No Damage / 佐野元春 1984年の3月。このシングル「グッドバイからはじめよう」と、『ナイアガラトライアングルVOL.2』を含む過去4枚のアルバムからピックアップされたベスト盤『No Damage』を発表して、佐野元春はニューヨークへ旅立ってしまった。『SOMEDAY』がじわじわとブレイクし、『SOMEDAY』を聴いた誰もが過去の2枚のアルバムを買い求め、それでも飽き足らず、一日も早く次のツアーとアルバムを待ち望んでいた、そんな時期だったにもかかわらず。
そして佐野さんは、一度は確立された自分のフォーマット~街で起きる色んな出来事に揺れる少年少女のイノセントな気持ちを第三人称で歌う~をこのベストアルバムにパッケージして、敢えて捨てた。
一度完成されたフォーマットを敢えて捨てる。それはとても勇気の要ることだったと思う。その線で売れば少なくとも安定した地位が手に入ったはずなのだから。
けど、佐野さんのやりたかったことは、時代に飽きられるまで与えられた役割を演じ続けるポップスターや、手癖でひょいひょいとポップソングを量産する音楽屋さんではなかった。だからこそ、まだまだ転がり続けていく自分自身をそうそう容易く規定されてしまうべきではないと思ったのだろう。きっと、このままいけば自分がたどり着きたい場所とは違う場所にたどり着いてしまうと思ったのだろう。
自分自身の在りたい姿に忠実であること。
それはロックンロールな生き方の大前提だ。
♪グッドバイからはじめよう
ちょうど波のように
さよならが来ました
言葉は もう何もいらない
ただ見送るだけ
どうして あなたは
そんなに 手を振るのだろう
僕の手は ポケットの中なのに
ちょうど波のように
さよならが来ました
あなたは よくこう言っていた
終わりは はじまり
終わりは はじまり
個人的なことだけれど、このところ、自分自身を取り巻くいろんなことが、いわゆるひとつの節目を迎えようとしていると感じている。そろそろ次のステージへ移るべき時が来ているようだ。
それはある時期の終わりだけれど、次の時期の始まりでもある、ということ。
佐野さんが歌ったとおりだ。
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