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♪Across the Universe / The Beatles

Let It Be
Let It Be / Beatles


Across the Universe

言葉はまるで止むことのない雨のように紙コップの中に降り注ぐ
それらはすっと通り過ぎこぼれ落ちてゆきながら 
宇宙を横切っていったんだ
悲しみの貯水槽から歓びの波動が広がって
開かれた僕の心を漂いながら通り抜けていく
僕を取り込んで慰めを与えてくれる

Jai Guru Devea Om.
何も僕の世界を変えることなど出来はしない
僕の世界は何ものにも変えられない

砕けた光の残像が百万もの瞳のように僕の前でキラキラしている
宇宙を横切ってそいつが僕を呼んでいる
郵便受けの中で吹き荒れる風のように
思考は曲がりくねってどこへもたどり着かないまま
それはやがて激しく揺らいで宇宙を横切ってゆくんだ

Jai Guru Devea Om.
何も僕の世界を変えることなど出来はしない
僕の世界は何ものにも変えられない

地球の隅っこで響く笑い声が
僕の塞ぐことのできない耳の中で鳴り響き
僕を刺激し、僕を誘ってゆく
百万もの太陽のように光り輝く無限不滅の愛
それが宇宙を横切って僕を呼び続けている

Jai Guru Devea Om.
何も僕の世界を変えることなど出来はしない
僕の世界は何ものにも変えられない



あの凍てつくような寒さはどこへやら、すっかり暖かい春の陽気が続く。自分の生まれた春という季節はとても大好きな季節、なのだけれど、この時期は毎年花粉症にうんざりさせられる。くしゃみと鼻づまりと目のかゆみが僕からまともな思考や感覚を奪っていくのだ。
今日は花粉がきつかった。鼻づまりのぼおっとした頭でウォークマンで朝からリピートしていたのは、“アクロス・ザ・ユニヴァース”。深遠で哲学的なイメージをかもし出す歌詞から、松尾芭蕉の俳句に影響を受けて書いただとか、東洋哲学に憧れて旅したインドで出合った導師の影響を受けたメッセージだとか云われ、いろんな深読みの解釈が多数存在するこの歌。どこかこの世の外から歌っているような不思議な浮遊感と、不思議な力強さを湛えていて、目を閉じて聴いていると、まるで宇宙空間から青い地球を眺めているような気分になる。

学生の頃、友人の下宿で酒を酌み交わしてはいろんな下らない話をした。とりとめのないいろんな話題はどんどん広がって、やがていつも“人は何故生きるのか、人生の目的は何なのか”というところに行き着き、それはやがて、宇宙の神秘や生命の不思議や今自分が生きていることの奇跡、なんて話しにたどり着くのだった。
ある夜、ある友人がいつものようなうだ話の末にこんなことを言った。
「宇宙は135億年前にビッグバンによって誕生しただとか、宇宙は今も膨張をし続けているとか言われたところでそれが何を意味するのかまったく理解できん。でも、俺の宇宙は俺の中にある。俺が死んだら俺の宇宙は消滅する。だから俺の宇宙は宇宙の中でたった一つの宇宙なのだ。」、と。
うがった言い方をすればそれは単なる屁理屈だ。けど、考えれば考えるほど自分の存在がいかに小さく泡沫のような存在なのか、と思えてならなかった僕にとって、それは目からウロコが落ちるような言葉だった。

ジョン・レノンがこの歌で歌っていたのも、きっとそんなことだったような気がする。
何であれ、俺の存在は俺自身のものだ。
誰が何て言ったって俺は俺の人生を生きているのだ。
だから俺の世界を変えることが出来るものなど何もない。
俺の世界を変えることが出来るのは俺自身だけなのだ、と。

“Nothing's gonna change my world. ”という言葉に込められた強い意志。
諦念や絶望とも、能天気な根拠のない希望とも違う、今在ることへの強い肯定の意志。
それを持つためならば、屁理屈大歓迎だ。
特に、花粉症で思考や感覚が麻痺しそうなこんな日には。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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