A New Perspective/Donald Byrd 60年代初頭、黒人たちが権利とプライドに目覚めていく時代の熱気が封じ込められた名演。 バード曰く「現代の讃美歌集を作りたかった。僕等のジャズセンスとテクニックを付け加えた上で。」というように、のっけから女声聖歌隊が♪ダンダダダダディーダ~、なんてちょっと面食らうけれど、ジャズとしてではなく、ジャズの手法による黒人霊歌集だと考えれば合点がいく。
Extension of a Man/Donny Hathaway ダニー・ハサウェイは、いわゆるステレオタイプの黒人シンガーとは全く違う、クラシックやジャズの素養も持ったインテリジェンスあふれる才能の持ち主で、黒人や白人といった範疇を超えた音楽家だった。 名曲“Someday We All Be Free”をはじめ、人としての尊厳に満ちた誇り高き音楽。
Gospel Live / Aretha Franklin 何を歌っても自分の歌にしてしまう彼女の圧倒的な存在感にはただただ平伏すしかないのだけれど、高名な牧師の家に生まれ幼い頃から教会で歌っていたアレサにとって、ゴスペルは元々“自分の歌”。このアルバムは、87年、ソウルの女王として君臨する中で故郷へ戻るように録音されたゴスペル・ライヴ。合間の説教師のMC(?)なんかも実にカッコイイ。
The Definitive Collection/Howlin’ Wolf 「お説教」といえば思い浮かんだのがハウリン・ウルフ。ハウリン・ウルフには、居酒屋で若いもん相手に人生を語っている職人の棟梁…というイメージがどうしてもする。 「えぇか、若いの。人間っちゅうもんはなぁ、へこたれたらあかんのや。あきらめたらそんでお終いや。わしも若い頃は無茶苦茶してきたし、親不孝もんやった、けどな、お父さんお母さんは大切にせなあかんのやぞ、わかるか?ん?せやよってに人様に迷惑かけたらあかんのや。ちゃうか?」 ・・・ここはもう、口答えなどせずにただありがたく拝聴するしかないだろう。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
コメントの投稿