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♪意訳 シップビルディング

Elvis Costello - Shipbuilding

妻に新しい冬用のコートと靴を買ってあげると約束したんだ。
それから息子の誕生日には自転車を。

 女や子どもが騒ぎ立てて国中に広まった噂のせいで
 閉鎖されていた造船所の仕事が
 もうすぐ再開される

「父さんは仕事に行かなくっちゃいけない。
でも、クリスマスには戻ってくるから。」

 国中に広がった噂のせいで
 多くの人間が職を失ったんだ
 “こんな船を造った奴等のせいで、たくさんの人間が殺されたんだ”っていう噂


世界中の人々のすべての意思に沿って
命をつぎ込んできただけなのに
真珠を獲ることだってできたこの海で

 国中に広がった噂、いや、それはただの噂さ
 電報で、葉書で、最近親者に通知が届いた
 数週間の内に、造船所が再開される、と

我々が持っている技術はこれしかないのだから
我々は船を造るだろう
世界中の人々の意思に沿って
命をつぎ込むのだ
真珠を獲ることだってできたこの海へ

(Lyrics in English)

エルヴィス・コステロの1983年の作品『Punch The Clock』のA面の最後に収録されていたこの曲。
“Shipbuilbing”とは造船のこと。82年にフォークランド紛争が起きた際に、反戦運動家から戦艦を作った造船所が批判されたことを歌っているのだそうだ。
造船所を発電所に置き換えれば、今福井で起きていることと同じことが歌われているのではないだろうか、と思った。

パンチ・ザ・クロック
Punch The Clock / Elvis Costello & The Attractions


原子力発電所を動かさなければこの夏の電力が不足する、という話は本当なのか?
原子力発電がなければ、この国は経済競争力を失う、という主張は正しいのか?
大飯原発が満たしているという「政府の定めた安全性の判断基準」は信用していいのか?
人間は必ずミスをする、自然の巨大な力の前で人間の力などまるで及ばない、ということを僕たちはまざまざと見せ付けられたのではなかったのか?そして、原子力発電所での大事故は、本当に取り返しがつかない事態、今の世代だけでは到底責任を負えないような事態を巻き起こすのだということを経験したのではなかったか?

僕自身は、原子力発電に依存したこの国のあり方を見直すべきだと考えている。
でも、だからといって、ただ反対すればいいってわけじゃない、ってこともわかってしまっているから、そう簡単にはすすまない。
日本中に54基もの原発を造らせたのは僕たちの意志で、その恩恵を僕たちは享受し続けてきたのだから、そのことへの代償は支払わなければならないのだろう。いいとこ取りばっかりし続けることはできないのだ。
原発に依存したこの国のあり方を変えるということは、そのまま自分たちの暮らしのあり方を変えるということ。エネルギーをふんだんに使った便利で快適な暮らしを変えることが出来るのか?それだけの覚悟があるのか?ということが問われているのだと思う。
面と向かってそう問われた時、僕には「そうだ」と言い切れる自信がない。
妻に新しい冬用のコートと靴を、息子の誕生日に自転車を買ってあげることの中にこそ、人が生きる喜びがあるのではないか、ということを否定できない。 ささやかであれ過剰であれ、モノやサービスを介して得ることができる幸せを手放すことができない以上、文明社会を否定することはできない。
そうして結論が出せないまま、考えは宙をさまよってしまうのだ。





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コメント

[C1193]

ogitetsuさん、こんばんは。
本当に安全なもの、ですか。どうでしょう。
安全剃刀でも死のうと思えば死ねますし、爪楊枝でもシャープペンシルでもかなり人を傷つけることは出来ますから、道具は使い方次第なんでしょうね。
安全は確率とコストの兼ね合いですから、震災前までの確率であればコストは安かったのでしょうが、震災後に求められる安全性を確保しようとすればもはや原発は超高コスト、ふつうはアホらしくてやってられん、になるはずなのですが、それでも動かしたい人がいるっていうのは、目先の金のことしか考えられないほど想像力が貧困、ってことなのでしょうか、なんて思ってしまいます。
  • 2012-04-26 00:37
  • goldenblue
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[C1192] ogitetsu

この歌は良く覚えてます。なんだか、聞いていてメランコリックになる曲調ですよね。
元歌は、Robert Wyattでしたね。彼のバージョンも好きです。
原発や原爆なんですが、造る時や使う時に、その危険性をキチンと把握してからではないと使ってはいけませんね。

