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◇13歳のハローワーク

あんまり映画もテレビドラマも見ないほうなのだけれど、金曜日にTV朝日系で年明けから放映されている『13歳のハローワーク』というドラマがめちゃくちゃおもしろい。
うだつのあがらない現在35歳の主人公が22年前の1990年にタイムスリップし、13歳の頃の自分を再教育して運命を変えようとするという、ストーリー自体はまぁありがちなもの。
けど、そこに描かれている1990年当時のバブルに浮かれまくった日本と、「失われた10年」を経て大きな曲がり角に来ている現在の日本の対比を軸に、これからの日本のすすみ方を問うような鋭いメッセージがそこここに仕込まれている気がするのだ。
売り手市場の就職活動や、地上げ屋、金融屋の拝金主義、3Kと呼ばれた肉体労働・・・こうして振り返ってみれば本当にあの頃は異常な時代だったのだな。
ドラマではでっかい携帯電話や、ボディコンシャス、或いはセーターを肩にひっかける業界人ルックなど当時を再現したファッションや風俗が登場するのも楽しいし、主演のTOKIOの松岡くんがかなりいい味の演技を見せてくれるのも楽しい。未見の方は、ぜひおすすめです!

ドラマを見終わった後に考えてしまうのは、自分が13歳だったの頃のこと。
何になりたいと思っていたのだろうか。
思い出そうとしてみたけど思い出せない。
というか、そもそも何かの職業に憧れてこんな仕事をしたいと思ったことがなかった。
どうせ普通の平凡なサラリーマンになるんだろう、なんてタカを括っていた夢のない子どもだった。
小学校の頃はお絵かきや漫画が得意で、友だちからは「漫画家になれば」とも言われたけれど、真面目にそういう職業を目指して努力しようとはまるで思わなかった。小学校の卒業文集の「将来なりたいもの」の欄には「宇宙飛行士かレーサー」などと書いているのだけど、これはほんとうになりたい夢なんて何にも思いつかなくて、とりあえず子どもらしいこと書いておけばいいんだろうということで親や先生が喜びそうなものを書いたにすぎないのであって、まぁそれくらい憎たらしいというか醒めた子どもだったのだ。
高校3年くらいになって初めて自分の進路を考えてみて、だって今更医者や科学者になりたいなんて思ったところで普通の中の中の公立高校からじゃすでに無理じゃん、なんて気がついて愕然とした。子どもの頃に何かきっかけがあったかなかったかで進路なんてすでに決まってるやんか、と。

親の世話になるのが嫌で自分で稼ぎたいと思って公務員試験を受けたりもしたのだけれどやっぱり今から社会に出るのは何だか違う気がして、何が自分に向いているのかもまるでわからないからとりあえず執行猶予が欲しくて大学へ行き、結局アルバイトばっかりしてて何もつかめないままとりあえず某食品メーカーに就職し、何となくつまらなくて3年でやめていわゆるフリーター(当時はフリーターという言葉はなく“プー太郎”だった。)に。自動車工場の期間工やら、ファミレスの厨房、小さな印刷会社や製図会社、それに工事現場の日雇い人足、いろんなことやったなー。27歳でトラックドライバーになるつもりで今の会社に拾われたら望みもしない営業がたくさんあって、仕方がないから本気でやったら意外とちょろいもんでするすると管理職になって、やがてへとへとになって管理職をお払い箱になって、結果的にはたまたまなんだけど子どもの頃に得意だったお絵かきのセンスなんかも活きてくるような今の仕事に至る、というわけで、、、ハハハ、振り返ってみるとかなりなりゆき任せ。何かを目指して努力した結果今がある、というわけではまるでない。結果オーライというか、たまたまラッキーだな。
10代のときに20代の自分が、20代では30代が、30代のときには40代の自分がまるで想像つかなかったように、50代や60代の自分も、なりゆき任せでまるで想像のつかないことをしているのだろうか?
でも、それでいいんじゃないか、とも思ったりもする。
納得できないことややりたくないことを無理矢理やらされるのは嫌だけれど、まずは与えられた任務の中でやるべきことをやる。
その中に、自分なりのエッセンスを少しでも盛り込むことができたら、それでいいのだ。
あとは、自分に向いているものが何かは、周りが決めてくれるだろう。
もしも13歳の自分に会えることがあるのなら、「なるようになっていく中で、おもしろいことはいくらでもあるぜ。」なんて言ってやるべきかな。
多分理解できないだろうけど、ハハハ。


ドラマの原作、ということに一応なっている村上龍氏の『新 13歳のハローワーク』
13saino

職業というのは、単にお金を稼ぐ手段ではありません。その仕事をすることで、生きていくために必用な充実感、人間としての誇り、そして仲間や友人を得ることができます。職業は、その人と社会・世界をつなぐ窓のようなものであり、大切な架け橋のようなものです。――村上龍


村上龍氏の本は昔はよく読んだけれど、いつの頃からかまるで共感できなくなってしまい疎遠になってしまった。この本も図書館でパラパラとは読んだだけだけれど、この言葉にはまぁその通りかな、と思う。例え一生食っていけるだけのお金があったとしても、何か仕事をしたいと思うだろうね。
でも、13歳の僕がもしこれを読んだとしてもやっぱり、「なんだかよくわかんねー、なりたいものなんてなんにもないや。」って思うんじゃないか、という気がする。職業の一般的な情報ずらずら羅列されるばかりで、その職業に携わることの喜びや価値が見えてこないのが残念。
ちなみにこの本の中で僕の職業は紹介されていませんが、役割として一番近いものには「膨大なデスクワークを抱え、休日出社を余儀なくされているというのが現実だ。」と書かれている。
残念ながらそのとおりかも。



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コメント

[C1005]

