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♪1月 始まりの冬に

新年明けましておめでとうございます。

年末のハードワークから解放されどっと疲れが出たのか、今年も除夜の鐘を聞く前に眠りに堕ちてしまい、お昼過ぎに目を覚ましたら年が明けていた。新年の迎え方としては失礼極まりない、そんなふうにして始まった2009年。お正月とはそもそも新年の始まりに先祖や神様に感謝を捧げ来る年の作物の豊穣や一族の無事を祈る大切な行事だけれど、そういう意味の厳かさなんてかけらもない完全休養状態。食べては眠り眠っては食べ、テレビに映る各地の初詣の風景もタレントたちのバカ騒ぎもまるでどこか別の国の遠い出来事のような気さえしながら、ひたすらだらだらと過ごしている。
まぁ、いいだろう。どうせまたあれやこれやと慌しい日々はすぐにやってくるのだから、しばしの休養は必要だろう。そもそもだらだらするのは大好きなのだ。

さて、新しい年だというのに、新聞やテレビから聞えて来るトーンは決して明るくはない。夏以降急激に悪化した世界的経済不況は、今のところ自分の暮らしに直接の影響はないけれど、そうそう明るい展望を描ける一年にはならないのだろう。会社でも今年は当初目標の下方修正を余儀なくされて、お偉方は「戦時だ」なんて馬鹿げた言葉で鼓吹していたけれど、いくら僕たちが一生懸命現場で頑張ったところで消費はそうそう伸びはしないだろう。もはや今までのやり方、今までの考え方では立ち行かない、時代の大きな転換期に差し掛かってきている、そんな気がしてならないし、それは決して悪いことではないような気がする。 経済成長を前提とした仕組みはもはや破綻している。そもそも過剰な欲望を煽り立てることで成り立っていた経済、でも本当に欲しいものはそんなものじゃなかった、って誰もが気がつきはじめている。氾濫する幸せのイメージに振り回されてそれが手に入らないと嘆くのではなく、自分の幸せのサイズを知ること。誰かの幸せと自分の幸せを比較しないこと。物質的豊かさや量の多さやスピードの速さではなく、個人的で精神的な幸福こそが幸せの姿である時代が訪れようとしているのだと思う。しばらくの間経済は停滞するにせよ、それは決して悪いことではないはずだ。
今起きていることは、世界大不況みたいな「冬の始まり」なのではなく、時代が変わってく上での「始まりの冬」なのだと信じたい。

そんなわけで、冷たく厳しい向かい風の中でもしゃんと背筋を伸ばして立ち向かっていけるエネルギーを与えてくれるような「始まりの冬」の5枚。

今年もよろしくお願いします。

John Lennon/Plastic Ono Band    ドリーム・オブ・ライフ(紙ジャケット仕様)    オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド

The Crossing     ララバイSINGER(紙ジャケット仕様)


John Lennon/Plastic Ono Band/John Lennon
「僕は魔法なんて信じない/聖書なんて信じない/ジーザスもブッダもマントラも信じない/エルヴィスもボブ・ディランもビートルズも信じない/僕は僕だけを信じる/僕とヨーコだけを/夢は終わったんだ/僕は無想家だった/でも生まれ変わるんだ/セイウチだったこともあるけど/僕はジョンなんだ」
自分にまとわりついてしまったビートルズの幻想を拭い去るために、ありのままの自分自身をさらけだしたジョン。すべてをそぎ落としたシンプルでソリッドな音はまるでお正月の書初めのように力強く決意と自省に満ちて、僕に内省を迫る。

Dream of Life/Patti Smith
「私達の夢見るすべては、団結することで実現できると私は信じているの/私達は世界を変えることが出来る/私達は地球を革命出来る/私たちには力がある/人々には力がある」
“People Have The Power”の中で力強く宣言するパティ・スミス。凛と背筋を伸ばして世界の矛盾に立ち向かうかのような佇まいは、勇気と慈愛にあふれた女神のようですらある。

All That You Can’t Leave Behind/U2
「僕は何も畏れはしない/聞いた事ないような事態にだって驚いたりはしない/すてきなメロディを探してるのさ/みんなで口ずさめるような/自信を持って/今は少し行き詰って身動き取れなくなっているだけさ」
U2の中でも大好きなソウルフルなナンバー、“Stuck in a moment that you can't get out of”。
ずしんと浸みて、少しずつ満たされていくようにエネルギーが湧いてくる。

The Crossing/Big Country
「痛みも真実も重要なことだと僕は思う/けど、打ち砕かれたたったひとつの希望だけではきっとやってはいけないよ/砂漠の中で花が開くことを期待してはいない/けれど、僕は生きて、呼吸をしているから/この冬の時期にお日様が見えているから」
冬の雪原をひた走る蒸気機関車のように力強く。

ララバイSINGER/中島みゆき
「その船を漕いでゆけ/お前の手で漕いでゆけ/お前が消えて喜ぶものにお前のオールを任せるな」
“宙船”、かっこいいね。みゆきさんはいつからこんなに強いひとになったのだろう。中島みゆきの表現する強さ、それは周りからどう評価されようと、そのときに自分自身が感じたことを表現し続けてきた人だからこそ得ることができた力強さなのではないかと思う。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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