「作りました。使いました」。
「あ、危険ですね、知らなかった。」
などというレベルの代物じゃないですから。

ただ、最近思うのですが、本当に安全なものというのは今の環境に存在するのでしょうか。するにしても、その環境で暮らして、不平は…出るでしょうね。

オギテツ

[C1175]

花マロさん、こんにちは。
そうなんですよね。禁欲的な反対運動はきっと成功しないと思うのです。そういうやり方じゃない、って気がします。じゃあどういう、って言われると口ごもってしまうのですが。
いずれにしても経済発展こそが豊かになることだとひたすら追い続けてきた世代にはシフトチェンジは無理なんでしょうね。僕らの世代に託されているのかも、って気持ち、わかります。ただ反対するだけの古いやり方ではない方法がきっとあると思います。



  • 2012-04-16 08:48
  • goldenblue
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[C1174]

リュウさん、こんにちは。
今回のことで、原発は手に負えないということははっきりしたと思うのです。事業として考えた場合にこれだけ膨大な安全コストがかかるものは見合わない、ならやめておこう、というのは資本主義の自然な理屈、なのにここまでこだわるのはリュウさんの指摘するような核開発がらみの魂胆があるとしか考えられないですね。
とにかく再稼働ありきで既成事実を積み重ねていけば、国民は愚かだからのどもと過ぎれば熱さを忘れるさ、とたかを括られているような気がするのです。
  • 2012-04-16 08:35
  • goldenblue
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[C1173]

Colさん、こんにちは。
僕もコステロはこれが最初でした。本人は駄作とこき下ろしているみたいですが、いいアルバムだと思うけどなー。

僕は、本当に切羽詰まった状態なのなら再稼働もやむをえないとも思うのですが、将来的なヴィジョンがあってからですよね。20年以内に新しいエネルギーを実用化する。耐用年数を過ぎたものから順に廃炉にする。そういった道筋が見えないのにとにかく再稼働ありきではないだろう、と。
電気料金が倍になればきっと国民は本気になるのでしょうが(笑)、それが怖くて値上げをしないのかもしれません(笑)。

  • 2012-04-16 08:27
  • goldenblue
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[C1172]

LA MOSCAさん、こんにちは。
もやもやした気持ちのまま結論のない中途半端な文を書いてしまいましたが、このもやもや感が大切な気もするのですよね。
推進も反対もそんなに単純じゃないだろー、と。
安全は白黒ではなくレベルの問題。
とりあえずなし崩し的に再開するのは違うだろー、と思います。
  • 2012-04-16 08:15
  • goldenblue
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[C1171]

私も共感します

ひとの欲望は尽きることはなく
欲望はイコール生きることでもあると
私は捉えているので
今の暮らしや背景にある
いろいろな過程すべて

否定できないです

ただ、自分の幸せは
誰かの犠牲のうえで成り立っている、ということを
知ってしまった以上、
なんとかしていかなければいけないとも
思うようになりました。

バブルを強制的に体験させられ
今度はこのような危機的状況下に
さらされているのは
私たちには 時代をシフトチェンジしていく使命と
それを可能にできる力が
あるんじゃないかと



これもまた勝手に思いこんでいます。

  • 2012-04-15 22:57
  • 花マロリン
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[C1170]

原発…は、黙認して来た自分たちにも責任はある…本当に反対しようと思えば出来たはずだから。
東電に責任をおっかぶせるのは違いますよね。
こうして、原発の恐怖を目のあたりにした今、転換すべきですよね♪
  • 2012-04-15 21:52
  • リュウ
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[C1169] punch the clock

原発にはいろんな絡みがあって廃止することなんて不可能とかいう話もよく聞きますが、皆が本気になれば覆りますよね

この国のいろんな政治的な横暴には、皆(国民)が本気になるという想定が無いんだから

このアルバムからコステロを聴き始めたせいで、今でも個人的に特別なアルバムです

[C1168]

すごい判ります。
俺は白黒はっきり言えないなぁ。
斉藤和義が最新アルバムで「戻れないんじゃなくて戻りたくないだけ」って唄ってて
そうだよな、って思っちゃったり・・・。
コステロのこの曲、好きだったけど、そういう意味だったんだ?
知らなかった・・・。
複雑な気持ちですね。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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