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♪早く帰ろう / SION

螢(紙ジャケット仕様)
螢 / SION


今週はなんだかとても疲れた。働きすぎだ。
何曜日の何時かわからないくらい、ふらふらになるまで働いた。少し眩暈がした。やり切れると思っていた仕事は、蓄積疲労でペースが落ちて、結局終わらなかった。
何とか間に合った終電で家にたどり着き、コタツでビール飲みながら、落ちるように眠ってしまった。


早く帰ろう

今日はもうヘトヘトだ 早く帰って眠りたい
少し喋りすぎたし はしゃぎすぎたし 疲れた
電車は今日もすしづめ 見るでもなく車内ずり
二人の 二人の門出はドラマチックにと そりゃよかった

昨日泣いてこぼした 彼女はきっといまごろ
いつもの笑顔をかむって そこぬけに明るくガンバレヨ
なにしろ早く帰ろう まっすぐ帰ろう こんな日の
寄り道がつつんでくれる オミヤゲはロクなもんじゃない

お前がいたらいいけど 今夜一人のほうがよさそうだ
冷てぇビールを飲んで のんびり テレビでも めくって

今日はもうヘトヘトだ 早く帰って眠りたい
あとちょっと ちょっとのガマン このいまいましい電車を降りて

そういえば10年前 朝のラッシュにがまんできずに
せっかくきまった会社の 書類をゴミ箱になげすてて
どっかへいっちまった あいつはいったいどうしてるだろ
もしかしたらとなりの車両で だまって目をつむってるかもしれない
なにしろ早く帰ろう まっすぐ帰ろう こんな日の
寄り道がひく引き金に なにひとついいことはない

お前がいたらいいけど 今夜一人のほうがよさそうだ
冷てぇビールを飲んで のんびり テレビでも めくって


シオンの歌はいつも心に浸みる。
というか、そういう気分の時にシオンの歌が聴きたくなる。

1960年山口県生まれ。意外とオッサンだな。19歳の時に上京し、自分の身の回りのことや出来事を歌ってきたシンガー。おそらくそのほとんどがフィクションなんだろう。シオンの紡ぎ出す言葉や物語はだから心に浸みる。そしてだからこそ信用できる。
いまや40代も後半を迎えて、すっかり“いいおっさん”になってしまったシオン。「沈黙の暴力に馴れるなよ 俺は散弾銃を撃つ」などといきり立って歌っていた若造の頃からすればすっかりトゲもカドも取れて丸くなった。けれど、それは決して堕落なんかじゃない。若い頃に怠惰でルーティンだと思っていたおっさんの人生は、決して平坦ではないことにその歳になって思い知る。生きることは、むしろ、歳を食えば食うほど難しくなってゆく気がする。
シオンはただ、自分の身に起きたことを歌い綴ってゆく。飄々と、しんみりと、じんわりと、思い出したり後悔したり呆然としたり慟哭したり感謝したり、時には憤ったり奮い立ったりしながら。その歌には、そのときそのときを真剣に生きてきた人だけが出せる“味”がある。
人生の折り返しにさしかかってしまった。贅沢さえ言わなければそれなりに悪くない日々を過ごしているんだろう。もはや大きなことなどできないけれど、ほんの少しでもの小さな喜びと、明日への活力があれば、それでいい。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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