「言えないコトバ」の記事の続き。 音楽はいつも、言葉では到底表現できないものを、いとも簡単にひょいっと伝えてくれる。 気持ちや心というものは気体や液体みたいにとても捕まえるのが難しいもので、言葉にするときには一度固体に変えてから、隅々から眺めまわしたり分解したりというとても面倒な作業を経て何とか見える形にできるのだけど、残念ながらそれでもごく断片的にしか伝えることができない。表から見たものと裏から見たものを同時に表現することは不可能なのだ。その上、固体化したときには、もともとあった匂いや色調がずいぶんと失われてしまう。 ところが音楽は、たった一音で、ほんの一節で、気持ちや心をそのまんま伝えることができてしまうのだ! 僕自身は音楽で表現することはまるで才能がなくて、その分言葉にしがみついているような人間だから尚更、言葉を超えて簡単に音楽で心を表現してしまえる人に憧れてしまう。 そしてそのことを考えるときにいつも真っ先に思い浮かべるのは、忌野清志郎さんと矢野顕子さん。 そんな二人のコラボ、とでもいうのでしょうか、清志郎さんのうたを矢野顕子さんがカバーしたアルバムが発売されていた。 矢野顕子、忌野清志郎を歌う / 矢野顕子 清志郎のうたを矢野顕子がうたい演奏する。
それだけでもう、なんとも言えない気持ち。
矢野顕子の流儀で歌われた清志郎のうたの中に、あまり知らなかったもうひとりの清志郎がいるような感じ。
いきなりフリージャズみたいなアバンギャルドな演奏ではじまる「500マイル」におやおやと思いつつ、矢野さんらしい自由奔放で嬉しさにあふれた「毎日がブランニューデイ」に笑顔になる。
でもいいのさ、問題ない
きみがいつもそばにいるから、毎日が新しい
今日も朝がきて、きみの笑顔をみて
100%以上のしあわせを感じる
「多摩蘭坂」もいいけど、「雑踏」「約束」といった小さくてささやかなラブソングにほろっとくる。
出色の出来なのは「恩赦」「セラピー」。これはもう矢野さんの曲みたい。
そして、アルバムの最後の「ひとつだけ」に流れてくる、清志郎の声。
この曲は、大切な人とだけいっしょに聴きたいよね。
「ひとつだけ」 忌野清志郎&矢野顕子 はなれているときでも、わたしのことわすれないでいてほしいの
ねぇ、お願い
かなしい気分のときも、ぼくのことすぐによびだしてほしいよ
ねえ、お願い
『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』 トレイラー Part 1 『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』 トレイラー Part 2
スポンサーサイト
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/791-cce9b292
トラックバック
いいですよね、このアルバム。じわじわしみてきます。
先越してしまいました(笑)。
このところ皆さん忙しそうですよねー。
まぁぼちぼち自分のペースで、がいいんじゃないかと思います。
>清志郎がいいっていうものはみんないい。
わかります。
そうやってだんだん世界が広がっていくものなんだと思いますよー。