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♪1993年6月 カイロの喧騒

cairo-city

تحذير لكل مصري خارج مصر - لا تسمع و لا تشاهد هذه الأغنية

まとわりつくような暑さ。砂埃。
けたたましく鳴るクラクションの音。
おんぼろのスピーカーから割れた音で鳴り響くアザーンの声。
しつこくまとわりついてくる物売り。
カイロの街は、混沌だった。


1993年6月。僕はカイロの街角で途方に暮れていた。
この街はとにかくめちゃくちゃだ。

とにかく埃っぽい。これがこの街の第一印象。
暑さがその不快感を増幅させる。
空港から街中へ向かうバスはぎゅうぎゅうのすし詰めだった。
「チン?コリーア?ヤバーナ?Oh、ヤバーナ!JUDO!NINJYA!○¢△#□Я!!」
こちらが理解しようとしまいと機関銃のようにしゃべりかけてくる。声、でかい。
街中はまるでサーキットのように車間距離ツメツメの車が猛スピードで走り回っていて、素人では絶対割り込めない。それでも歩行者はその間をすり抜けるようにして道路を横断していく。
街角にはオープンスタイルのカフェがあって、真昼間からおっさんたちがたむろしている。
おっさんたちは自分が吸った吸殻を親指と人差し指でピーンとはじいて路上に飛ばすのがお気に入りのようで、当然路上は吸殻だらけ。
目星をつけたホテルにたどり着いたら、ガイドブックには30E£とあるにもかかわらず平気で45E£とふかっけられる。
お釣りでもらった紙幣はくっちゃくちゃのボロボロでどぶと汗の入り混じったえげつない匂いがする。
ようやく部屋でシャワーを浴びようとしたら冷たい水しか出ない。「これどないやねん。」と文句を言っても肩をすくめてみせるばかりで知らん顔される。
一週間以上滞在する場合は滞在許可証が必要とのことでタハリール広場の脇にある総合庁舎へ行けば、何の説明もなく長い時間待たされた挙句にまだ夕方にもなっていないのに「今日は終わりだ、明日来い。」と言われる。
路上ではしょっちゅう物売りに呼び止められる。「絨毯を買わないか、パピルスはどうだ、手作りの民芸品もあるよ。」・・・ついうっかりと興味を示そうものなら大変なことになって、大通りから裏手に入った店に案内されて、あれはどうだこれはどうだ、と片っ端から色んなものを持ってこられ、断り続けると「なぜ買わない!」と怒られてしまう始末。
まだ10歳にもならないくらいの子どもが近づいてきて何かを問いかけてくるので子どもなら安心とついていくとやっぱりみやげ物屋に連れて行かれたり。。。
現地で出会った日本人が「あいつらはハエだ。」と言っていたのも納得。
とにかく日本の行き届いたサービスと比較するととんでもなく次元が違う。
はっきり言って不愉快。疲れる。
街角で鳴り響いているアラブ風の暑苦しい歌謡曲がその苛立ちをさらに増幅させる。
ただ一日に必要なことをするだけで、どーっと疲れる。
エジプト王朝の古代のロマン?
そんなものはこの国にはない!

「なんでこんな国に旅行に来てしまったんだろう。。。」
一日が終わると大きくため息。

そんな風にして僕のエジプト旅行は始まった。
1993年6月。25歳だった。


Greatest Hits
Greatest Hits / Hakim


Hakim Salam-allykoum

紹介する音楽は、エジプト一番の人気歌手、ハーキムさん。
こんな埃っぽくやかましい音楽が、当時もあちらこちらで鳴っていてげんなり。
今聴けばエキゾチックで、それはそれでけっこういいと思えるのだけれど(笑)。




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コメント

[C1355]

Okadaさん、こんばんは。
2ヶ月なんていうのはわりとあっという間でした。
現地で出会った旅のツワモノたちは、半年、一年当たり前でした。
父母はどう思っていたのでしょうね、考えたこともなかった。
18からひとりで住んでいたし、まぁ当時から便りがないのが元気な証拠って感じでしたから(笑)。
でも、自分の子がそんなことしていたら、、、めちゃくちゃ心配するでしょうね!
  • 2012-06-26 23:54
  • goldenblue
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[C1354]

カイロかぁ。
goldenblueさん、引き出し多いなぁ。
二ヶ月間も放浪の旅に出るなんて、
親御さん、心配されたのではないですか?
エジプト・イスラエル・ギリシャ・トルコなんて、あまりよく知らないので、このシリーズ楽しみです。

[C1353]

波野井さん、こんにちは。なかなか忙しそうですね。
第2弾、coming soonです!
  • 2012-06-26 08:13
  • goldenblue
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[C1352]

ご無沙汰してます(>_<)!

ひさしぶりに遊びに来させていただきましたが、続きが気になる連載のスタートですね(≧▽≦)!

第2弾!早く読みたいです(^^)!
  • 2012-06-25 22:28
  • 波野井露楠
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[C1349]

紫陽花大好きさん、こんばんは。
変化大きいでしょうか?自分自身がいろんなところにとっちらかっているから書くこともきっととっちらかってしまうのだと思います(笑)。
何か思い出させてしまったようですね。
エジプト、いいところだとは思いませんが、日本では感じることが出来ない刺激がたくさんある国でした。
  • 2012-06-25 00:06
  • goldenblue
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[C1348]

リュウさん、こんばんは。
アメリカに行った翌年、エジプト・イスラエル・ギリシャ・トルコを2ヶ月ほどうろうろしました。もう20年も前の話です。
革命や大統領選挙の報道でカイロの風景を見るたびに、そのうち書こうと思っていました。
シリーズで何回か続ける予定ですのでお楽しみに!
  • 2012-06-24 23:55
  • goldenblue
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[C1347]

何シリーズが始まるのでしょうか?このブログは変化が大きいなぁ。私も昔、一緒にエジプトに行こうねと約束した人がいましたが、今はそれぞれに家庭生活を営んでいます。彼は元気にしてるかなぁ、思い出しました。
  • 2012-06-24 09:27
  • 紫陽花大好き
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[C1346]

goldenblueさん、カイロも!?
旅好きは一緒ですが、ワールドワイドに…脱帽です(^^;;
喧騒、それもウザイ喧騒…伝わります!どないやねん…って感じですよね(笑)
むき出しの人間、人間臭さは好きですが、ここまで来ると、うーん、メンド臭いかも…(笑)
今度、聞かせて下さい♪
  • 2012-06-24 08:41
  • リュウ
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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