいにフラッシュバックしていくんだな。
あの頃にわからなかったこと、今になってわかること、未だにわからないこと。
あの頃と良くも悪くも変わってしまったことと、あの頃とまるで変らないこと。
やっぱり、胸の奥をぐしゃぐやと掻きむしりたい気分。
「わぁぁぁぁーっ!」って叫びたいような気分。
でも、それは実際のところ、そんなに悪い気分でもない。
とりあえず、今は、酔っぱらってしまうことにする。
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LA MOSCAさん、いつもありがとうございます。
>苦手だったり嫌いだったりした人を、ふと“悪い人でもなかったな”と思い出したり、 凄いお世話になったのにろくにお礼も言わずに疎遠になってしまった人を思い出して切なくなった り・・・。
ハハハ、あるある、って感じです。
「動乱」は昔はもっとゴリゴリだと思ってたんですが、今聴くと甘酸っぱいですよね。
僕も一番は「Stay Free」ですね。