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♪荒れた海に架かる橋のように

729  
路上に残ったポールだけがかろうじて、かつてここが商店街だったことを伝えている。 
   (11.7.29 岩手県・大船渡市)


ある一角に差し掛かると、風景は一変した。
突然、風景ががらんと抜けて、瓦礫の山が累々と続いている。
一階がぶち抜かれてまるで内蔵をさらけ出すみたいに無残な姿を晒している建物、ぺしゃんこになった車、ビジネスホテルの壁には3階の窓の上にくっきりと泥の跡が残り、ここまで海が上がってきたことを示していた。
ゴーストタウンみたいになった街に立つと、腐った魚のにおいが混じった風だけがびゅうびゅう吹いていた。
かろうじて残った建物の白い壁に、「3/19 ×」の赤い文字。
言葉もなく、ただ手を合わせるしかなかった。


被災され取り扱いが中断していたメーカーさんが工場を再開させるとのことで岩手県の沿岸部を訪れていました。
この工場は海から数km離れているにもかかわらず津波が押し寄せ、工場の1階の天井まで水に浸ってしまったのだそうだ。従業員さんも多くの方が被災されたにもかからわず、毎日ずっと、散らかった機材や資材を片付け、壁や床のあっちこっちに開いた穴ボコを修復し、塩水と泥にまみれた機械の泥を拭って修理し、あの日から5ヶ月目にしてようやく再開にこぎつけることになったのだ。
その、途方に暮れてしまいそうな再建への努力に、本当に頭が下がる。
しかも、悲壮感はまるで感じられない。
お忙しい中なのに丁寧に応対してくれ、「まさかこんなことになるなんて。あの日は自分でもまるで映画の中にいるみたいな感じがしましたよ。」と屈託なく笑うご担当者さんの笑顔に、毎日文句ばっかり言っている自分自身が恥ずかしくなってしまった。
そして、僕に出来ることで少しでもお役に立ちたい、と改めて思った。


Aretha Franklin - Bridge Over Troubled Water

When you're weary, feeling small
When tears are in your eyes,
I will dry them all
I'm on your side
When times get rough
And friends just can't be found
Like a bridge over troubled water
I will lay me down
Like a bridge over troubled water
I will lay me down

 元気をなくしてしまったとき
 自分がとても小さく思えてしまうとき
 涙が浮かんでしまうのなら
 乾かしてあげたいとそう願う
 あなたのそばにいますから 
 時代がどんなにすさんでも
 友が見つからなくても
 
 荒れる海の中に身を投げ出している
 あの橋のようでありたい
 荒れる海の中に身を投げ出している
 あの橋のようでありたい  

 
Aretha Live at Fillmore West
Aretha Live at Fillmore West / Aretha Franklin




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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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