オズの魔法使い / ライマン・フランク ボーム ちょこっと寄った本屋でふと見つけたこの「オズの魔法使い」の文庫本。
河野万里子さんの新しい訳で最近出版されたらしい。
娘にもちょうどいいかな、とか思いながら買って、自分が思いっきりはまってしまった(笑)。
ジュディ・ガーランドが主演した有名な映画は、小さな頃にテレビで見た記憶があるのだけれど、正直とても古ぼけた白黒画像のイメージしか印象になくってストーリーはまるで覚えていなかった。
あぁ、そういえばこんな物語だったっけ、とか思いながら少しパラパラと読み始めたら、いつのまにか子供のように夢中になってしまって、結局一晩で一気に読んでしまったのだ。
竜巻で魔法の国に飛ばされてしまったドロシーは、オズの魔法使いに故郷のカンザスに戻してもらうために旅に出て、その旅の途中で仲間が加わってゆく。
わらでできたかかしは、脳みそをもらいに。
ブリキのきこりは、失くしてしまった心をもらいに。
臆病なライオンは勇気をもらいに。
その旅の途中、直面する困難に対して、脳みそのないかかしが知恵を絞り、心のないきこりが思いやりで仲間を助け、臆病なライオンが勇気を出して立ち向かう・・・そんなふうにみんなで助けあいながら困難を乗り越えていく姿には素直に感動。
そして、欲しいものは実は誰かに与えてもらうのではなく、自分の内側にあるものを育てていけるかどうかなんだよな、なんて思ったり。
子供向けだと馬鹿にできない奥深さは、むしろ良質なロード・ムービーのような感じ。
そして、ふと考える。
脳みそ、心、勇気・・・なくしてしまったときに、本当に取り戻したいものは、僕なら何だろう。
いっそ全部なければ生きることはとっても楽になるのかも?
いや、ひょっとしたらもう全部なくしてしまっているんじゃないか?
少なくとも今の僕は、かかしよりも知恵がないし、ブリキのきこりよりも優しくないし、臆病なライオンよりも勇気がない。
文句や屁理屈を並べ立てて、口先ばっかり上手になって、どこかで「こんなもんやろ」と割り切って過ごしている。
本当に真剣に物事を深く考え、本当に真摯に心を動かして泣いたり笑ったり、本当に行動を起こすべき時に起こせるような勇気を持つようなことが果たしてあるのだろうか、、、
借り物の理屈でわかったつもりになったり、なんとなく雰囲気で喜んだり悲しんだり、どこか周りを見てから損得勘定を計算して動く人になってしまっているんじゃないか、、、
いやいや、大人なんだから、社会人なんだから、それはむしろ必要なこと。
大人になってからこんなことを考え出したら破綻する(苦笑)。
でも考えさせられてしまったのです。
物語の持つ力って、あなどれません。
でも。
本当にそんな機会に出くわしたとき、かかしやブリキのきこりや臆病なライオンが僕にささやきかけてくれるかもしれない。そんなとき、ほんのちょっとでも自分の行動が変わるのかもしれない。
なにしろ、こんなに夢中で一気に物語を読んでしまえたのは久しぶりのことだったのだ。
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そうですね。やっぱり読み継がれている名作にはすごい力がありますね。ココロ洗われましたよー。
他にもいろんな名作を、今読んだらどんな感想になるんだろうかと興味が湧いてきました。
3Dテレビのことは記憶になくて、、、調べてみたら74年の秋から半年間放映されていたみたい。小学校2年生の頃ですね。男ばっかりの家族だったのできっと裏番組を見ていたのだと思います。残念。