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♪クリストファー・ロビンやプーさんの日々

母は4人きょうだいの末っ子で、岡山の田舎の高校を卒業したあと4つ上のお姉さんを頼って大阪に出てきたらしい。
やがてふたりとも結婚し、母は3人の男の子を、お姉さんは3人の女の子を産んだ。
長女とうちの兄貴が同い年、3つ離れて僕、その2つ下に次女、その2つ下に三女、更に2つはなれてうちの弟。
春休みや夏休み、そしてお正月。休みのたびにお互いの家に何泊かで訪れては、よく一緒に遊んだものだった。
女の子ばかりのむこうの家は、家具やインテリア、おもちゃや本、それに何より家の中にある雰囲気や匂いそのものが男の子ばかりの我が家とはまるで違っていて、訪れた日はいつもちょっとどきどきするのだけれど、そうは言っても小学生の頃のこと、そんなことはすぐに忘れて、ちょっとガキ大将っぽかった長女を先頭に裏山やら近所の公園やらをかけずり回ってあたりが真っ暗になるまで泥んこになって遊んでいた。

つい先日、父の法事の流れから、いとこ同士6人揃って集まる機会があった。
6人が一堂に揃うのはおそらく30年以上ぶりのことだと思う。何しろみんなあっちこちに散らばっていて、関西にいるのは僕と弟だけ、兄と三女は関東で、次女は香港、長女は今ドイツに住んでいるのだ。
普段の暮らしの中では、いとこ同士の思い出なんて遠い遠い記憶の中。
でも再会してほんの数秒で、あっという間にその頃の少年少女に戻る。


長女:「一緒に岡山の田舎に行ったとき、〇〇ちゃん(弟)が自転車で大怪我したの覚えてる?」
兄 :「プールか何かの帰りやったっけ?」
僕 :「兄貴が自転車の後に乗せてて、後輪に足首挟んだんやったっけ?足首から白いものが見えていて『骨が出てる』とかパニックになって、、、」
弟 :「それ、俺は覚えてへんねん。」
次女:「でも、今考えたらよくそんな子どもたちだけでほったらかしで遊ばさせてたなぁ(笑)」
僕 :「河原にヨモギ取りに行ったりもしたわ。」
三女:「それでおもちついたの覚えてるわ、よもぎ餅。」
長女:「あと、当時の家の裏に大きな空き地があって。」
兄 :「探検ごっことかしたな。」
僕 :「あれは空き地というより、造成地やったんかなぁ、今思えば。ブルドーザーとか置いてあって、積みあがった土砂が山になってって、キャタピラーのあととかついていて。」
次女:「私、用水路にはまったかもしれへん。」
弟 :「それも覚えてないわ(笑)。」
兄 :「お前はまだほんまに小っこかったから。」


夏休みに裏山のお墓で肝試しをしたとか、兄貴が海でくらげに刺されてめちゃくちゃ腫れたとか、長女がその後ピンクレディーにはまりまくって僕も遊びに行ったときに振り付けを覚えさせられたとか、ふたりの妹たちは実はピンクレディーの振り付けを毎日のように姉から特訓を受けていてそれがとても辛かったとか、そんな諸々のエピソード。
それから父のこと、ずぅっと以前、彼女たちがまだ高校生の頃に亡くなったおじさんのこととか、一緒に住んでいたおばあちゃんのこと。それはもう懐かしい話が次々と飛び出してきてまるで話は尽きない。
こういうことって、大人になったからこその愉しみなんだろうな。
遠い遠い記憶の中の自分、ひょっとしたら夢の中のことかもしれない、自分の記憶としては本当にそうだったのかどうかが少しおぼつかない。そんな記憶が証言され、共有されることで、自分の子ども時代がより確かなものとして浮かび上がってくる。あぁ、あれはやっぱり夢じゃなかったんだと思えてくる。そういう子ども時代があって、今の自分があって、普段の暮らしの中では結びつかないそれらが一気に一本の糸で結び付けられる。
それは、とても素敵なことだ。善いことだ。と、素直にそう思う自分がいる。


あぁ、そういえば今思いだした。
彼女たちのお家にあって我が家にはなかったもの、「ぐりとぐら」や「ディズニー」のかわいらしい絵本や童話。
特に好きだったのは『くまのプーさん』のシリーズだったな。
午前中の優しい光を浴びたおしゃれな感じのリビング、木作りの小さな本棚の前で夢中になって絵本を開いていた子どもの頃の自分の姿。そばにいたのはおばあちゃんだったのかな。洗濯物をたたんだり、編み物をしたりしながら縁側に座っていた。
そんな光景がまるで一枚の絵のようにリアルに浮かび上がってくる。
プーさんやイーヨーやコブタくんの挿絵とともに。




