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♪LIVE IN EUROPE -My Vintage(8)-

ヨーロッパのオーティス・レディング
Live in Europe / Otis Redding

Released:1967

吐く息が白くなると、ホットなソウル・ミュージックを聴きたくなる頻度があがる。
それもぐっと古いやつ。
よく冷えた夜にあたたかいお鍋やお味噌汁がとても体をあたため、心を和ませ、そして体の内側からエネルギーを湧き起こさせてくれるように。

オーティスのオリジナル・アルバムは実は全部聴いたことがあるわけではないのだけれど、一番好きなのはやっぱりこのライヴ盤だな。
実況録音だからこそレコードの溝にしっかりと刻み込まれた熱気とグルーヴ。
1曲目の“Respect”、2曲目“I can't Turn You Loose”と続くぶっ飛んだグルーヴに熱くならない人はおそらくいないだろう。
じっくりと聞かせる“I've Been Loving You Too Long ”、テンプスのノーテンキさよりも何倍もせつなさの増した“My Girl”をはさんで、“Shake”、“(I can't get no)Satisfaction”と続く怒涛の展開。
オーティスがすごいのは、やっぱり体ごと丸ごとぶつかってくるようにガッツンゴッツンとたたみかけてくる暑苦しさだ。それを魂の叫びだとかソウルだとかいう言葉を使ってまとめてしまうのはなんだか申し訳ないくらい、そんな言葉では到底まとまらないようなはみだし感がすごい。
汗、飛び散りまくり。鼻水も唾も飛び散りまくって、ぐっちゃんぐっちゃんのべっちょべちょになって体中で表現せざるをえない何か。何をそこまで、そんなにまでして歌いたかったのか。
歌わなければぶっ壊れてしまうようなエネルギーのおこぼれを頂くだけで体の内側から温まってくる。

そしてオーティスのすごさはもちろんのことだけど、やっぱりバンドがかっこいいよね。
スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダン、アル・ジャクソンJr.の生み出す鉄壁のグルーヴ 、オルガンのブッカー・Tまでもがリズム隊として味のあるプレイをしている。そしてマーキーズのホーン・セクション。
テンション上がる。エキサイティング。
とくにダック・ダンがかっこいいよね。ファンキーに飛び跳ねるベースで全体のグルーヴをぐいぐい引っ張る演奏もあれば、“Fa Fa Fa Fa Fa(Sad Song)”みたいな丸っこくてほっこりした演奏を縁の下でまとめあげ、かと思えばこの“Day Tripper”なんてハード・ロックみたいなベースラインでぶりぶり突っ走っていくし(笑)。
ベースを聴いているだけでめちゃくちゃ楽しめるのだ。

アルバムは、後半ばんばんと盛り上がっていく“Try a Little Tenderness”でしめくくられる。
熱い余韻が残る中で、あぁ、また明日からがんばらなくっちゃと思う。

ちなみにオーティスが亡くなったのは僕が生まれた年の暮れ、12月10日。今年で45年を迎える。
そんな昔に録音されたレコードに刻み込まれた魂が、今も熱を失わないっていうのはすごいな。
だってこのひと、レコードの中でずっと生きているんだもの。




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コメント

[C1651]

波野井さん、こんばんは。
波野井さんの昔の記事も拝見しましたよー。
ほんと生で見てみたかったと思います。

お風邪ですか?
先生もなかなか気軽に休める仕事ではないから大変ですよね。
お大事に!
  • 2012-12-12 21:44
  • goldenblue
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[C1650]

これは本当にテンションあがるアルバムですよね!
生で見たかったって
本気で思います(>_<)

実は
悪寒、吐き気、手足の痺れ、関節の痛み、頭痛、鼻水鼻づまり、不眠に苦しんでいます(^^;)
はやく眠りたいです(>_<)
だから
これ聴きたいけど、聴いたらよけい眠れなくなりそうなので
今日は我慢します(^^;)
  • 2012-12-12 00:43
  • 波野井露楠
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[C1649]

ezeeさん、こんにちは。
このアルバムを誉めるのは難しいです。かっこいいとかすごいとか熱いで全部済んでしまうので(笑)。
ほんと、千昌夫も叶いません(笑)。
考えても仕方ないけど、もし生きていたらとも思ってしまいます。


  • 2012-12-11 08:26
  • goldenblue
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[C1648]

LA MOSCAさん、こんにちは。
そうなんですよね、R&Bとかロックを越えたスピリット、びんびん来ます。
ライヴに比べるとスタジオ録音はパンチが薄くて、全部聴いてもやっぱりライヴが一番、となりそうでついためらってしまう感じです。
  • 2012-12-11 08:21
  • goldenblue
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[C1647]

タイトなバンドに熱い歌。味噌汁の唄ですな!
千昌夫も敵いません。
全身全霊って感じが伝わって素晴らしいです。荒っぽいハリウッド・ライヴの方が好みですが、コレもよく聴きました!
  • 2012-12-10 22:40
  • ezee
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[C1646]

俺も全部聴いた訳じゃないけど、オーティスはコレが一番。
R&Bとかロックとか超えたスピリットを感じます。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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