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♪1993年6月 ピラミッドの攻防

giza

有名なクフ王のピラミッドの前で。
ピラミッドに悠久のロマンを感じようなんてことは不可能でした。
このカメラのこっち側では土産物屋がひしめきあって客引きをしていて、それこそハエのようにまとわりついて、うっとおしいたらありゃしない(笑)。

ただ、僕だってずっと手をこまねいていたわけではない。
郷に入れば郷に従え、習うよりも慣れろ、旅ではこれが大切だ。
のべつまくなしにしゃべりかけてくる商売人たちと渡り合うには、ひるまないことだ。
日本で美徳とされることは一旦捨てるべきだ。
目には目を、歯には歯を。
とりあえずは値切りまくる。

「この置物はいかがでーすかー?やすーいヨ。オンリー50E£(エジプト・ポンド:日本円で6000円くらい)!」
「No!No Thank You.」
「Why?じゃあ40ポンド?」
「No!I don’t need.いらんもんはいらんねん。」
「Why?これとてもやすーいデスヨ??35ポンドでどうですか?」
「いらんゆーとんねん。5ポンドやったら買うたるわ。」
「5ポンド?・・・・・No!No!」
「いや、5ポンドしか出せん。どうしても買ってほしかったら5ポンドにしとけや。」
「No、No、No、サヨナラ~」
さすがに10分の1までに値切ると相手が断ってくる(笑)。
一度この手で逃げ切ろうとしたらほんまにじゃあそれで交渉成立となりかけて、ほんまの原価はなんぼやねん!と思ったこともありましたが。
どうやら日本人は100%値切らずに定価で買ってくれるおいしい客だったようで、日本人と見るや商売人は目の色変えて寄ってくるようだ。
「Japanese?」と聞かれて「Yes」と返事しようもんならもうえらいことになると覚った僕は、
「Japanese?」と聞かれたら
「No,I came from アホンダーラ。Don’t you know アホンダーラ?アホンダーラ is far east,near Japan.But,I don’t like Japan.Don’t you know?」
とかなんとか適当なことを言って相手を煙に巻いたりもしていました。
ハハハ、ウソついてごめんなさい。

しばらくして現地通貨のフィーリングに慣れてくると、観光地がいかにバカ高い値段でふっかけているかがよくわかってくる。
現地の物価は、日本円に換算すると、信じられないくらい安い。
市場ではトマトが1kgで50ピアストル(1ピアストルは1エジプト・ポンドの1/100。50ピアストルは6円くらい)、食堂に入っても3ポンドもあればふつうに飯が食える。(ただ、輸入品はとても高く、一度タハリール広場の前のWimpyに、たまにはハンバーガーでもと軽い気持ちで入ったら16ポンドもとられてしまったことがありました。彼の地ではハンバーガーは高級海外料理だったのだ。。。)
1E£は日本円では12円くらいだが、現地の生活感覚でいうとちょうど100円くらい。そうやって現地感覚で過ごせるようになってからは、不思議とエジプト人をうっとおしいと思わなくなってきた。
日本では「ふっかける」ことはモラルのないこととされていますが、そもそも商売は売りたい人と買いたい人のガチンコ勝負。買い物のたびに価格交渉があることは彼の地では当たり前のことなのです。
考えてみれば日本でも、ほんの数十年前まではそんな商売のやり取りが当たり前だったはずなのだ。

一度現地感覚になってみると、むしろ日本人の嫌なところがよく見える。
エジプトに来る日本人の観光客のほとんどはちょっと小金を持っている紳士淑女がほとんどで、現地感覚からすればめちゃくちゃお高くとまっているようにしか見えないのだ。
カイロの中心部のヒルトンとシェラトンとかの超高級ホテルから徒歩では一歩も街へ出ず、移動は全部観光バス。現地人から声を掛けられてもトラブルに巻き込まれるから無視するようにとでも旅行会社から言われているのか、商売人の口説きにも基本は無視。それどころか、僕が日本語で話しかけても無視、ですぜ。すでにこちらはヒゲぼうぼうで怪しい身なりだったとはいえ、かなりむかついた。もし帰れなくなったら、こっちに住み着いて、こいつらだまくらかして小金を集めればじゅうぶん暮らしていけるんじゃないか、そんな人生も悪くはないかも、とか思ったり(笑)。

だんだんとエジプト人に慣れてくると、旅が楽しくなってくる。
そもそもエジプトに行こうと思った理由は、一年前のアメリカ横断の旅があまりにも日本にいるときと同じくらい普通に過ごせてしまったことがショックで、もっとカルチャー・ショックを感じるような国を見たいと思ったからだったのだ。
そういう意味ではエジプトは、カルチャー・ショックの連続だった。
でも、そうやって日本での常識を捨てて一歩踏み出してみることでしか見えないものが確かにあった。
観光バスで移動して、遺跡と土産物屋しか見ないなんて、なんてあまりにももったいない!
もっともそうやってたくさんお金を落としてくれる観光客の方が現地では喜ばれるのかもしれないけれど。


