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♪Ray of Hope

ひまわり 陸前高田3                        (2011.8.25 陸前高田市)

「あの町が全部、海になっちゃったんだべ。」

ぽつんとそう呟いた、陸前高田での物資配達でお世話になった現地のボランティアさん。
ご自身も被災され、仮設住宅での不便な暮らしを強いられる中で、全国から集まった物資を被災された方へお届けするお手伝いをしてくださっている方で、こういう方がおられて初めて、被災された方の手元へ物資が届くのだ。


陸前高田の町がまるごとなくなってしまった映像を、みなさんもテレビや新聞でご覧になったことがあるでしょう。
あれから5ヶ月。
散乱した瓦礫はあちこちに重機でうずたかく積み上げられ「ボタ山」のような様子になり、ぺちゃんこになった車も一箇所に集積され「部品もぎ取りセンター」みたいになっていました。何も知らなければ広大な埋立地だとしか思えないほど、そこにかつて人の暮らしがあったことを想像させるものは何もなく、ただただ荒涼とした風景が広がっているばかり。
そんな町の中をトラックで移動している途中、ふと目にしたカーナビの画面に、僕は愕然としたのです。
画面に出ていたのは、道路の右にモスバーガー、左にはシェルのガソリンスタンドのマーク。
そのとき初めて、ほんとうにこの場所に人の暮らしがあったことがじわじわとこみ上げてきて、泣き出しそうになってしまいました。

でも、お会いした方々は、皆さんとても明るかった。
そして、とてもたくましかった。



絶望的な風景はそこらじゅうにあって、ただの訪問者でしかない僕たちはその絶望的な風景について愕然としつつもどこか興奮してしまう。それは、それが我が身に起きた切実なことではないからだ。
僕がここを訪れた目的は、取材ではない。あくまでお手伝いに来たのだ。
だから、絶望的な風景の写真は撮らなかった。
現地で必要なのは、絶望や悲惨ではない。生きるための糧だ。そして何よりも、希望だ。

わずかだけ撮影したのが、このひまわりの写真。
どなたかが種を蒔かれたのでしょう。
瓦礫だらけの町の道端で、お日様を向いて堂々と咲いていました。
あれだけ塩をかぶった土地で、水や肥料をやらなくても育っているそのたくましさが、すっくと立ち上がる姿の清々しさが、そして、ひまわりが放つその明るさが、僕には、希望の象徴のように見えたのです。





Ray Of Hope
Ray Of Hope / 山下達郎


 今日という日が 
 昨日より
 少しだけやさしく
 あなたを包んで
 くれることを祈って
 This is my Prayer


山下達郎のニュー・アルバム『Ray Of Hope』収録、“My Morning Prayer”より。


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コメント

[C617] Re:

LA MOSCAさん、コメントありがとうございます。
写真はねぇ、ほんとは「うわっ、この景色スゲェ!」みたいなことはたくさんあったのですよ。
船がひっくり返っていたり、スーパーの一階部分が完全にぶち抜かれていたり、ぺしゃんこになった車が何台も重なっていたり。
でも、現地の方とずっと一緒だったので、そういうの撮れませんでした。被災地はもう、直後の「とにかく大変!」という時期を過ぎて、前を向こうとしています。そんなときに、悲惨さやえげつなさだけを取り上げちゃいけないんじゃないか、もっと明るいものをみなくちゃいけないんじゃないか、なんて思ったのです。

現地で一番感じたことは、被災していない地域の人間が被災した地域へ「助けてあげる」という錯覚に陥る怖さです。現地の人の思いに寄り添わない支援は、本当の意味の支援ではなくただの自己満足でしかない、と。
達郎さんのアルバムが素敵なのも、ただ“可哀相”でも、ただ“頑張れ”でもない、寄り添う感じが素敵なのだと思います。

[C616] Re:

nyarome007 さん、コメントありがとうございます。
ちゃんと伝えていませんでしたが、今回のボランティアは、僕自身が自主的に行ったというよりは、所属する組織から動員されて行ったに近いのです。もちろん参加に否定的ではありませんでしたが、だからといって高い意識で積極的に参加したわけでもない。
だからこそ、どんなことも淡々と受け入れようと思って行きました。結果的には、想像していたほどには暑くも臭くも居心地悪くもなくて助かりましたが。
おっしゃりたいことはわかります。被災者の環境と同時に、ボランティアへの環境整備もとても大事。ボランティアという行為を、過酷だが高邁で崇高な、ごく一部の人しか参加できない敷居の高い行為にすべきではないと思いますし、ボランティアに参加した人間もそこを勘違いしちゃいけないと思います。デモも同じでしょうか。

[C615] Re:

ゴールデンウィークに福島へ行ったのはつき子さんですね?コメントありがとうございます。

>ヒトには前に進もうとする力がインプットされている
あぁ、そうですね。いいコトバですね。
現地の悲惨さにはやはり言葉を飲みましたが、だからこそ殊更、悲惨さを強調するようなことばかりを伝えたくないな、と思ったのは確かです。

「ひまわり」という映画は観たことないですが、またいつか、機会があれば観てみたいと思います。

[C614] Re:

hiyohiyoさん、コメントありがとうございます。
そうですね、明るくたくましく咲くひまわりは、ほんと復興に向かう力強さを象徴しているように感じました。
お会いした人は皆、とても明るく元気でした。
先に支援に行った人が皆「逆に元気をもらってきた」と言っていてそのことには少し違和感も感じていたのですが、そう言いたくなる気持ちもアリかな、なんて不覚にも(笑)素直にそう思ってしまいました。

