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♪言えないコトバ、そして音楽

「言えないコトバ」の記事の続き。
音楽はいつも、言葉では到底表現できないものを、いとも簡単にひょいっと伝えてくれる。
気持ちや心というものは気体や液体みたいにとても捕まえるのが難しいもので、言葉にするときには一度固体に変えてから、隅々から眺めまわしたり分解したりというとても面倒な作業を経て何とか見える形にできるのだけど、残念ながらそれでもごく断片的にしか伝えることができない。表から見たものと裏から見たものを同時に表現することは不可能なのだ。その上、固体化したときには、もともとあった匂いや色調がずいぶんと失われてしまう。
ところが音楽は、たった一音で、ほんの一節で、気持ちや心をそのまんま伝えることができてしまうのだ!
僕自身は音楽で表現することはまるで才能がなくて、その分言葉にしがみついているような人間だから尚更、言葉を超えて簡単に音楽で心を表現してしまえる人に憧れてしまう。
そしてそのことを考えるときにいつも真っ先に思い浮かべるのは、忌野清志郎さんと矢野顕子さん。

そんな二人のコラボ、とでもいうのでしょうか、清志郎さんのうたを矢野顕子さんがカバーしたアルバムが発売されていた。

矢野顕子、忌野清志郎を歌う
矢野顕子、忌野清志郎を歌う / 矢野顕子



清志郎のうたを矢野顕子がうたい演奏する。
それだけでもう、なんとも言えない気持ち。
矢野顕子の流儀で歌われた清志郎のうたの中に、あまり知らなかったもうひとりの清志郎がいるような感じ。

いきなりフリージャズみたいなアバンギャルドな演奏ではじまる「500マイル」におやおやと思いつつ、矢野さんらしい自由奔放で嬉しさにあふれた「毎日がブランニューデイ」に笑顔になる。

 でもいいのさ、問題ない
 きみがいつもそばにいるから、毎日が新しい
 今日も朝がきて、きみの笑顔をみて
 100%以上のしあわせを感じる

「多摩蘭坂」もいいけど、「雑踏」「約束」といった小さくてささやかなラブソングにほろっとくる。
出色の出来なのは「恩赦」「セラピー」。これはもう矢野さんの曲みたい。
そして、アルバムの最後の「ひとつだけ」に流れてくる、清志郎の声。
この曲は、大切な人とだけいっしょに聴きたいよね。

「ひとつだけ」 忌野清志郎&矢野顕子

 はなれているときでも、わたしのことわすれないでいてほしいの
 ねぇ、お願い
 かなしい気分のときも、ぼくのことすぐによびだしてほしいよ
 ねえ、お願い








『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』 トレイラー Part 1
『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』 トレイラー Part 2





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コメント

[C1766]

波野井さん、連コメありがとう(≧∀≦)ございます。
いいですよね、このアルバム。じわじわしみてきます。
先越してしまいました(笑)。
このところ皆さん忙しそうですよねー。
まぁぼちぼち自分のペースで、がいいんじゃないかと思います。

>清志郎がいいっていうものはみんないい。
わかります。
そうやってだんだん世界が広がっていくものなんだと思いますよー。

  • 2013-03-06 00:00
  • goldenblue
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[C1764]

こういうのって
自分でもどうなのかなって思うのですが、
清志郎がいいって言うものは
みんな好きになっちゃうんですよねえ(^^;)

だから、矢野顕子も
メンフィスのころ、テレビで清志郎と共演してるのを見て好きになりました。

このアルバム、ブログにアップしようと思っていたのですが、先を越されちゃいました(^^;)

って、こちらはほとんど更新してないので
なに言ってんだい?って
感じですね(^^;)笑
  • 2013-03-05 21:10
  • 波野井露楠
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[C1762]

LA MOSCAさん、こんにちは。
フジロックで観たの?うらやましい。
「ひとつだけ」は、二人の歌ももちろんだけど、清志郎のハーモニカがかっこいいです。
ただ、アッコちゃんが苦手だと、このアルバムはあんまりおすすめできないかも。
いつも矢野顕子節全開。いつも以上かも。そういう意味では完全に矢野顕子のアルバムですので。
  • 2013-03-04 08:30
  • goldenblue
  • URL
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[C1761]

俺はどうもアッコちゃんが苦手で・・・。
でもコレは聴いてみたいなと思ってます。
選曲もそそられるし。
2002年だったかな?
一度観ましたよ、共演。フジロックで。
「ひとつだけ」は絶品でした。

[C1760]

つき子さん、こんばんは。ありがとうございます。
3月になったのに冷えますねー。
このアルバム、正直最初はおやっと思ったのですが、聴くごとに深くしみてきました。
珍しく素直に納得、の「珍しく」がちょっと気にはなりますが(笑)。

  • 2013-03-02 20:21
  • goldenblue
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[C1759]

 こんにちは。私もこのCD買いました。goldenblueさんが書いておられることに、珍しく素直に納得、ハハ。最後の一曲は本当にそう、すごくよくて、友人にその場でメールしそうになりました。メールし損ねたんだけど。3月、お日さんが明るくなってきましたね。もうすぐおめでとう。
  • 2013-03-02 12:27
  • つき子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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