LPではB面の1曲目だったこの“You Can make Me Dance,Sing,or Anything”と、A面の1曲目に収められた“Poolhall Richard”の2曲が、ロニー・レーンの脱退後に山内テツが入ってレコーディングした、このアルバムにしか入っていないシングル。これがまた痛快にぶっとんだドライブ感あふれるかっこいい曲。後半のイアン・マクレガンの盛り上がり方からドタバタギャンギャンしてキュッと終わる感じなんていつ聴いてもなんかスカッとします。 2曲目もマクレガンのいなたいピアノが素敵な“Cindy Incidentally”、3曲目は大好きな“Ooh La La”。 “Sweet Lady Mary ”のようにアコースティックでしみじみと心に染入ってくるようなバラードもあれば、“Flying”のようなブルージーな曲、オルガンもごきげんなインストの“Pineapple And The Monkey”、重いブギーのジャム・セッション“Around The Plynth”、それにフェイセズ最大にして唯一のヒット曲“Stay with Me”と、バラエティ豊かなフェイセズ・ワールドが思う存分に楽しめる。 一番最初に聴いたフェイセズがこのアルバムだったせいか、この選曲、この曲順がすごくしっくり来るのです。 “Deblis”とか“Glad and Sorry”とかロニー・レーン・テイストの曲が選ばれていないのはフェイセズのベスト盤としてはどうなんだという見方もありますがそれはそれで自分で「裏ベスト」を作ってひっそり楽しむとして、この盤ではロッドとロニーのやんちゃで陽気な世界をとことん楽しむのがいいのです。 ほんと、聴くたびにニコニコしてしまう。 肝はやっぱりイアン・マクレガンのころころ転がるブギ・ピアノかな。 ケニー・ジョーンズのドラムもよく歌っていて、バンドの朗らかなキャラの柱になっている。 フェイセズって、ロッド・スチュワートとロン・ウッドが在籍していた伝説のバンド的な扱いをされているけれど、実はこのイアン・マクレガンとケニー・ジョーンズの二人がいてこそ、って気がする。 そしてもちろん、その彼らの後ろで穏やかに微笑みを浮かべているロニー・レーンの存在と。 もちろんこの人も、穏やかなだけじゃない。普段はクールでも盛り上がるところではもうガンガンに煽ってくる。 そんなバンド全員が一丸となってはしゃぎまわっている感じがフェイセズの何よりも素敵なところ。 そしてそんな彼らの演奏は、僕の中のやんちゃ坊主たちの尻を蹴っ飛ばしてくれる。 「ヘイ、ボーイ!屁理屈こねてないで、素直に楽しもうぜ!」ってね。
リュウさん、こんにちは。
『馬の耳』も『ウー・ラ・ラ』も大好きなんですが、“Poolhall Richard”と“You Can Make me dance…”が入っている分やっぱりこのベスト盤が最高です。
朗らかというか、透明感というか、やっぱり人柄が演奏ににじみでているんでしょうか、いい人たちなんでしょうね。性格悪そうなタイプの代表格はフーかな、と考えると、ケニー・ジョーンズがフーに入って上手くいかなかったのもわかるような気がします。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
『馬の耳』も『ウー・ラ・ラ』も大好きなんですが、“Poolhall Richard”と“You Can Make me dance…”が入っている分やっぱりこのベスト盤が最高です。
朗らかというか、透明感というか、やっぱり人柄が演奏ににじみでているんでしょうか、いい人たちなんでしょうね。性格悪そうなタイプの代表格はフーかな、と考えると、ケニー・ジョーンズがフーに入って上手くいかなかったのもわかるような気がします。