Legend (New Packaging)
Legend / Bob Marley


「Do you visit first time for African Country?」
旅行中に現地でよく尋ねられたのはこの言葉。
日本にいるとエジプトはアフリカの国である、という印象はあまりなくてむしろサウジアラビアやイランと同類のアラビアの国なのだけれど、エジプト人の中では「アフリカの国」であるという意識が高いようだ。
そのせいもあるのだろうか?それとも当時たまたま流行っていたのか?やたらとあっちこちでボブ・マーリィが鳴っているのを耳にした。
お店の有線らしきものからエクソダスが流れていたり、土産物屋のガキが童謡を歌うようにバッファロー・ソルジャーを歌っていたり、バスで隣の席になった男と、僕が聴いていたノー・ウーマン、ノー・クライがきかっけで仲良くなったり。
第三世界の視点からメッセージを発し続けたボブ・マーリィは、エジプト人にとってはかなりシンパシィを抱きやすいものだったのではないか、という気がする。
先日、独立以来初めての民主的な手順で大統領が選ばれたエジプト。
そして勝手な推測だけれど、今回の民主化運動に対してボブ・マーリィの音楽が与えた影響は、実は大きかったのではないか、と思っている。







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コメント

[C1363]

まりさん、こんにちは。
関西弁は最強です。困ったときには、関西弁でまくしたてればなんとかなる(笑)。
えーっと、これは英語でなんていうんだっけ、なんて考えてしゃべっても気持ちは伝わりません。
形通り納めるよりも、まずは気持ちを前に出すことが大切なのだとこの旅で学んでから、ますます無遠慮で失礼な人間になってしまいました(笑)。
  • 2012-06-29 08:19
  • goldenblue
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[C1362] 文明発祥の地

古代文明発祥の地やけど イメージは ハエ(笑)ですね。
goldenblueさんとエジプト人との やりとりも 負けてないって感じです!
しつこいエジプト人を煙にまくのは関西弁が一番ですね!
  • 2012-06-28 22:09
  • まり
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[C1361]

リュウさん、こんばんは。
買い物は交渉です。そしてバトルです。戦う姿勢を見せない限り、確実にボラれます(笑)。アレはアレでスリリングで楽しめるようになりましたが、定価が決まっていて安心して買い物ができる日本ってすごいなぁ、と思いました。
音楽は、イスラエルやトルコではマドンナやエルトン・ジョンなんかが普通にかかってましたがエジプトでは一切聴かなかったです。
そういえば、エジプト人の、いいかげんなくせにやたらと理屈っぽいとこは、ジャマイカ人と共通するところがあるような気もしましたね。



  • 2012-06-28 21:48
  • goldenblue
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[C1360]

花マロリンさん、こんばんは。
ええ、エネルギッシュでした。生きることに貪欲にならざるをえないことが果たして不幸なのか?生きることに貪欲になりにくいこの国の不幸も思いました。
花マロリンさんなら、行けばきっと大好きになると思いますが、イスラムは男社会なので女性は苦労するのかも。
治安は今どうなんでしょうね。僕が行った頃はイスラエルは穏健派のラビン首相で、わりかし平和的なムードでした。イスラム原理主義者のテロが悪化するのはその数年後でした。
まぁ、日本で道歩いているだけで暴走車に殺されるご時世ですし、テロの可能性なんてその程度の確率です。
ただ観光客は減っているらしいから、確実に土産物屋のものすごい攻勢にあうと思われます(笑)。

  • 2012-06-28 21:37
  • goldenblue
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[C1359]

ezeeさん、こんばんは。
うーん、今思えばタフでしたね(笑)。
気温は思ったほど暑くはなくて、35℃くらいはあっても風が乾いているので京都・大阪の夏の蒸し暑さに比べればそれほどでもなかったけど、人の暑苦しさにはほんと参りました(笑)。
でも、アレくらいが本来なのかも、とも思います。
あの国では孤独死なんてあり得ないのだろうな、とか。

  • 2012-06-28 21:22
  • goldenblue
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[C1358]

今晩は♪

生粋の東京生まれ東京育ちですが、基本値切りから入ります(笑)
ガチンコ勝負、わかります、だって少しでも安ければ他に使えるし!

ボブマーリィの話は意外でした…やっば行ってみないと分からない事多いですね!

レゲエはジャマイカのブルース、でもボブにとっては、ロックだったのですよね!
  • 2012-06-28 19:34
  • リュウ
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[C1357]

おはようございます♪

エジプト 大好きな国です
行ったことないけど・・・ 

行ったことないから?(笑)

golden blueさん いい経験されてるんですね

エジプトは 
一度は訪れないと、と思ってるんです。
しかもスフィンクスの風化がひどいから
早めに行った方がいいって言われました。


今、エジプトの治安はどうなんでしょう。


どこへ行っても観光客はたかられますが
エジプトはハンパないですね

生きることに貪欲な様子が伝わってきます

生きるってそういうことかな、という
エネルギーを与えてくれそう

次 どうなるんだろう (^^)楽しみ
  • 2012-06-28 08:04
  • 花マロリン
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[C1356]

タフな旅行してますね~ 根性無しの私からすれば羨ましい。ええ経験してはります。
しかし、いいですね ピラミッドの写真!圧倒されそうですな。
アフリカ大陸って行ったことないんです。
一度は行ってみたいところです。
  • 2012-06-27 23:44
  • ezee
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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