関西人といえばヤクザ、漫才師、商売人。 そのすべてを体現していたようなタレントが、突然テレビから姿を消した。 だからといって僕の生活への影響はまるでないのだけれど、この件にしても某大臣を辞任に追い込んだ一連の発言の件にしても、人は自分のことを棚に上げて他人にどれだけ清廉潔白を求めれば気が済むのだろうか?「一般大衆に対して影響力のある人たちは必ず清廉潔白でなくてはならない。」みたいな論理はいつからこんなに主流になったんだろう?あちら側とこちら側に線を引いて、自分の立場は低い側に置いて、自分の立場は守りながら一方的に攻撃を加えていくようなやり方はあまり好きじゃないな。 それはともかく。 大阪は暴力団系の人口比率が他の都市に比べて高いらしいけれど、日常の生活圏の中であまりその手の人に出会うことは少ない。僕があまり繁華街へ出向かないということがその理由のひとつ。そして、おそらくその手の人々は車中心の移動を行っているためあまり電車で出くわさない、ということがひとつ。 先日たまたま帰りの電車で、僕が立った位置の前のイスに、その筋の人らしいお兄さんが座っていた。 この蒸し暑いのにパープル系のスーツを着て、上から三つくらいはずしてわざとはだけさせた絹のシャツをまとい、はだけた胸には金のネックレス。髪の毛は短いがしっかりと手入れされていて、少し茶色がかった色付きのサングラスをかけ、そして腕にはギラギラと高級腕時計。おそらくどこかのブランド物らしい皮製の小さなポーチ、先がキュッととがったエナメルの靴。 いかにもその筋の人的なファッションに身を包んだそのお兄さんは、存在感を誇らしげにバーンと股座を広げて座っていた。 あの時計いくらするんだろ、あのスーツはいくらするんだろ、髪の手入れは月にどれくらいするんだろ、あの浅黒い肌はやっぱり日焼けサロンかどこかに定期的に通っているんだろうな。 僕は昔から高級車にも高級腕時計にも高級スーツにもまるで興味がなくて、あんなものにどぶどぶと大金をつぎ込むなんて馬鹿じゃないかと思っているのだけれど、あの筋の世界にはあの筋の世界としての必須アイテムというものがいくつもあるのだろう。 この人はこの人なりに、その筋の世界での美意識を体現するために一生懸命涙ぐましいまでの努力をしておられるのだなぁ。だって、大変よ。週に一度は散髪に行って、日焼けサロンに通って、借金してでもええカッコを維持してなきゃいけないなんて。 そう考えると、なんだか目の前のこのいかついお兄さんが、なんだかとても素直で可愛い人に思えてきた。 求められることを一生懸命忠実にやろうとしているんだなぁ。 努力家やん!頑張ってるねぇ! もしそう声を掛けたとしたらならば、おそらく「なめてんのか」ってボコボコにされてしまうのだろうけど(笑)、なんだか思わずそういいたくなってしまったのだった。 だって、自分は大衆の中に紛れて正義を気取り、見えない場所から姑息な手段で相手を打ち落とそうとする輩なんかよりも、馬鹿馬鹿しいくらいの格好をした目の前の男の方がよっぽどすがすがしいじゃないか。 決して友だちにはなりたくはないし、世話にはなりたくないけれど。 そうそう、このお兄さんを見ていて誰かに似ているなぁ、と思いながら脳裏に浮かんだのは、この人でした。 The Poet / Bobby Womack ソウルやR&Bの世界はどこかその筋の世界にも似ていて、泥臭く脂っこく、水商売の臭いがするものも多い。
きらびやかなようでとてもどろどろした裏ぶれたものと隣り合わせの世界。
チャラチャラしたチンピラもどきがたくさんいる中で、この人はホンモノ中のホンモノです。
なめた口を聞こうもんならボコボコにしばきたおされます。酒屋で隣り合わせにでもなろうもんなら人生に関して散々お説教を食らわされます。下手に関わったらとんでもない借金背負わされます(笑)。
でも、ホンモノならではの筋が通っているんだなぁ。
アルバム『THE POET』は、ディスコ・ブームで落ち目になったソウル・サウンドの屋台骨を立て直した気合い入魂の一作。くどく暑苦しいボビーの歌とクールでクリアなサウンドは、まだまだ蒸し暑い秋の初めみたいな雰囲気かもしれません。
Bobby Womack - "If You Think You're Lonely Now"
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新喜劇、うどん屋以外で多いのは旅館・ホテルですね。今の座長の中ではやっぱり辻本茂雄が一番おもろいですかねぇ。
この「ThePoet」、泣きあり笑いありの王道ソウル、まさに吉本みたいな盤です。ぜひ聴いてみてください!