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♪LIVE

お盆を田舎や行楽地で過ごした人たちのUターンが今夜ピークを迎える、とテレビのニュースで言っていた。
そんな毎年恒例のニュースを聞くたびに、田舎のある人はたいへんだな、と思う。
僕が生まれたのは大阪の端っこの新興住宅街で、今も父母はそこにいて、帰るつもりになれば、せいぜい車で一時間ちょっとも走れば帰ることが出来る。けれど、そこは「実家」ではあるけれど「田舎」ではないのだ。

子どもの頃は、夏休みになるたびに母親の実家に帰っていた。
岡山県のはずれにある、何にもない田舎の町。大きな川が流れていて、土手があって、向こうの方にぽこっとはげた山があって、あとはずーっと延々田んぼが続いている風景。裏山の藪の中に、ご先祖様のお墓があった。
お盆にもなると本家のじいさんだの分家のおじさんだのがやってきて、酒臭い息で近づいてきては子どものご機嫌をとろうとしたり、わかりもしないのに近頃の子どもはああだのこうだのと言われるのが嫌いだった。
でも、兄貴や親戚の子どもたちと一緒に、家の前の用水路でフナやざりがにを獲ったり、かくれんぼをしたりするのが楽しかった。村の中の大きな旧家だったから、納屋とか、縁の下とか、裏の竹やぶとか隠れるところがたくさんあるのだ。縁の下で息を潜めながら、ふと、誰も見つけてくれなかったらどうしよう、という不安でどきどきしたことを今もよく覚えている。

田舎がある人はたいへんだな、と思いながら、あの田舎の風景を思い出してちょっとさみしくなる。
今、あの町の風景がどう変わってしまったかは知らない。
ひょっとしたらいまだ何も変わらない風景がそこにはあるのかもしれない。
けれど、いずれにしても、あの場所はもう決して二度と行くことができない。


東日本大震災から初めてのお盆。
66回目の終戦記念日。

近頃やたらと目にするようになった「絆」という言葉を、ちょっと違うんじゃないかとやや醒めた目で見ながら、それでもやはりなんとなく、いつものお盆とはどこか違った気がする。
命について。死について。幸せについて。
暮らしについて。この国のありかたについて。
とりとめもなく漠然と、いろんなことを考えた。
言葉にしようとすればそれはとても陳腐で、しかも結論などはどこにもなくて、まぁせいぜい明日も楽しくやれればいいな、なんてことを呟く程度なのだけれど。


今日の音楽。
お盆とはあまり関係なさそうだけれど、ダニー・ハサウェイのライヴ盤を。

ライヴ
Live / Donny Hathaway


Donny Hathaway - The Ghetto
Donny Hathaway - We're Still Friends
Donny Hathaway - Voices Inside (Everything Is Everything)

なんていうんだろうか、単なる「熱い演奏」とはまた違う、内側から湧き上がってくるこの熱さ。
くどくどと並びたてられた陳腐な言葉より10000倍も、命の力を物語ってくれている。
絆、なんて押しつけがましい言葉よりも、もっと緩く、そしてもっとグルーヴィーに、命のつながりについて示唆してくれる。
これこそがソウル・ミュージック、だと思う。





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コメント

[C587]

LA MOSCAさん、こんばんは。
LA MOSCAさんもやっぱり好きですか。そうですよね。
素晴らしいライブ盤、いや、ライブに限らず素晴らしい音楽っていうのはやっぱり“気”が入っていますよ、絶対。表現者だけじゃなく、その場の、その時代の。
音楽を聴くのが好きなのは、メロディだとかテクだとか歌詞だとかほんとはどうでもよくて、結局この“気”を受け取っているのだなぁ、などとふと思いました。

[C586]

まりさん、こんばんは。
はずせませんよねー、これは。お墓まで持っていってもいいくらいのレベルかもしれません。
ソウルもロックもジャズも、かっこいいレコードはたくさんあるけど、このレコードのよさはそういうかっこよさとはちょっと違う、震える感じがするのです。

[C585]

リュウさん、毎度です!
そう、このアルバムは、お客さんも含めていいんですよね。場の空気がそのまま収められている。
ミュージシャンが観客に何かをひけらかし、観客はありがたがってただ受け取る・・・というようなのではなくて、ミュージシャンの出す音から生まれた何かを共有している雰囲気、が感じられるように思います。確かに、祈りのようでもありますね。
これもリュウさん的にも保存版間違いないはず!

[C584] 俺も!

大好きです!このアルバム。
コレに限らず、素晴らしいライヴ盤聴くと思うのは
ライヴ盤はアーティストだけじゃなく客も作り手の一部だな、ということ。
内側から突きあがってくる熱さか・・・。
確かにそんなカンジですね。

そうですね、どうやってもう戻れないんですよね。
よくも悪くも先に進むことしか出来ませんね。

[C583] これははずせない!

映像などで あの何もなくなった状況を見て ただただ黙祷するしかありません。
ダニー・ハサウェイのLIVEは 小さい会場で観客と一体となって 徐々に熱く盛り上がる息遣いがリアルに感じられる名盤ですね!

黒人ならではの 純粋な部分と 通じ合っている
魂は 命の核に響いてきます。
サム・クックのハーレムスクウェアライヴと同じソウル・ミュージックの必聴盤ですね!!
  • 2011-08-16 11:16
  • まり
  • URL
  • 編集

[C582]

お早うございます!
お盆、一つだけ思ったのは、震災で亡くなられた方のご遺族の心情にづいて。何も出来ないのですが、それでも、自分に置き換えて…言葉を失い…

そしてダニーの音、声はグルーヴ、震え、祈りのような刺さり方です。
また、お客が更にライブ作ってますよね!愛聴してます!
  • 2011-08-16 07:12
  • リュウ
  • URL
  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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