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♪3月 春を待つ気持ち

3月になった。
日ごとに陽射しが明るくなり、風が刺すような冷たさではなくなり穏やかさが混ざってくる。まだまだ寒くなったり暖かくなったりを繰り返しながらだろうけれど、冷たい季節は少しずつ遠のいてゆく。
3月は好きな季節だ。
春の訪れはもちろんだけど、何よりも自分の生まれた月だから。

いくつになっても誕生日はやはり特別な日だ。
もう何歳になったんだ?時々自分でも自分がいくつなのか考えないとわからなくなってしまうくらい、たくさん誕生日を重ねてきた。ふと振り返って思うことは、こんな年までちゃんと生きてこられたことは、なんと奇跡的なことだろう、ということだ。
毎日毎日は何も考えず、足を一歩前に出せばその足はちゃんと地面に着くのが当たり前だと信じて(というか、「信じる」なんて意図的な言葉を使うのがおかしいくらい当たり前に)歩いている。けど、ふと後ろを振り返ったら、自分が幅の広い安全な道路だと思って歩いてきたのは道路でもなんでもなくて実は綱渡り級の細いロープが一本あるだけだった…そんな感じ。
ここまでちゃんと生きてこれたのは、ほんとにたまたまなのだ、偶然の産物なのだ。事故にあったり事件に巻き込まれたりする可能性はいつだって誰にだって等しくあって、たまたますり抜けているのだ。分かれ道で根拠なく選んだ判断がたまたま結果オーライだった、ということもたくさんある。そんなこと言いながら明日その細いロープを踏み外してしまうかもしれないわけで、それくらいここまで生きてこれたのは奇跡なのだ。紙一重のラッキーの積み重ねが今の自分の命。そう考えると、もう残りの人生はそれだけで儲けもん、みたいな気がして来る。おまけなのだ。
で、せっかくのおまけなんだから、楽しくやっていきたいと思う。もちろん楽しいことばっかりやって生きていけるわけもないけれど、この先自分に起きることを楽しんでいけたら、と思う。そのためにもココロとカラダが嫌がるようなことはできるだけしないでおこうと思う。
足元が実は細いロープかも、その下は谷底かも…そんなことを考えたら足を前に出せなくなってしまう。次の一歩を踏み外して転落したとしても、じゅうぶん楽しんだから満足だ…そんな気持ちで次の一歩を踏み出したいのだ。

まぁ、そんなことはともかく、春はもうそこまでやって来ている。
春が来たら来たで、それはとても心地よいことなのだけれど、春爛漫を謳歌する幸せとは別に“春を待つ幸せ”というものもあるような気がする。まだ春にはならないけれど、春の楽しさをあれこれと想像しながらそれを待つ喜び。小さいけれどほんのり暖かい充足感。とっても幸せな夢を見ているときのようなほんわりした満足感。それは、春爛漫や夏真っ盛りの心地よさとは別に、とても素敵な気持ちだと思う。
選んでみた5枚は、なんとなくそんなイメージのほんわかした幸せを運んできてくれる音楽たちです。


つづれおり(紙ジャケット仕様)    Home Girl Journey    音タイム

SPIRITEK    James Taylor: Greatest Hits

 

Tapestry/Carole King
語りつくされたような名盤だけれど、このアルバムが名盤といわれるのは、このアルバムに収められた歌たちが、今もしっかりと呼吸をしているからだと思う。いつもすぐそばにいてくれるような息遣いを感じるのだ。まさにエヴァーグリーン。たおやかな中に感じる芯の強さ。そっと寄り添ってくれる音楽が、「がんばれ」の叱咤激励よりも励ましてくれるから不思議だ。

Home Girl Journey/矢野顕子
時に穏やかに、時にはしゃぎまわりたいくらいウキウキと、時に柔らかに包み込んでしまうように、その場の空気を支配してしまうピアノと歌、その存在感。瞳をまっすぐ覗き込まれるように、彼女のピアノと歌の前ではウソもつけないし虚勢も張れない、ただもうその場の空気に身を任せるのみだ。自分をなくして包み込まれるように空気と同化する、ふわふわと浮いているような感覚がなんとも心地よい。

音タイム/ハナレグミ
なんていうんだろう、この永積さんの持っている温かさは。何気ない日常にいつも当たり前にあるけど普段は見過ごしている小さな優しさや気遣いにハッと気付いた時のようなじんわりとこみ上げてくる、ほんの少し照れくささも混ざったような感情、そんな温かさ。
誰からも認められ愛されることを望めば無理が出て心が苦しくなってしまう、本当に大好きな人から愛されていればもうそれでじゅうぶんじゃないか、とハナレグミを聴いてそんな気分になった。

SPIRITEK/宮沢和史
このアルバムは宮沢氏が他人に楽曲提供した作品をチョイスしたセルフ・カバー集。THE BOOMでデビューしてから、次々と才能の片鱗を見せ付けてきた宮沢和史、自分の精神も肉体もコンセプトに応じて改造しながらすすんでゆく求道者的なところが少しハナについてしまうのだけれど、このアルバムの音楽はそういう偏見を越えてとても素晴らしい。音楽的にはボサノヴァやショーロ、サンバからタンゴ、レゲエ、ファド…宮沢的ワールドミュージック集大成的にアコースティックかつ鼓動に満ちたサウンド。元々は女性歌手向けに書かれた曲が多いせいだろうか、どこか柔らかく優しげで、生命の根源に触れようとするような素朴なしたたかさを感じる。

James Taylor: Greatest Hits/James Taylor
穏やかに朴訥とした口調で、内省的な歌をつぶやくジェイムス・テイラー。繊細でへっぴり腰で、優しさと優柔不断さをごっちゃにしてるような情けなさが彼の歌の魅力だけれど、このベストアルバムには、音楽的充実とともに彼の歌がたくましく力強くなっていく姿が刻み込まれている。
この曲順で聞き流していると、暗く寒い冬があけて春が訪れるように心が晴れやかになってゆくのだ。


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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