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♪LONDON CALLING -My Vintage(6)-

いきなり冷えこみはじめて冬の気配を感じるようになってきた。
本当は過ぎてゆく秋の日に思いを馳せながらまったりと感傷的な音楽でも聴いていたいものなのですが、いろいろとシビアで差し迫った状況が許さず、ガソリンを焚くようにハードなロックで気合いを入れて自らを奮い立たせなきゃいけない毎日。

そんな日々のお供は、これ。
My Vintage第6弾は、クラッシュです。

ロンドン・コーリング
London Calling / The Clash

Released:1979

前回の記事でも触れたように、実はリリースされて間もない頃に兄貴経由で一度耳にしているのですが、そのときは正直肩すかしを食らった感じだった。パンクという過激な響き、いかにも暴力的ないかついジャケットとは裏腹に、スカスカの古臭い音楽のような気がしたんですね。
これをカッコいいと思うようになったのは高校生になってから。RCやモッズ、ARBを通ってからだったかな。
その頃兄貴は、髪伸ばして鋲のついた革ジャンとスリムのブラックジーンズのメタル・マニアになっていて、その反発もあったんだろうね、「兄貴がメタルなら俺はパンクだ!」と。
今でこそパンクはそれなりに市民権を得ているけども、当時パンクはヘタクソ、雑音と揶揄される虐げられた存在だったわけで、まぁだからこそそこに惹かれたという面もあるのだけれど。

「ロンドン・コーリング」は79年リリースの3枚目、ホーンやキーボードを大胆に導入し、レゲエはもちろん、スカやロカビリー、ジャズにまで幅を広げた、よく言えば間口の広い、悪くいえば雑多でとっちらかったアルバム。当時から「ファーストこそパンク派」と「変化し続けていく姿こそが真のパンク派」の論争があったけれど、そんなことはもはやどうでもいいこと。
このアルバムから聞こえてくる音は、紛れもなくロックそのものなのだから。
ファーストやセカンドの青臭くプチプチとこめかみに青筋を立てたような性急なパンク・ナンバーももちろん大好きなんだけど、このアルバムの雑多でごちゃまでで何でもありのとっちらかった感はもっと大好き。
何をやってもクラッシュの曲になっているのが凄いよね。

キリキリと緊張感をあおるギターのカッティングで沈みゆく大英帝国への危機感を叫ぶ“London Calling”、ロカビリーっぽいベースラインと、ヒステリックなエルヴィスみたいなジョーのシャウトがカッコいい“Brand New Cadillac”、「あいつは俺たちの欲しいものは何でもくれた、でも自由にはさせてくれなかった。それが憎々しい。」と元マネージャーの振る舞いを批判した“Hateful”、今聴いてもゾクゾクするくらいカッコいい。30数年前、やる気も自信も何にもないフラストレーションのカタマリみたいなしょーもない高校生だった僕は、こんなのを聴きながら「負けてたまるか」と何とか自分を奮い立たせていたのだった。
「死か栄光か、どっちにしたってなんとかなるもんよ」、まるでバンドのテーマソングみたいな“Death or Glory”や、「俺たちは打ちのめされてきた、だけどまだダウンしない」と決意表明する“I'm Not Down”みたいな曲に励まされながら、なんとかくだらなくてめんどくさいいろいろを乗り越えてきたのだ。

ただ、このアルバムの世界が素敵なのは、ヒステリックに唾吐き散らかしたり非難したりわめいたり叫んだりしているばっかりじゃなくて、どこかある種の開き直りというか、余裕みたいなものを感じるところなんですよね。
パワーゲームの世界の中では負け犬の遠吠えに聞こえなくもないマイノリティの主張を歌っているにもかかわらず、そのことを自虐も含めて笑う余裕。なんであれやりたいことをやるんだということにつきまといがちな悲壮感や切迫感があまりなく、だからといって享楽的でも能天気でもないしたたかさ。
そんなところがクラッシュの本当のカッコよさなんだと思う。
ジョーとミックがカッコいい掛け合いで歌う“Rudie Can't Fail”なんて最高だな。

「俺の魂を確信するために
 必要なものを何も持っていなかったから
 市場に行ったんだ
 奴らは最初にののしり、そして潰れるまで圧力をかけてくる
 ハハハ、たいへんだけど、しくじれないぜ」

奴らにいいように丸めこまれないように、なおかつ潰されないように。
不満を吐き散らかして反対だ、納得いかないと叫んでいれば事足りた時代はもうとっくに済んだ。もっとしたたかに立ち居振るまわなければ理想とするものに手が届かない時代なのだと思う。
だからこそ今も、クラッシュのロックが必要なのだ。