第五話、見ましたか?かっこよかったですねー。
「ロックはかんたんにはいかねーんだよ!」
どんな状況でもチャレンジするのがロック!
  • 2012-02-11 01:42
  • goldenblue
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[C998]

非双子さん、こんばんは。
今改めて思うのは、親がよく本を読み聞かせてくれたり、買い与えてくれたからこそ今の自分があるな、いうことです。
手取り足取りではなく、自然に見せてあげることが大事なのかな、なんて思います。
  • 2012-02-08 21:56
  • goldenblue
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[C996]

先月、末っ子の13歳のバースディケーキを買ったばかり。

自分もそうだったし、子供たちも同様。
将来のことは何も考えて無いし、今を楽しんでるだけ・・

親としては出来るだけ趣味の範囲(勉強以外の知識)を拡げる手伝いをするだけです。

自分達の10代の頃を見てるようで若返りますよ。
40年経っても、子供の発想のレベルは変わりません(笑)

  • 2012-02-07 18:57
  • 非双子
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[C994]

ミモザさん、こんばんは。
そう、何の主体性もないまわりと同じように、という子どもでした(笑)。
いつの頃からか、まわりと同じじゃいやと思うようになっていました。
それはやっぱりロック的なものと出会ってしまったからだったように思います。
良かったのか悪かったのかはもはやなんともわかりませんが、どっちにしてもこれでやっていくしかありませんからね!
  • 2012-02-06 22:56
  • goldenblue
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[C993]

13歳。
何にもわからないですよね・・。
何もわからなかったです。
まわりと同じように、っていう主体性のない子供ではあったかななんて今になると思います。

現在になってみると、意外と周囲にいる人間に感化される部分が多いのかななんて思います。
だからこそ大人は頑張らないといけないのかもしれませんね。
  • 2012-02-06 10:35
  • ミモザ
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[C992]

名盤さん、こんにちは。
「69」が最高ですよね!あのやんちゃさと軽さとあほさが実は村上龍氏の本質だと思うので、他のはどうもインテリぶっている気がしてしまいます(笑)。
  • 2012-02-06 07:44
  • goldenblue
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[C991]

その子さん、こんにちは。
金曜日の深夜、探偵ナイトスクープのあとです。ナイトスクープのあとTVつけっぱなしにしてたらたまたま見て、それがとてもおもしろかったのです。
  • 2012-02-06 07:39
  • goldenblue
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[C990]

本の『13歳のハローワーク』を最近読む機会がありました。村上龍が書いてるまえがきの部分が、子供にとても優しくて、ちょっと意外だった。でも、子供にとってこの本がどれだけ有意義かは分からないけど。13歳の時、仕事なんて全く考えてませんでした。だから、ダメだったのかな~
村上龍作品では『69』がイチバン好きです。
  • 2012-02-06 00:45
  • 名盤!
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[C989] 面白そう

本もドラマも面白そう・・・
観たい!
  • 2012-02-05 21:29
  • その子
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[C988]

まりさん、こんにちは。
バブルと言われていた頃僕は大学生でしたが、ほんとに貧乏でまるで縁がなかったです。浮かれたお姉さん方とも。
ただまるで影響がなかったわけでもなく、当時地味で人気がなかった食品会社を選んだのは、金融や証券みたいな実体のよくわからないものよりも、手にとってちゃんと目に見えるものを商売にしたいと反射的に考えたのだと思いますし、それが今の仕事にもつながっている気がしています。
  • 2012-02-05 17:26
  • goldenblue
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[C987]

リュウさん、こんにちは。
村上龍氏、タイトルは刺激的だけど内容はどこかつまらんのですよね。過激に見えて意外と保守的、所詮は男の論理、みたいな。
バブルの恩恵はぼくもまるでなかったかなぁ、別世界のことでした。就職活動に苦労しなかったことぐらいですかね。
  • 2012-02-05 17:14
  • goldenblue
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[C986]

konomiさん、こんにちは。
「13歳のハローワーク」、おもしろいですよー。次回第5話はバンド・ブームの話らしいです。松岡昌宏がドラム叩くシーンがあるかも。
村上龍で今も大好きなのは「69」。「半島を出よ」は興味ありつつ未読のままです。
  • 2012-02-05 17:07
  • goldenblue
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[C985]

私も春樹派ですね。
女は公務員や大手企業にこだわりがあるけど 男はやりがいや 好きな仕事しかしないもんですね。
それでも いい時代は経験しとくもんですよ。
けっして バブルは 悪くないと思ってます。バブルに浮かれてた女がスカンだけです。
  • 2012-02-05 14:35
  • まり
  • URL
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[C984]

goldenblueさん、お早うございます!

若いうちはなんせマルビ→死語(笑)
仕事なんて、しょーもなくお金稼ぐだけのもんだと思ってました・・。
稼がせてくれるのが良い仕事みたいな・・。ここは変わらないですね・・苦笑
バブル・・何それっ?て感じでした!
そして、村上龍は“愛と幻想のファシズム”まで・・。
そのあと、経済評論家みたいなスタンス、エロの追求・・それが・・ダメですね、自分。

こう、毒が無くなったのが・・。
春樹の方が、冷めていて、毒に溢れてるので、今はそちらばかりです・・。

  • 2012-02-05 06:42
  • リュウ
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[C983] めれんげkonomi

こんばんは~

「13才のハローワーク」そんなに面白いんですか?
一度見てみますね。

村上龍はデビューの頃がちょうど中学生。
以来、ほとんど欠かさず読んでたんだけど、
30代超えてからごぶさたですね。
「ラブ&ポップ」だったかな?あれがちょっと読んでて辛かったんですよね。
でも考え方とか文体とかずいぶん影響を受けました。





  • 2012-02-04 23:09
  • めれんげkonomi
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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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