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♪1993年8月 イスタンブールで食べた鯖サンド

イスタンブール

ここはアジア大陸とヨーロッパ大陸を結ぶガラタ橋のたもと、エミノニュ桟橋。
女性が手に持っているのは、この桟橋の名物、鯖サンド。
厚く切ったフランスパンに、こんがり焼いた鯖と、スライスした玉ねぎと、香辛料のような葉っぱをのせたもの。これがもう、めちゃくちゃおいしくて、イスタンブール滞在中毎日のように食べた。

トルコという国、とにかく食べ物がうまい。
羊の肉をスパイス漬けにして大きな串に巻きつけて、串をグルグルと回しながら炙り焼いたものを薄切りにして食べるドネル・ケバブは、最近は日本の屋台でもずいぶんと見かけるようになった。パンにはさんだら最高にうまい。
羊をつくねにしてトマトソースと香辛料で煮込んだキョフテ、ピーマンにご飯をつめてトマトソースで煮込んだビベール・ドルマ、ムール貝にご飯を詰めて蒸したメディエ・ドルマ・・・これはたっぷりのレモンを絞って食べる・・・などなど、決して高級料理店ではない、その辺の屋台やビラハネ(居酒屋みたいなもの)で食べるものが本当にうまかった。
またうまいだけではなくヴァリエーションが豊富、ということが大事。
高い水準で選べる楽しみがある、これは豊かさを象徴するキーワードだと思う。
物価は安いし、気候も穏やか、人々もエジプトみたいにやかましくもなくけれどそれなりにフレンドリーで、しかも歴史的な経緯からも日本人はとても好感を持たれていて、そして食べ物がうまい。イスラム教信者が大半を占める国でありながらビールも飲める。いろんな意味で、トルコはとても居心地がいいところだった。

そんな居心地のいい国だから、イスタンブールは当時日本人バックパッカーにとっては憩いの場所になっていたようで、ガイドブックで紹介されている安宿へ行けば、日本人のバックパッカーがたくさんいた。
ある人はヨーロッパ中をうろうろしてこれからインド方面へ向かうという。
またある人はインド方面をずっと放浪していてこれからヨーロッパへ向かうという。
イランに滞在していたがビザが切れたのでイスタンブールまで戻ってきて再びビザを申請中という人は、なかなかビザが下りないのでもう3週間もずっとごろごろしているのだと笑っていた。
自転車で大陸横断をしているという人にも出会ったけれど、その人の頭の中はもうどこからどこへどう移動するのかという手段と日程のことばっかりで、現地人の暮らしなんかにはまるで興味がないようで、そういうのってとてもつまらないと思ったな。
今の世の中なら、ブログやフェイスブックでその後のやりとりも容易なのだろうけれど、その頃は当然そんなものもなく、何人かは住所を交換したりもしたけれど結局その後誰とも会っていない。
でも、それでいいのだ。
旅先ですれ違って、ほんの少し言葉を交わして、そしてまたそれぞれが自分の旅に出る。
その一期一会っぽさが、旅の出会いの素敵なところなのだ。


さて、イスタンブールの歌といえば、まず頭に浮かぶのは庄野真代の「飛んでイスタンブール」。現地でも、ブルーモスクなんかの前で日本人を狙った客引きがこの歌を歌いながら近づいてきたりしていたけど(笑)、今日紹介するのはあえて江利チエミさん。

イスタンブール・マンボ 江利チエミ

KING RE-JAZZ SWING: CHIEMI SINGS
KING RE-JAZZ SWING: CHIEMI SINGS / 江利チエミ


訪れた頃、トルコは「ヨーロッパの国」として認められることを目指してEUへの加盟希望を表明し、イスタンブールは2000年のオリンピックの開催地に立候補していた。街中の至る所に「ISTANBUL 2000」と書かれた旗やステッカーがあって、とても活気に満ちていた。
ちょうど東京オリンピックの前の日本もこんな感じだったのだろうな、なんてことを思い、それで江利チエミさんを思い出した、というわけ。
僕の記憶にあるのは、懐メロ番組で元祖三人娘とかなんとかやっていたおばちゃん、という印象で、母親がそういう番組を熱心に見ていたのをよく覚えているのだけれど、実はすごい歌手だったのですね。
このグイグイと持っていくパンチ力のある声。
美空ひばりばかりが伝説になっているけど、まるでひけをとらない。
由紀さおりが世界中で好評を博しているけれど、そんなの比べものにならない。
戦後の雰囲気がまだ色濃く残る昭和30年代から高度経済成長の時代にかけて、日本人に夢を与えてくれた偉大な歌手だったのだとつくづく思います。

ちなみに、イスタンブールは2020年の夏季オリンピックにも立候補していて、東京の強力なライバルとして最終選考に残っている。
2000年、2008年に続く3度目の挑戦。気持ちとしてはイスタンブールを応援したいな。
開催地が決定するのは来年の9月、とのこと。



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[C1394]

まりさん、こんばんは。
トルコでは、明治時代にトルコの船は和歌山沖で難波したときの日本人の献身的な救助が語り継がれていたり、長年敵対しているロシアを日露戦争で負かしたことなどから、日本人への好感度が高いのだそうです。
日本人もトルコ人には悪い印象はあまりありませんよね。
あ、ちなみにダルビッシュ有のルーツはトルコではなくイランです。

  • 2012-07-14 23:57
  • goldenblue
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[C1393]

リュウさん、こんばんは。
「飛んでイスタンブール」、カラオケでは歌ったことあるけど、レコードではちゃんと聞いたことがないなぁ。
ドネル・ケバブは、この数年ですかね、一気に市民権を得た気がします。
やっぱりうまいもんは全世界共通ですね。
  • 2012-07-14 23:41
  • goldenblue
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[C1392]

飛んでイスタンブールの庄野真代は地元のスターなんですよ♪

中華料理、フランス料理、トルコ料理が世界三大料理らしいですね!

トルコって一応アジアだし ダルヴィッシュ有もハーフだし 親しみがありますよね(*^_^*)
  • 2012-07-14 17:36
  • まり
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[C1391]

ご無沙汰です!!
ドネルケバブは大好物です♪
トルコへはもち、行ったことありませんが、食べ物は、かなりお気に入り♪
香辛料、地中海料理のミクスチャーで、美味しいですよね!!

自分は、飛んでイスタンブール、かなりお気に入りです(笑)
  • 2012-07-14 16:25
  • リュウ
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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