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♪Long Live Rock / The Who

Kids Are Alright - O.S.T.
Kids Are Alright  / The Who


もう十年近くも前にいっしょに仕事をしていた元パートさんが、癌を患って、もはや余命数ヶ月と宣告された状態だと聞いた。僕とそう変わらない年齢、お子さんはまだ高校生くらいだろうか。本人がいまどんな精神状態にあるのかがよくわからないのでむやみにお見舞いに行くわけにもいかないのだけれど、可能性がある限り頑張って生き抜いてほしいと思う。それでももしどうしようもないのなら、僕やその当時の仲間の中であなたはずっと生き続けているのだから安心してほしい、そしてあなたの人生は充分に価値あるものだったよ、ということを伝えたい、と今は思っている。

若かった頃は、長生きしたい、なんてついぞ思ったことはなかった。ザ・フーがMy Generationの中で“I hope I die before I get old”なんて歌っていたように、やることやって愉しんだら、老いぼれて醜態をさらす前にさっさとくたばった方がいい、と思っていた。本気かどうかは別にしても。けれど今は、例えば40歳を人生の折り返し地点と勝手に決めているように、少なくとも80歳くらいまでは生きるものだと勝手に思っている。そんな気持ちにいつの間にかなったのは、もちろん子供が生まれて彼女が一人前になるまでは生きて働く責任ができたことも大きいけれど、それだけでもないだろう。大したことなどできなくっても、ささやかな日々の暮らしそのものがとても大事で愛おしいものなのだという気持ちは、若い頃にはなかった。

19歳のときに「老いぼれる前に死んでしまいたいぜ」と歌ったザ・フーも、その後紆余曲折を繰り返し、78年の『LONG LIVE ROCK』では、「ロックはまだまだ死んでいない。長生きするんだ。」と歌った。パンクからの「ロックは死んだ」という発言に対する返礼だったのだろう。その年の秋にドラマーのキース・ムーンがドラッグ中毒でこの世を去ったのは本当に皮肉なことなのだけれど。ピート・タウンゼントもロジャー・ダルトリーもジョン・エントウィッスルも、若くして向こう側へ行ってしまったブライアン・ジョーンズやジミ・ヘンドリクスと紙一重の生きるか死ぬかのギリギリの目茶苦茶な暮らしを繰り返してきたのだ。生き残ってしまったピート・タウンゼントは当時33歳、生き残ってしまった側として、若気の至りで吐いた言葉にオトシマエをつけなければならなかった。
ロックの反逆的姿勢を否定せずにこれから先をどうやって成熟していくのか。『LONG LIVE ROCK』に込められたのは、彼等にとって、そしてロックにとって、大人になるということにとって、或いは生きるということにとって、切実なメッセージだったのだと思う。


Long Live Rock

アストリアを下れば景色が変わる
ビンゴとロックはここじゃ成人指定だってよ
それで俺たちはバーで初めてロックンロールをプレイしたバンドになったんだ
最初ステージはとっても寒かった
そう、夜の10時を超えるまではね
「ロックは死んだ」と奴等は言うけれど
ロックよ、長生きしてほしいんだ

長生きロック 俺には毎晩必要なんだ
長生きロック こっちへ来ていっしょにやろうぜ
長生きロック 死んでようが生きていようが


大地は割れ、岩が降り注ぐ
俺たちの頭の上に
俺たちはトライしたけれどお前は屈してしまった
再び鍵を閉めて
ロックは死んだ、ロックは死んだ、ロックは死んだ、と

高圧アンプは俺たちを高くジャンプさせてくれる
20インチのシンバルがビリビリ震え明かりが落ちる
奴等はぶっ飛んで通路で踊り始める
ドアが飛ぶように開いて興行主は大喜び
パンツを下ろしたりトイレの扉を叩く奴まで出てくる始末さ
「ロックは死んだ」と奴等は言うけれど
ロックよ、長生きしてほしいんだ

長生きロック 俺には毎晩必要なんだ
長生きロック こっちへ来ていっしょにやろうぜ
長生きロック 死んでようが生きていようが


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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