そんなわけで今日の音楽はこの歌。
House at Pooh Corner : Loggins & Messina

♪もし君が知ってるなら、教えてほしい
 プー横町に建った家に一時までに戻らなきゃいけないんだ
 きっと君は驚くよ
 やらなきゃいけないことはいっぱいあるんだ
 ミツバチの巣にいるミツバチをかぞえたり
 空の雲を追いかけたり
 クリストファー・ロビンやプーさんと過ごした日々に戻ったらね

ベスト・フレンズ
Best Friends / Loggins & Messina


優しい春の陽射しのようなアコースティック・ギターのやわらかな音の粒。
懐かしさを呼び起こす甘酸っぱいハーモニー。

またいずれ、クリストファー・ロビンとプーさんの日々に戻れることがあるといいな。
タイムトンネルをくぐりぬけて。


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[C1796]

花マロリンさん、こんばんは。
うん、そういわれれば確かに男3人女3人、年の開きかたもわりと左右対称でおもしろい(笑)。
男同士の中での振る舞い方は兄弟関係で、女性の混じった集団との振る舞い方は従姉妹との間で学んだものはあるように思います。
結局どこへ行っても真ん中特有の緩衝材、調整役になってしまうのですが、まぁもはや絶滅危惧種に近い真ん中育ちは、これからの世の中では貴重な人材なのかもしれませんね!
  • 2013-04-02 23:04
  • goldenblue
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[C1795]

おはようございます☆

うちも母方の親戚との付き合いが濃くて
いまだに従兄弟同士は仲が良いです。

幼い頃の兄弟とはまた違う親戚との関係性って
重要ですよね。
集団の中で自分が自然と取る立ち位置は
そこから学んだ気もします。

それにしても男の子3人 女の子3人

あまりにもしっくりしてて感動すら覚えます♫
  • 2013-04-02 08:46
  • 花マロリン
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[C1792]

まりさん、こんにちは。
兄弟姉妹やいとこっていうのは、近すぎるとそれはそれでいろいろめんどくさいこともありそうですね。適度な距離があればこそ頼りになるのかも、という気もしてきました。

ニッティ・グリッティ・ダート・バンドは実はちゃんと聴いたことないのですが、今聴けばかなり気に入りそう。
探してみまーす。

  • 2013-03-28 08:12
  • goldenblue
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  • 編集

[C1791]

私は ニッティー・グリティーダートバンドで「プー横丁」を知ったわけで大好きな曲ですよ♪

「クマのプーさん」はディズニーアニメで何度見たことか。
頭の良くないプーさんと小さい森の一騒動一騒動がなぜか楽しくって仕方ない。

ウチも3姉妹ですが そういった甘い思い出じゃなく残念ながらちょっと昭和の貧しい家庭そのもの。
  • 2013-03-27 21:36
  • まり
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[C1790]

非双子さん、こんばんは。
ある程度の年齢になるとみんな経験するようなことなんですね。
そういう意味ではほんと、年をとらないと味わえないこともいろいろあるものだと思います。
うちはずいぶん景色も変わってしまったから、尚更一緒にいた人の記憶はうれしい。
同窓会とかも今まで拒否していて、おかげですっっかり呼ばれなくなってしまったけど(笑)、機会があれば行っても良いかも、という気分になってきました。

  • 2013-03-25 23:36
  • goldenblue
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[C1789]

>遠い遠い記憶の中の自分、ひょっとしたら夢の中のことかもしれない、自分の記憶としては本当にそうだったのかどうかが少しおぼつかない。

先週、叔母さんの葬儀のため、母の実家に行った時に
まさに同様な経験をしました。

時間が余ってたんで、弟と一緒に近所を散歩。
小学生の頃遊び廻って以来、数十年。
田舎の風景は殆ど変わってませんから
自分が巨人になったような(距離感が子供のまま)
時間が数十年遡ったような(当時の家々が残ってた)

テレビ番組で有名人が以前住んでた街を訪ねる企画、そのもの(笑

20年ぶりに逢った従兄弟も
「あっ、〇〇ちゃん!」お互いにおっさん・おばさんですが、、、

歳をとるのもいいものです。

  • 2013-03-25 19:10
  • 非双子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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