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♪THE ROLLING STONES -My vintage(10)-

The_Rolling_Stones-1964-The_Rolling_Stones.jpg
The Rolling Stones / The Rollong Stones
Released:1964

新年1つ目のMy Vintageシリーズは、50周年ストーンズの最初の第一歩。
現在流通しているのは“Not Fade Away”で始まるアメリカ盤だけど、ここはやっぱりRoute 66でガツンと始まるイギリス盤にしておきたい。
シカゴ、セントルイス、ミズリー、オクラホマシティ、アマリロ、ニューメキシコ、カリフォルニア。
ルート66をたどってアメリカを西へ旅するこのロード・ソングには、当時黒人たちの間でしか知られていなかったブルースやR&Bに共感し憧れた若き日の奴らのスピリットが込められている気がするからだ。
2曲目、I Just Want To Make Love To You。 マディのブルースを高速で演るってのは誰のアイデアだったんだろう。痺れるくらいかっこいい。
3曲目はジミー・リードのゆるゆるブルース、 Honest I Do、続いてボ・ディドリーのジャングル・ビート、 Mona (I Need You Baby)
みんなそうだと思うけど、ブルースやR&Bの奥深い世界にはまるきっかけになったのはこのアルバムのこういう曲たちなのだ。ストーンズのかっこよさが決してヘヴィーメタルのようなギンギンさではないし、ビートルズの気持ちいいメロディやハーモニーや音遣いではないと気づいてあの何ともいえないグルーヴ感が気持ちいいと思えるようになってからは、どんどんアルバムをさかのぼってこのファースト・アルバムに出会って、黒人音楽にはまるまではもう、一直線のお決まりコース(笑)。ここで人生の行き先はずいぶん変わったんだろうな、良くも悪くも(笑)。
ハープやオルガンをメインにして思いっきりかっこつけた演奏を聴かせてくれるNow I've Got A Witness、いかがわしくもかっこよくキメてくれるLittle By Little、スリム・ハーポのI'm A King Bee、チャック・ベリーのCarol、グッと渋くソウルフルに迫ってくるYou Can Make It If You Tryや、ブライアン・ジョーンズのダミ声コーラスの聞こえるWalking The Dog
あ、もちろん唯一のジャガー&リチャードのオリジナルのTell Meも好きですよ。黒っぽさは薄くてアルバムの中では少し浮いているけれど、初々しい感じがかわいらしい(笑)。キースの♪ア~アァ~っていう中途半端なコーラスも味がある。
当時マーヴィン・ゲイの最新ヒットだったCan I Get A Witness?”も含めた全12曲、趣としてはブルースとR&Bの名曲集。
録音は雑だし、演奏も粗い。後に確立されるキースのリフを主体にしたいわゆるストーンズらしいスタイルもまだここでは見当たらない。それでもこのアルバムから聞こえてくるのは、明らかに現在と同じローリングストーンズの音なのだ。
なんていうんだろうか、上辺だけではない物事の本質をばしっと捉えて物怖じせずに物申すような態度、世間の奴らが何と言おうと俺達はコレだ、というようなふてぶてしさやしたたかさがこの頃には既にあって、それが50年のうちにロックという音楽を、ただの音楽の1ジャンルではなく、ある種の生き方を象徴する文化にしていった原動力なのだという気がする。
1960年代前半の当時、世間にあふれていた甘っちょろいポップスに共感できなかったちょっとはずれた奴らが、同じマイノリティだった黒人たちの音楽に出会って共感し、心を震わせ、何とかこのスピリットを自分たちのモノにしようと情熱を傾けた軌跡の第一歩がこのアルバムにはしっかりと刻み込まれていて、だからこそ同じような石ころの心を持った、ちょっと世間からはぐれたストーンたちの間で伝播していったのだろうな。
そう考えるとこのアルバムの存在の大きさというのは、黒人音楽の素晴らしさを後世に伝えたという意味でも、大人にならないまま大人になるという生き方の価値の転換という意味でも、世界史上の大きな事件だったのではなかったのだろうか、なんて思います。
大袈裟ですかね(笑)。
でも、このアルバムがなければ今の自分は確実にいなかった。
そんな個人的な意味でも、本当に偉大なレコードだとつくづく思うわけです。

さぁ、明日のために、ワン・モア・リピート!




