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♪穏やかな海

広田湾

陸前高田市・広田湾。
この穏やかな海が、あの日町を飲み込んでしまっただなんて、誰だって想像することなんてできないと思う。
まるでどこかの映画で主人公が夏休みに帰省する田舎みたいな、そんなのんびりと穏やかでどこかとても懐かしいような風景がそこには広がっていました。

ボランティアで『たこ焼きパーティー』を行なったのは、そんな穏やかな海が見える仮設住宅。
砂利を敷き詰めた駐車場にテントを建てて、カセットコンロ対応のたこ焼き器を持ち込んで。

お話好きのおかあさんが、「遠いところからわざわざよう来なすったなぁー。」とくしゃくしゃの笑顔で迎えてくれる。
「たこ焼きなんて食べたことないべー。」と言いながら、アツアツをほおばるおばあちゃん。
「えー、大阪では各家庭に必ずたこ焼き器があるんですよー(笑)。」などと会話がはずむ。
見るからに漁師っぽい顔つきのおとうさんは、いつの間にかちゃっかり焼酎を持ち込んでちびちびとやりはじめている。

ここの仮設住宅の皆さんは元々この丘の下の浜の集落にいて、漁業関係のお仕事をされていた方が多いそうだ。
穏やかな海に、たくさんの養殖用のいかだが浮かんでいるのが見えるだろうか。
「あれは何の養殖ですか?」
「牡蠣だべ。」
商品として出荷できるように育つまでには3年かかるそうだ。
「船もみんな流されて辞めてしまうもんも多いんだけども、やっぱり海で育てられてきたから。」
そんなふうにおっしゃるおとうさんの言葉に、僕は気の効いた言葉ひとつ返せず、ただ「そうですねそうですね」と肯くばかりでした。

いっぽんの松

『たこ焼きパーティー』が終わる頃、お礼にと皆さんが歌を歌ってくださいました。
週に何度か集会所に集まって、練習をしているのだそうです。
皆さんが一生懸命歌ってくださる様子が、こう言っては失礼なんだけどとてもかわいらしくてね。
歌ってくださったのは千昌夫の「いっぽんの松」という歌。

♪夢も暮らしも いつかは戻る
 その日は必ず 来るからと
 いっぽん残った 松が言う

演歌っていうのは、手拍子一つですぐに盛り上がれるから素晴らしい。
気がつけば僕も一緒に口ずさんでいました。
ただ集まって一緒に歌を歌う、そのことがずいぶんとここの皆さんの気持ちをほぐし、和らげ、癒し、元気づけてきたんだろうな、やっぱり歌っていいな、なんてことを思いながら。

いっぽんの松
いっぽんの松 / 千昌夫



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[C1472]

波野井さん、こんばんは。
演歌も民謡も音源として聴くことはないですし、若い頃から否定の対象だったのですが(笑)、ああいう場ではやっぱりグッと来るものですね。年くってきた、ってのもあるのでしょうけど、今時の若い音楽よりもよっぽど共感度が高くなりました(笑)。
東松島へ行って来られたんですね。
ああいう現場へ行くことはとても気が重いものがありますが、何か普段の暮らしではまるで意識しないことに気づかされて、その感覚が何ともいえず大切なもののような気がしています。

  • 2012-08-28 00:06
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C1471]

自分はこの間、初めて被災地に足を運びました。
東松島です。
海は本当に穏やかで、
「この海が…」と、思わずにはいられませんでした。

自分は被災された方との交流はありませんでしたが、
その集落の方は全員命が助かったと聞き、心からよかった…と思いました。

演歌とか民謡とかって、いいですよね。
氷川きよしが演歌歌手になったのも、
世代を越えて歌ってもらえるのは演歌!
と思ったからだそうです。

演歌じゃないですが、
ソウル・フラワー・ユニオンの活動を思い出しました。
  • 2012-08-27 18:07
  • 波野井露楠
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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