土・日とゆっくりはしたのですが、、、一週間ほったらかした仕事を、明日から山のように片付けなくちゃ・・・

[C613] Re:

Okadaさん、コメントありがとうございます。
ええ、行ってよかったと思えることがまずはよかった、と自分でも思います。
所詮一週間やそこらで帰っちゃう人間ができることなんてたかが知れています。与えられた任務を淡々とこなす、一歩引いて現地の人の思いを立てながら動く。そんな中で、現地に行かなきゃわからないことを知ることができたのはよかったです。

[C612] Re:

mono-monoさん、コメントありがとうございます。
ちゃんと元気で帰ってきました。被災地ではとにかく“がんばらない”ことを目指していましたので(笑)・・・何もできませんでしたが、いろいろ感じたこと、それはきっと自分自身の生活のどこかで役に立つことがあるんだろうな、と思ったりしています。

[C611] Re:

リュウさん、コメントありがとうございます。
震災から5ヶ月、被災地も難しい時期に来ていると感じました。緊急避難的な時期は過ぎて、よりひとりひとりの状況の違いが、求めるものの違いになってきています。
前を向いているからこそ、どう頑張ればいいのかがもどかしい、そんな印象でした。
またおいおい報告したいと思います。

しかし、リュウさん、早起きですね~。
現地滞在中ずっと5:30起床でしたが、帰ってくるとすっかり寝坊夜更かしに逆戻りしています(笑)。

[C610]

まずはお疲れ様でした。
口で言うのは簡単だけど実際に行動するのはそう出来ることじゃないと思います。

そう、何も行動しない自分が言えた義理じゃないと思いますが、記事を読んで共感してどうしても言いたくなったことがひとつ。
写真。
まるで観光名所で撮ってる雰囲気の。
アレ、耐えられないです。
goldenblueさんの向日葵の写真はじーんと来ました。
かすかな希望だと思います。

ヤマタツの新作、全曲いいけど、特に「My Morning Prayer」に胸打たれました。
自分が励まされたというより、切実に“励ますことが出来たら”という彼の気持ちが見えて。

[C609]

お疲れ様でした。

先日、石巻に支援に行った友人は、
ガレキや倒壊した家屋から湧き出る“虫”の多さに一瞬怯んだと言っていました。
テレビの画像からは絶対に伝わないものが、
そのような大小の害虫であったり、様々な異臭であったり、という“異物”であり、
それは、気温が上がるこの季節に、耐えがたいレベルにまで増幅、増殖してしまうことは
容易に想像が付きます。

これは、被災された方々の過酷な生活に比べれば、瑣末なことなのかもしれませんが、
そのような瑣末なことが蓄積されて、過酷な生活が構成されていると考えると、
到底無視できるものではなく、むしろ、主要な問題といっても過言ではないような気がします。

夏という、支援する側も、被災地側も、共に過酷な環境に置かれる季節に、
あえて足を運ばれたgolden blueさんに最大限の敬意を表します。

「人のため」ではなく、「自分のため」という言葉を、
ガキの戯言や甘ったれた偽悪に留めず、嘘偽りない鋭い行動理念に昇華させるには、
「ひとごと」や「よそごと」を「自分のこと」として受け止める想像力が不可欠と考えます。
ぼくが、デモに行くのも、決して「人のため」ではなく、
それが「自分に降りかかってくる問題」だと考えるからにすぎません。

その点においても、golden blueさんの行動と考え方に、シンパシーを感じるのです。

[C608]

私はゴールデンウィークに福島の被災地にお手伝い?らしきものをさせてもらいに行きました。そのときは菜の花がとってもきれいでした。ヒトには前に進もうとする力がインプットされていると思ってます。それがうまく働くにはまわりの人の支えも大事ですね。ありがとう。
「ひまわり」という古いイタリア映画があります。私は毎回号泣、ハハハ、いい映画です。ではまた東北のどこかで。それまではしっかり働くべさ。

[C607] おつかれさまです

ひまわりの明るく、
たくましい美しさ。
それはそこに生きる人たちにも通じますね。

お疲れ様です。

ゆっくりと休んでくださいね。
  • 2011-08-28 12:17
  • hiyohiyo
  • URL
  • 編集

[C606]

“行ってよかった”の言葉が聞けて何よりです。
向日葵の写真、良いですね。
草花にも負けないくらい、人はたくましい生き物だと思います。
それでも、生きて行くには誰かの助けが必要な時がある。
色んなやり方があると思いますが、やっぱり直接現地に足を運ぶって大切だなぁ、
とgoldenblueさんの記事を読んで改めて感じました。

[C605]

お帰りなさい!
お元気そうで何よりです。
陸前高田では、たくましく清々しく明るくひまわりが咲いているのですね。
ご苦労様でした。

[C604]

お早うございます。まだまだ復興とは言えない現実、その中でも、前を向いて行こうと頑張る人々、言葉 無いですよね…。
ボランティアされて、クリアに見える部分、当たり前の日常が一瞬で無くなるさま、何とも言えないですよね…。
そんな中でのヒマワリ、きっと自分も胸を打たれたと思います。
改めて、お疲れ様でした!
  • 2011-08-28 05:24
  • リュウ
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  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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