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コメント

[C1615]

ezeeさん、毎度です。
優里奈レコード、行きましたよ~。今もまだあるんですかね。
確かに、ボブ・マーリィやフィル・スペクター、それにモータウンなんかもけっこうクラッシュが入り口になってくれたのかもしれません。
硬軟緩急明暗、1曲1曲バラバラなのに全部クラッシュらしいのがほんまにすごいと思います。
  • 2012-11-22 00:41
  • goldenblue
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[C1614]

何とも懐かしい・・!
思い出すのは「詩の小路」の優里奈レコード。やたらUKものが充実してて自分が「動乱」買って、友達が買ったのが「ロンドン・コーリング」でした!
「新型キャデラック」みたいのもいいですが、コンバット・ロックに繋がる幅広い曲調が魅力ですね。今思えば本作のおかげで、ボブ・マーリィやフィル・スペクターなんかも違和感なく聴けました。
余裕を感じるクラッシュもカッコええですね!

[C1613]

Okadaさん、毎度です。
クラッシュ、カッコいいですよね。
男としてもあの男気には惚れてしまいます。
このアルバムは、若い時に聴くのとはまた違った発見がある、成熟に耐えうる楽曲が揃っていると思いますし、若い時の思いを思い起こさせてもくれます。
70,80になったときにどう聞こえてくるのか楽しみなレコードのひとつですね。

ジョー・ストラマーがストリートでブルース?それは初耳でしたがイメージが浮かびます。
  • 2012-11-19 22:50
  • goldenblue
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[C1612]

このアルバムは一時期入れ込んで聴いていましたが、
最近はすっかりご無沙汰している一枚です。
久しぶりに聴いてみよう。
新しい発見が見つかりそうな気がします。
ジョーはリアル・パンクスっていうイメージがありますが、
色んな音楽を吸収している懐の深さがありますね。
記憶が曖昧ですが、昔ストリートでブルースをプレイしていた、なんてインタビューに応えていたような。
カッコいいですね、クラッシュ。
  • 2012-11-19 12:59
  • Okada
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[C1611]

LA MOSCAさん、毎度です。
LA MOSCAさんが「サンディニスタ」好きなのは知ってました(笑)。これも最初はカスだと思ったけど、聴くごとに深みがでます。世間の求めるクラッシュらしさなんて関係なく好き勝手やってますもんね。
ただねー、3枚組通して聴くとさすがにちょっとだれる(笑)。
ロンドン・コーリングはヘヴィーとポップとアップとダウンのバランスが絶妙かと。

  • 2012-11-19 08:51
  • goldenblue
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[C1610]

リュウさん、毎度です。
夏頃でしたっけ、リュウさんの記事にコメントした記憶がありますが、このアルバムは飽きないですねー。色褪せないどころか聴くごとに味がでる。
強気でマッチョな人たちが偉そうにしてる世の中、クラッシュのしたたかさが生きのびるためには必要かと。

  • 2012-11-19 08:37
  • goldenblue
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[C1609]

俺はコレより次の『サンディニスタ!』の方が断然好きなんですが名作ですよね、コレ。
ストーンズで言えば、コレが『スティッキー~』で
『サンディニスタ!』が『ならず者』ってカンジかな?
トータルで言ってクラッシュの最高傑作ですよね。
バンドの結束も一番強い時期だったんじゃないかなぁ?

[C1608]

今晩は♪
もちバイブルです、このアルバム!
Rudie Can't Fail、Jimmy Jazzなんかの脇役達も聴きごたえあってかなりお気に入りです♪
甘くひ弱な世の中になりつつある違和感・・。
クラッシュのようにタフで強かで、貪欲に行きたいものです!
  • 2012-11-18 16:51
  • リュウ
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[C1607]

mono-monoさん、こんにちは。
このジャケット、カッコいいですよね!
僕はLPかCDかはそんなにこだわらないけれど、これはやっぱりLPで持っていたいですね。
それにCDだと立て続けに曲が始まってしまうのでお腹いっぱいになっちゃう。
"Rudie Can't Fail"のあとは、余韻を楽しんでからB面にひっくり返したいです。

  • 2012-11-18 13:59
  • goldenblue
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[C1606]

まず、このジャケットにやられました。
そしてまた音楽が素晴らしくって。
今となっては、最初から気に入ったのか、聴き込んで理解したのかは不明です(笑)。

私がこれを中古で買ってはじめて聴いたのは多分86年頃だからリリースから7年後くらい。
当時は、随分昔のレコードを買ったようにカンジたものです。
今となっては、6・7年前の音楽なんて古くも何ともないのですが。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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