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コメント

[C1701]

LA MOSCAさん、毎度です。
ブライアン、確かにかっこいいですよね。「俺のバンドだぜ。」って感じ。
"Carol"、チャック・ベリーのよりリズムキレキレでギターがかっこいいですよね。僕はやっぱり"I Just Want To Make ..."が一番かなぁ。
  • 2013-01-12 21:43
  • goldenblue
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[C1700]

随分後になるまで良さが判らなかったアルバムです。
判ったフリしてましたけど(笑)
今はたまらなく大好き。
近頃のフェイバリットは「キャロル」かな?
ジャケのカッコよさは文字無しの英国盤に軍配。
ブライアンの「俺がリーダーだぜ!」って表情が堪りません(笑)

[C1699]

新年からストーンズ二連発、我ながらなかなか気合入っていますね(笑)。
>50年経った今でもこのファーストアルバムのスタンスはバンドの核をなしていると思うんです。
そうですよね。だからこのアルバムの音はいつまでたっても古びないのかな、と。

書き終わってからふと思ったんだけど、ストーンズの面々は単にブルースやR&Bへの憧れやリスペクトからカバーしただけじゃなくて、「俺たちならもっとかっこよくやれる。」みたいな気概もあったんじゃないかと。
そういう生意気さもストーンズの核なんだろう、と思います。
  • 2013-01-12 14:26
  • goldenblue
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[C1698]

新年からストーンズ二連発、なかなかいい感じですね。
ぼくもこのアルバムからブラック・ミュージックの世界に興味を持ったクチなので、とてもありがたい一枚です。
LPジャケットはずっと部屋に飾ってます。
ファーストはやっぱり英国盤ですね。

ブルースやR&Bのコピーバンドからだんだんオリジナリティを確立していって巨大になっていく彼らですが、50年経った今でもこのファーストアルバムのスタンスはバンドの核をなしていると思うんです。時代時代で新しい音を取り入れつつも、ハートには古いブラック・ミュージックの血が流れ続けている。
そこが彼らに惹き付けられ、目が離せないところなんですよね。

[C1697]

ezeeさん、毎度です。
ほんと、ジャケットかっこいいですよね。UK盤はバンド名もアルバムタイトルもなし、ポートレートのみですもんね。
オリジナルを作るようになってからメジャーデビューするのがまだ当たり前じゃなかった時代だからこそ世に出た最初の3枚、ここで叩き込まれたブルースとR&Bのベースがあってこそのその後の50年なんでしょうね。

  • 2013-01-11 08:34
  • goldenblue
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[C1696]

まりさん、こんにちは。
そうそう、ビートルズに対応してダーティーなイメージを出すために雑な録音をしたと言われていますが、それって多分後から付け足された伝説で、実際のところは予算が限られていいただけなんじゃないかと思います(笑)。
でもその雑な録音だからこそ伝わるものがあるんですよね。

「テル・ミー」のシングルをお姉さんが買った、ってすごいなー。リアルタイムじゃないものにとっては憧れるようなエピソードです。

  • 2013-01-11 08:28
  • goldenblue
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[C1695]

megumickさん、毎度です。
ストーンズのふてぶてしさやしたたかさは、ある種の人々にとっての生き方のお手本なんですよね。
ああいうやり方を貫くには、ぶれないこと、媚びないこと、そして何でもいいけど「コイツすごいな。」と認めさせるようなものを磨くことかな、と思っています。
we love Stones,Yeah!
  • 2013-01-11 08:20
  • goldenblue
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[C1694]

いいですね、ジャケからして好き!
1stも2ndも最初買ったLPがUK盤買ったもんやから、1曲目ルート66ってのが染みついてます。
初めからカッコ良すぎ
このヴァージョンを元にバンドでも演ったな~

やっぱこっから3rdまでは今も超愛着ありです!
  • 2013-01-10 23:13
  • ezee
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[C1693]

goldenblueさん あけましておめでとうございます。

私はストーンズに関しては知らないことが多いんですが
 ボ・ディドリーなんかは 変なギターを弾く変なおじさんと長い間思ってたけどこのアルバムをもっと早く聴いていれば そんなとんちんかんはなかったのにと後悔

「テル・ミー」は小学生のとき 姉がシングル盤を買ったのでなつかしい感じです。

それと雑な録音が気に入らなかったんですが
わざとそうしてたんですってね!
  • 2013-01-10 21:49
  • まり
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[C1692]

golden blueさん、こんばんは!
いいね!
ほんと、良い事おっしゃいます。
ストーンズの良さって上手く言えなかったけど
そんな感じです。
何十年と聴いてるけど、全く浮気したことないよ!
ブルースが好きなのはストーンズが好きだったからだしね。
私の人生、コレしかないって感じかも(笑)

I love Stones! Yeah!
  • 2013-01-10 21:31
  • megumick
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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